先日このような記事がありました。
(「学校だより」でイラストを無断使用、賠償金17万6000円は教員が全額負担 https://www.yomiuri.co.jp/national/20241127-OYT1T50227/)
インターネットが爆発的に普及し始めたのはWindows95または98が発売された時期だと思いますが、手軽に色々な情報を手に入れることができるようになった一方で、著作権に関する理解はなかなか進んでいません。リンク先などを見て、考えるきっかけになれば、と思います。
著作権・著作物を定義づける法律は「著作権法」です。第2条には著作物にはどういったものがあるか、法律上の用語の定義付けなどがされています。基本的には創作されたすべてのものに著作者の権利が存在します。例えば、生徒の創作物にも著作権が存在すると考えられます。絵画コンクールや作文コンクールなどの応募要項に「応募された作品の著作権は主催者団体に帰属します」となっているケースがありますが、本来は「作品の権利は著作者に帰属する」ことが原則です。ただし、「著作隣接権」がそうした団体に帰属する場合はあるようです。
本来、著作物の使用には著作者の権利と利益を侵害しないための使用規定が定められています。しかし学校では、その公益性から条件(使用用途条件など)付きではあるものの、許諾不要で使うことができます。法律が日々かわっていますが、こちらのサイトが見やすいと思います。
メガホン【解説記事】知っておきたい! 学校と著作権、判断基準からトラブル事例まで(https://megaphone.school-voice-pj.org/2022/11/post-2336/)
2のリンクには学校での注意点などが記載されていますが、教員個人が注意できることがあります。それは利用規約をよく読む、ということです。それだけでだいぶ違うと思います。個人・法人・その他、商用・非商用、使用範囲などなど、他所のものを使うときは、これを見る癖をつけると良いと思います。
それでもわからないときは、代用できるものがあればそちらを、どうしてもとなれば責任ある立場の人に聞いてみるのが一番です。
それでも、となれば使わないのも手段の一つです。
※注意※この記事について様々ご意見があるようですが、ここでは起きた事象についての考察をします。
仮にページ最初のようなケースになり、賠償責任が生じる場合があります。個人の活動として行ったことで、著作者の権利を侵害した場合は個人に賠償責任が生じると思います。ただ今回のようなケースの場合、多くは「自治体が賠償金を負担し、支払う」ことが通常と思われます。国家賠償法や地方自治法では、その職務において他者(国民、市民)に損害を与えた場合、公務員個人が賠償責任を負わない原則が規定されています。ただし「故意」または「重過失」の場合は公務員個人に求償(損失分を支払うよう求める)ができることになっています。
今回の記事だけでは何とも言えませんし、判例を確認したわけでもありませんので「市が賠償金を支払い、その賠償金について教員に全額負担を求め、教員も応じた」ということは、「故意」または「重過失」と判断されたということもできます。「HPにまで掲載しているのであれば、稟議⇨決裁がされている」のでは?という疑問も指摘されています。
実際に稟議されていたとして、「この画像は著作権OKかい?」と聞くことができる管理職に乾杯。
なんだかよくわかりませんね。
音楽の世界に身を置くHP管理人は、こうした権利などに敏感なつもりですが、いまいちわからないこともあります。吹奏楽の世界では今に至るまで演奏部分の「カット(コンクールなどで時間内に収めるため)」が常態化していますが、これについても以前は当たり前のように行われていましたところ、近年、著作者(著作権が消滅していない楽曲)や出版社からの注意書きがあったり、許可申請をしたりと、色々変わってきております。
やはり、都度、確認するのが一番だと思います。教員の情報リテラシーについて指摘する声もあります。一理あると思いますが、上記のとおり例外規定があるのも関連し、「何がOKで、何がNGか」が曖昧になっていることもあります。
YoutubeはJASRACと包括契約を締結しています(包括契約しているからなんでもかんでもオッケー、と言っているわけではありません)。これはなかなかできないと思うので、「このサイトはよく使われています。利用規約も一覧で見れます。こうこうこういう使い方で、この範囲なら使用できますよ」というまとめサイトなんかがあれば・・・。