2024年夏の中教審答申を受けて、給特法関連の報道が続くようになりました。2024年11月現在、報道ベースも含めれば、3つの案が国から漏れ伝わっています。それぞれを見ていきましょう。
文科省は令和7年度予算概算要求で、令和8年1月から教職調整額を13%まで引き上げるべく予算要求しています。そもそも2024年夏に出された中教審の答申の内容は、自民党の教育に関する特命委員会から出されていた「令和の教育人材確保実現プラン(提言)」から大半が引用されています。
数年来「働き方改革、処遇改善、指導・運営体制の充実を一体的に進めていきます」というセリフは随分と聞いてきましたが、そのうちの処遇改善の一つとして教職調整額のパーセンテージを上げたいと文科省は考えています。
財務省は文科省の概算要求を受け取り、来年度予算の査定に入っています。それもあって、13%にはできない、しかし目標を達成するごとにインセンティブを与えるように10%までは引上げてもよいかも、という考え方にもとづいてこのような案が出てきたものと思われます。
具体的には、5年間をかけて時間外勤務時間を削減、1年ごとに評価し2%ずつ引き上げる、5年後には10%になるという内容です。
11月初旬、政府が「教員への時間外勤務手当支給を検討」しているらしいとの一部報道がありました。文科大臣は否定しており、その事実関係はわかりません。
どこから出てきたものかがよくわかりませんので真偽のほどは明らかではありませんが、今回この報道が出たことによって、議論が白熱していることは事実でしょう。
財務省と文科省がお互いに牽制しあっています。この件について、yahooの記事でジャーナリストの前屋毅さんが述べているのが言い得て妙だと思います。(以下引用)
財務省案は「教員の数を増やさず、教職調整額引き上げを〝エサ〟にして強引な残業時間の縮減を迫るやり方(エサで釣るやり方)」で必要な教育や指導の時間まで教員から奪ってしまう可能性があり、それでは充実した教育や指導ができなくなる懸念がある。
文科省案は「在校時間の公表は、残業時間縮減の自治体間の競争を煽る結果にしかならないのは目に見えている。校長の人事評価に働き方改革の観点を導入すれば、評価を上げるために校長は、残業時間の縮減を強引に教員に迫ることになるだろう。パワハラが続出することにもなる。そのような強引な残業時間の縮減は、必要な時間までを奪うことになる(尻をたたくやり方)」(引用終わり)※(https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/ad22ac3bbd9b4ef82e8e7d40f2cfa169416adf76より引用)
というように、結果的に行き着く先は同じではないかと指摘しています。
実はどれをとっても負の側面があります。ですから、二元論になることを避け、ケーススタディを入念に行うことが求められます。そこから、有効な手段を模索していく必要があります。