何かと話題の調査ですが、法律や法令で定義づけられているわけではなく、あくまでも「教育基本法(平成18 年法律第120 号)第16 条第2 項に定める全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図る観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握し、分析を行い、教育施策及び教育指導の成果と課題の検証や、その改善に役立てることを目的として実施しています」とされています。
また、調査の目的は次の通り。
・義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。
・学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。
・そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。
調査対象は「小学校第6学年、中学校第3学年」です。
以降ウィキペディアhttps://ja.wikipedia.org/wiki/全国学力・学習状況調査、文部科学省当該ページhttps://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/zenkoku/1344101.htmを参照しています。
(19年度~21年度)悉皆調査
(22年度、24年度)抽出調査及び希望利用方式
(25年度)きめ細かい調査
抽出調査:都道府県毎に平均正答率が95%の確率で誤差1%以内になるよう抽出率を設定(抽出率約30%)。
希望利用方式:抽出調査対象以外の学校は、学校の設置管理者の希望により、調査を利用することができる。
きめ細かい調査では、対象学年の全児童生徒を対象とした本体調査により、すべての市町村・学校等の状況を把握するとともに、1. 経年変化分析、2. 経済的な面も含めた家庭状況と学力等の状況の把握・分析、3. 少人数学級等の教育施策の検証・改善に資する追加調査等を新たに実施。
(26年度~)悉皆調査
実施日は、毎年4月の第3もしくは第4火曜日とする。
生活習慣や学校環境に関する質問紙調査(児童生徒に対する調査,学校に対する調査)も同日に実施される。
時程は、自治体、学校によって若干ずれる(各校の1時限目開始時刻から始める)が、小学6年生の場合は5時限目まで(理科実施時のみは6時限目)、中学3年生の場合は6時限目(理科実施時のみ7時限目)で終了する。
算数・数学と国語と理科(2012年から、3年に1回)と英語(2018年に予備調査、2019年からオンライン上で実施)の4科目である。2018年度までは、算数・数学と国語では、それぞれ知識力を問う問題 (A) と知識活用力を問う問題 (B) の2種類に分かれていたが、2019年度から理科と英語と同様に統合された。
2007年の復活時には、小学6年生は記名式(中学3年生は番号式)だったため、個人情報の把握や漏洩の懸念の声があったため、文科省は急遽、特例として小学6年生でも番号式を認めた。2008年の調査では小学6年生も番号式に変更された。
文部科学省では本調査を「順位づけするものではない」と言っており、公表もいわゆるランキング化しているわけではありません。しかし、公表されたデータからこうしたことは可能であり、報道各社等により「○○県は〇位」といった報道がされることが定着してしまっています。これについては学校関係者と地域・保護者との間で意見の差異があります。2009年段階では保護者は学校選択の基本情報として公開を求める声が6割ほどありました。行政、政治家等がこの順位を持ち出すことで、これに携わる小中学校の先生方は複雑な気持ちになるでしょうし、次の調査は今回よりも順位をあげなければならないということを思うのではないでしょうか。
また、この調査が統計学的、学術的に調査として十分ではないという意見もあります。この辺はウィキペディアにも記載されており、こちらの記事にもなっていますし、本も出版されています。かなり辛辣な意見が述べられているのと同時に、なるほどと思わせられる内容でもあります。https://synodos.jp/opinion/info/23796/
そちらの記事にもありますが、「これは一体何のための調査なのか」という目的がぶれていると言っていいのかもしれません。目的には「教育施策の成果と課題を検証し、改善を図る」とありますが、それまでの施策がよくなかったと言い切れる省庁はそうそう無いと思われます。そして課題に対する対策は、「それぞれの教育委員会、学校、教員がもっと質を高めること」ということに集束するのではないでしょうか。
人間、どうしてもわかりやすい順位や数字に目が行きがちですし、報道各社の報じ方は非常に重要なファクターです。その点をテレビ、新聞、ネットニュース各社におかれましては、十分にご理解の上取り扱って欲しいものです。