※本記事の元データはこちらからご覧いただけます。
本データは文部科学省「令和5年度公立学校教職員の人事行政状況調査について(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/jinji/1411820_00008.htm)」をもとにして、Excelデータに変換し、編集、分析したものです。
その中でも特に、「2024年(令和6年)3月31日時点の年齢が60歳の者の状況」から引用して表の作成と分析を行っています。
〇全国の採用試験受験者数採用者数推移(https://x.gd/xgjZP)も合わせて見ていただければ幸いです。
・「全国の総括表」は文字通り全国の総計です。
・「秋田県の総括表」は上記と同様ではありますが、残念ながら2024年(令和6年)4月以降の職しかわからないため、「校長が役職定年で教諭へ」といったケースの人数に関してはデータ上読み取ることができません。
・「秋田県の校種別総括表」は小学校、中学校・義務教育学校、高等学校・中等教育学校、特別支援学校の計4校種ごとにまとめています。このデータでは、職の状況等を読み取ることができません。
・当該制度対象者は26156人です。
・60歳退職をしなかったのは18260人、60歳で退職したのは7896人です。
・定年延長(61歳定年)の対象者のうち、約30%が60歳年度末で退職していることがわかります。
・60歳で退職した教職員8000人弱のうち、約20%が定年前再任用短時間勤務や非正規として勤務しています。対象者全体からの割合は約7%です。
・60歳退職後、上記として勤務していないという職員は全体の約7%です。
・制度対象者は362人です。
・60歳退職をしなかったのは230人、60歳で退職したのは132人です。
・定年延長(61歳定年)の対象者のうち、約36%が60歳年度末で退職していることがわかります。
・60歳で退職した教職員132人のうち、約26%が定年前再任用短時間勤務や非正規として勤務しています。対象者全体からの割合は約10%です。
・60歳退職後、上記として勤務していないという職員は全体の約10%です。
・定年前退職者の割合が高い順に「小学校>高等学校等>中学校等、特別支援学校」になります。
・定年前再任用短時間勤務を選択する割合が高い順に「小学校>中学校等>高等学校等>特別支援学校」になります。
・役職定年を迎えて60歳で退職することを選択した管理職が約44%です。ただし、条例で特別に61歳以降も管理職として勤務する方もいらっしゃいます。
・いわゆる延長対象者で、60歳時に退職する割合が高いのが上位順に「校長>教育委員会事務局>教頭、指導教諭>栄養職員>副校長」であることも特徴的です。ただし、栄養職員は実数が少ないためこのような数値になります。
・大まかに言って、3割から4割の方が定年延長せず60歳で退職しています。
・対象者が362名で60歳退職者が132名と絶対数は少ないながらも、3割を超えるというのは想定していなかったのではないかと思います。
・定年前再任用短時間勤務も、臨時講師も、非常勤講師もやらない方の割合が約10%と、全国平均よりも高いのは気になります。
・60歳で退職した定年延長対象者のうち、40%を超えた小学校は、採用数を増やしてもぎりぎりでしょう。少なくともこの時点でも2年がかりで161名が退職することは確定ですし、2024年度も同様の数値だとすれば、明らかに採用数を上回る人数が退職することになります。
ただ、データとして面白いのは、定年前再任用短時間勤務で働く割合が一番多いのもの小学校だということです。
・中学校についても同様で、2年かけて113人退職し、60歳で退職する人がこのときと同様程度だとすれば、ギリギリではないかと思います。
・高等学校は小中よりも深刻です。退職者数と採用者数の差が明らかだからです。教職員定数の問題が一番の理由ですが、定数減に対応するために教職員数の約1割を講師で埋めている現状を打破しなければならないでしょう。
※考察は今後も続きます・・・たぶん。
・文部科学省は「少子化、定数減と定年延長もあるので、教職員不足というものは次第に減っていく」と考えているものと思われます。もちろん各都道府県も同様でしょう。ものの報道によれば、想定外に60歳で退職する人が多かったという自治体も結構あると聞きます。しかし、当然それも想定した上で制度設計をしなければならないはずです。定年延長で教職員が今までよりも長く勤務してくれるので・・・、という言い訳は立たなくなるでしょう。