なぜ教員不足?
国や自治体の見解①団塊の世代の退職や、今後の団塊ジュニア世代の退職により、それを補うために採用数を増やした結果、いわゆる講師(正規教員のかわりに任用される教員)のなり手が減った。
国や自治体の見解②採用数を増やしたことによって、若年層の教員数が増え、産休や育休取得も増加したため、それを代替する講師(いわゆる正規教員のかわりに任用される教員)の必要数が増えて、講師が足りなくなった。
国や自治体の見解③教職のブラックなイメージが教員を目指す人の目に多く触れるようになり、採用試験の受験者数が減少した。
⇒国や自治体の対策)教員採用試験の志願者・受験者を増やすために、試験内容や実施時期の変更を検討。講師の不足を補うために教員免許を持っているが教職に就いていない、他の業種で勤務している人材を獲得するための説明会などを実施。教職の魅力発信。新しい手当の創設や教職調整額の引上げなどの制度改正で、賃金関連の処遇を改善。
⇒たぶん多くの自治体の本音)正規採用は増やせないが、なんとかして講師(登録)をしてくれる人を増やしたい。定数内を充足していないところは将来的に定数減も予想される。年度途中からの休業等に柔軟に対応できる講師を確保したい。いずれにしても講師(常勤or非常勤)の配置をしたいが、条件のマッチする講師を配置するのは容易でなく、できなければ今いる教員でなんとか頑張ってほしい。
⇒ということは)そもそも今の学校(全部ではない)は「正規教職員数だけでは運営できない状態(最初から足りていない状態)」です。
違った視点から・・・
違った視点から①少子化が進むと、クラス数や生徒数に応じて国に認められる教職員数とその分の交付金(人件費の補填)が減る。このあとも少子化は進むので、自治体が国に申請できる教職員数も減るという状況で、正規採用を増やすことができない。
違った視点から②定数減のため採用数は退職者数の欠員補充人数にはならないので、本来必要な教職員数(正規教員枠)と正規教員数との間に差分がでる。その差分は講師(いわゆる正規教員のかわりに任用される教員。非正規教員ともいう)が埋めている。
違った視点から③講師は採用試験不合格者が登録することが多いが、あくまで非正規なので、次年度の任用や新規採用の確証は無い。講師のクチがあるかどうかは教科(科目)にもよる。そのため近年の情勢では、おそらく正社員として他業種への就職を選択することは想像に難くない。
⇒じゃあどうする?
①正規教員の割合を増やすような採用をする(将来的に定数を超えるリスクはあるが、それを補う予算獲得ができるか)
②今の正規教員数でできる教育課程と業務量にする(教育課程の変更はその学校の特色や生徒の進路に直結するので難しい。今の人数でできる業務量、というのも考えものではある)
③教職員定数を決める法律を変える(教職員数に応じた国から来る交付金等が増えれば、各自治体は安心して採用できる、が)
色々なことを外注するなど他にも手段はありますが、何をするにしても予算配分が十分ではない状態です。国、都道府県の施策を見ても、臨時・非常勤講師の配置や外部人材の活用における会計年度任用職員などの非正規任用であることがほとんどです。
※下表のとおり、志願者数が減少していることは事実です。どの校種でもそれは間違いありませんが、中学校や高等学校の実態を見ると、教科による偏りがあるものの採用数に対して受験者が少ないとは言えないと思います。小学校は数値上、指摘されているとおりだと思いますが。受験者数が増える⇒講師をやってくれそうな人とのつながりができる、という考えは他県も同様である可能性が高いです。