日本の各省庁は毎年、財務省に対して次年度予算獲得のための概算要求を行います。それを審査し、次年度予算が決定します。2024年8月末現在、多くの省庁が概算要求を出しています。ここでは、教職員の人件費について見ていきましょう。
義務教育国庫負担金は、義務教育にかかわる教職員の賃金について、3分の1を国庫負担とするために計上されます。残り3分の2は普通交付税措置として都道府県が負担します。
また、市町村小中学校の教職員賃金は都道府県が負担することになっています。
高等学校の教職員の賃金は、道府県分の普通交付税によって職員数分が算定・配分され、各道府県が負担します。また、不足分や支出用途が限られるものなどの特別な交付税として、特別交付税が各自治体へ配分されています。
義務教育国庫負担金や地方交付税交付金扱いの教職員賃金については、算定方法が決まっています。
いわゆる義務標準法、高校標準法といった法律から算出される定数に、職員給与の積算に用いる統一単価(総務省)やそれにかかわる補正係数などを使って算定します。
都道府県でそれぞれ独自に加配を行っている場合は、それぞれの都道府県の予算から支出するため、その予算内で措置する必要があります。
したがって、予算規模の小さい都道府県と大きい都道府県との間に、充実度の差が生まれる状況になります。
前述した通り、義務教育国庫負担金は3分の1で残りを都道府県で負担しています。2006年以前は2分の1ずつだったものが、いわゆる三位一体の改革によって改正されました。合わせて、高等学校は教職員定数が減少する中、加配を含めた定数分が地方交付税交付金として都道府県に配分されています。これも前述しましたが、結果、潤沢な予算をもつ自治体と、かつかつの自治体において、職員の配置など教育条件に差が生まれることになっています。定数における正規教員の割合では、東京都が2022年度調査において唯一正規教員だけで定員の100%を超える率となっています。とはいえ、東京都でも未配置がみられることから、額面通り捉えるのが適切かどうかは注意が必要です。