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2025年8月7日、「国家公務員」の賃金等についてまとめた「人事院勧告及び報告」が行われました。人事院勧告は主に国家公務員についてまとめられたものですが、地方自治体の人事委員会勧告に大きく関わってきます。ここではその中身について、ご報告します。※なお特記すべき事項は赤字にしています。
※今年度の勧告では、比較対象とする企業規模を「50人以上」から「100人以上」とし、本府省と対応させる企業規模を東京23区本店「500人以上」から「1,000人以上」となりました。比較対象の企業規模を大きくするよう求めてきましてので、一定の前進ですが、本府省とそれ以外の職員との格差が生じることは問題点としてあげられます。例えば、秋田県の国家公務員と東京都の国家公務員では「地域手当の有無」などで同じ国家公務員でも賃金は異なっていますが、今回の「比較対象の変更」によってさらにその差が拡大するのでは?東京(本府省)優遇では?との意見もありそうです。特に寒冷地手当を支給されていない職員からの不満は大きいと思われます(地域手当に関する賃金差についての裁判も行われています)。
公民較差15,014円、3.62%(昨年度2.95%)を解消するため、俸給表(地方でいう給料表)は概ね30代後半までの職員が在職する号俸(地方でいう号給)に重点をおいて引上げ改定を行う。
その他の職員が在職する号俸については、改定率は下がるが「昨年度よりも大幅な引上げ改定」を行う。
定年前再任用短時間勤務職員の基準俸給月額も引上げ改定。
(8月21日追記)⇨(初任給の朱書きの補足)昨年度の中高年齢層の引上げ改定率は1%ほどでしたが、2%~3%前後の引上げになりそうです。したがいまして、地方自治体の人事委員会がこれを例にするとすれば、昨年度よりも引上げ額が上がることになります。
採用市場での競争力向上のため、初任給を引上げ
大卒:+12,000円(昨年度は+23,638円)
高卒:+12,300円 (昨年度は+23,998円)
⇨公民較差を見てみますと昨年度よりも較差が大きくなっていますから、昨年度と同様の措置をするとすれば初任給が昨年度よりも引上げられることも想定されていました。しかし、較差は大きいが初任給の引上げは昨年度よりも低いことをから、その他の号俸にその分が割り振られ引上げられる(地方でいえば他の号給に割り振られて引上げられる)とも考えられます。現在調査中です。
民間の年間支給割合に合わせて「年間0.05月」引上げて年間4.65月(昨年度年間4.60月)
期末手当と勤勉手当に均等に配分。
(都道府県職員の場合は条例で決まっていますので、国家公務員とは異なります)
・距離区分の上限を「100km以上(現行国家公務員は60km以上)」とし、上限を66,400円とする。
・現行距離区分(60km以上まで)内でも、200円から7,100円までの幅で、2025年4月に遡及して改定。
・月の途中で採用された職員等に対しても採用日等から通勤手当を支給できるよう2026年8月から実施。
⇨地方公務員は自治体の条例によって定められていますので、国を基準としながらも独自の通勤手当になっています。今回は現行の距離区分が引上げられていることから、各都道府県においても同様に引上げるよう要求することが重要です。また、月の途中で採用された職員に、非常勤講師(会計年度任用職員)や臨時講師なども含まれるのかが確認したいポイントです。
宿日直手当について(8月21日追記)
・現行4,300円の宿日直勤務1回の支給額を4,700円に改定
・人事院が定める特殊な業務を要する宿日直勤務に対しては、現行7,400円を7,700円に改定
⇨秋田県の規則によれば、業務によって異なりますが、現行「4,400円、6,100円(高校の舎監はここ)、7,400円(特別支援学校の舎監はここ)」として規定されています。人事委員会勧告に向けた要求としては、各支給額において少なくとも「300円~400円の引上げ」を求めることは妥当と考えます。
月例給与水準が地域別最低賃金に相当する額を下回る場合、その差額を補填するための手当を支給。
⇨これは特定の地域において、月例給がその地域の最低賃金に満たないケースが生じていたものを解消するものと思われます。「公務員は最低賃金法が適用されない」ことが原因です。秋田県の学校教育関連職員については、地域別最低賃金を下回らないよう改定することを毎年要求しています。
支給対象に本府省の幹部・管理職員を追加。51,800円を支給。現在支給されている本府省課長補佐級職員の手当額を10,000円、係長以下の職員の手当額を2,000円引上げ。
昇格するための原則にあった「一定の期間昇格前の級に在級することを求める在級期間に係る制度」を廃止。
特地勤務手当等と他の手当との減額調整措置を廃止。
⑨自己実現や社会貢献につながるような自営兼業を可能とする見直しを行う。
⑩職員のさまざまな事情に応じた「無給の休暇の新設等」について具体的な検討を進める。
(8月21日追記⇨今年度の民間給与実態調査では「民間企業の住居手当」も調査されましたが、今回の勧告では改定が見送られました)