P戸松孝夫:「P半澤健市『年表昭和・平成史新版』のご案内」を読んで 2019.7.18

2019.7.18

P半澤健市:「年表昭和・平成史新版」のご案内 2019.7.17

紹介された本著の2004年、2011年増補版をどちらも長らく僕は愛用してきたが、我々が生きてきた昭和から平成の全時代にわたり世界と日本の動きが一目で判るように編纂された便利な小冊子である。保管場所に苦労しないA5版の小型で100頁足らずのhandyな物だから僕はパソコンの脇にぶら下げて、辞書替わりとしても適宜利用している。

1年1頁の編集方針を徹底し、その年の歴史的な出来事が日付順に挙げられ、内閣名や世相を映す写真も各頁に掲げられている。例えば我等が社会に出た1958年のページは、第1・2次岸内閣の下、マイカー時代の幕開け、一万円札発行、インスタントラーメン登場の年と位置付けられ、警職法改悪反対闘争の写真が上部に掲示された上で、40件余りの出来事が2列の年表になって掲載されている。

各年・頁に掲げられた40数件の出来事は如何なる基準で選ばれたのかは不明だが(筆者の「歴史認識」に基づく?)、我々の記憶にあるeventsは殆ど全て掲載されているようだ。

馬齢を重ねると、これまでに自分が実体験として遭遇した諸々の現代史上の事実を思い出すことがよくあるが、「あれはいつごろのことだったケ」

と考えて、思い当たる年代の頁を本著で開いてみると、その前後数頁以内にその事実が文字で登場するのも面白い。序に年表の関連頁に列挙された諸々のEventsに目を通し、若き時代に遡って思いに耽るのは老人の特権か。

参考まで編者の中村、森両教授は何れも我等の後輩にあたる如水会員であり、また編集に協力した(実務の全てが任されていたと思われる)筆者は御存知の通り、我らと全く同じ時期に大手金融機関でサラリーマン生活をしていた同輩だという意味からも、親しみを感じる作品である。リタイア後二十数年間知的活動からは遠ざかっている多くの同輩とは異なり、博士号を取得しacademicな分野で活動を続けている筆者には深く敬意を表したい。