2025年11月21日、秋田県教育庁教職員給与課より、給特法改正にともなう条例改正案が提示されました。交渉の際にも要求項目としたところですが、具体的な提案は一切なく、「国の制度に準拠するが、具体はまだ決まっていない」として、事実上回答を拒否していました。しかし、実際はすでに原案が固まっている段階だったと考えられます。つまり、条例案提出がほぼ確定した後の事後承諾であり、教職員組合として強く抗議し、協議、交渉を行うよう求めています。
提示された内容は次のとおりです。
①教職調整額を2026年1月1日から2031年1月1日まで年1%ずつ引上げ(さしあたって2026年1月からは5%)
②教員特殊業務手当第1号業務の「児童・生徒の負傷、疾病等にともなう緊急の業務」「児童・生徒に対する緊急の補導業務」について、日額7,500円から8,000円に引上げ
①義務教育等教員特別手当
県立学校職員に支給する義務教育等教員特別手当を改定
「学級担任(特別支援学校及び特別支援学級を除く)の支給限度額を月額8,600円に改定」
「学級担任以外の支給限度額を月額5,600円に改定」
②管理職(校長、副校長、教頭)に対する給料月額への加算
管理職の給料月額を算出する際に加算する額を次のとおり引上げる
「校長:月額3,800円または4,000円」
「副校長、教頭:月額11,500円」
※これらを12月議会にかけ、2026年1月1日から施行することをめざしています。つまり、「担任か、担任以外か」で義務教育等教員特別手当の支給額が、すぐあとの1月から変わってしまう恐れがあります。それが、今の今まで具体案が提案されなかったという異常事態です。
義務教育等教員特別手当は「人材確保法」にのっとった手当です。
現行の支給額は「給料表の号給にしたがって」決められています。
https://www1.g-reiki.net/pref_akita/reiki_honbun/u600RG00000883.html
こちらのページに詳細があります。なお、高等学校教員の場合「別表第2 教育職給料表(一)」のとおりです。
現在の手当額の上限は「1級:5,100円」「2級:7,100円」です。
この手当を「全教職員の支給額を一律に削減し、それを原資とする『担任加算』を行う」というのが今回の改定です。
義務特手当の支給を「校務類型」により支給額を変えることとしたため、教育公務員特例法施行規則の改定により、「担任業務」「担任以外の業務」と分類されたことが大きな疑問で、これが「担任加算」の根拠となります。
11月26日現在、具体的な運用については提示されていません。そのため、想定しかできません。
・国の方針では「月例給の1.5%程度だった支給額を、1.0%に引き下げる」としています。
・仮に4級の上限8,000円が5,600円になった場合の割合は約70%になりますので、すべての支給額の約70%を算出しました(ページ下部の下表)。
・試算した額はあくまでも試算額です。増減は考えられます。
・もし「担任」であれば「+3,000円」、「担任以外」であれば引き下げられた額が支給される、というものと思われます。したがって、担任業務を担う職員の上限が「8,600円」になります。つまり、「担任であればもとの支給額よりも増える」「そうでなければ支給額は下がる」。
今回の提示と教育委員会への報告を見ましたところ、疑問点が生じました。それは、「教職員全体の支給額(支給率)下げた上で、加算をする」ということがどこにも書いていないことです。このまま議案として提案されれば、よほどカンのよい人でなければ「上限が変更されていること」と「教職員全体の支給額(支給率)下げた上で、加算をしている」ことに気付く人は、議員にもほとんどいないでしょう。
※※下の表は、現行の4級上限8,000円が5,600円になることを想定して、1級、2級も同様の割合に引き下げられるケースを予想した試算です。細部に関しては増減もありえることをご了承ください。