2025年、秋田県の県知事選において、のちに当選を果たすことになる鈴木健太知事は「中学生の県外流出には高校入試が関係しているので、実施方法を変えることも必要」と話しました。それに伴い、現在「スポーツ環境及び高校入試制度の在り方検証委員会」が設置され、議論されています。今の秋田県の高校入試制度を再確認するとともに、何が議論されているのか、議事録等をもとに確認してみます。
2025年現在、秋田県の公立高校入試は次のようになっています。
① 一次募集(特色選抜、一般選抜。実施日は同日)
② 二次募集(一次募集合格発表後に実施)
・特色選抜 特色選抜はそれまでの「前期選抜」とほぼ同じものです。「学校が求める生徒像」「出願の条件」にのっとって受験者が出願します。ただし、前期では3教科だった学科試験が5教科になり、一般選抜と同様になっています。
・一般選抜、二次募集はこれまでと同様です。
・特色選抜と一般選抜は同一校であれば併願することができます。
①日程:一般選抜と同一日になった
②志望、受験校:異なる学校を受験することはできない
③求める生徒像が明確に示され、受験の条件も記載(これは以前もあった)
④学力検査:すべて5教科
①チャンスが減った。
②前期で不合格だった場合、違う学校を受験できたが、それができない。
③特色も5教科になって受験勉強が大変。
・そもそも鈴木知事の発言が「教育に介入しすぎでは?」という声もあります。
・会議では、「秋田県の公立高校に魅力的な部活動が少なくなった」「指導者がいない」「そもそも部活動が無い」などの意見もありました。
・スポーツ環境の充実を図ることと、高校入試制度を同列に扱っているこの委員会自体に疑問をもつ委員もいます。
・何事も「ひと、かね、もの」が整っていないといけません。部活動は学校教育の一環ではありますが、あくまで教育課程外の一環です。それが重要な活動であり、充実させなければならないというのであれば、国や都道府県はそれに対して十分な予算を充てなければなりませんが、それをしていません。
・私立高校の勧誘が激化していることは確かですが、公立学校がそれに対抗する、ということは公立学校の在り方としていいのかどうかも考える必要があります。
・また、公立学校の教員がいわゆる「声かけ(ルールはあります)」をしていることにも、本当は疑問を持たなければならないのでは、と考えます。
・検証委員会では年度内に一定の報告を出す方針ですが、内容については不透明です。
・あくまででも教育行政の決定権は教育委員会にあります。
・部活動の活性化という一面だけで入試制度を見てしまうと、それ以外の受験生に対して公平性に欠けることになります。
・少子高齢化、人口流出ということに懸念があるのだとすれば、「高校に頑張ってもらいたい」というだけではなく「人的、物的な裏付け」があってこそではないかと考えます。