倉敷市真備町内の井原鉄道井原線の橋脚には真備町にゆかりのある場所や有名人などをモチーフとした壁画が数多く描かれています。
この壁画が描かれるようになったきっかけは、2001年に真備町が募集していた「すくすく町民提案」において、真備町や井原線のイメージアップや落書き防止の効果を狙って井原線川辺宿駅~備中呉妹駅間の高架橋の橋脚に1人1枚ずつ絵を描き、2年ごとに描き換えるという提案が最優秀の吉備真備賞に選ばれました。
2002年の平成14年6月定例真備町議会議事録によると、場所は大曲船穂線と倉敷美袋線の交差する橋脚で、大きさが縦2.1m、横3.6mのものを予定していたようです。
2003年に真備町内の井原線の橋脚に壁画が描かれました。
2003年3月28日の山陽新聞の記事によると、この時点では3枚の壁画が描かれていて、
真備町川辺の井原線川辺宿駅の橋脚に、倉敷芸術科学大学大学院芸術研究科の学生さんが描いた「金田一耕助」をイメージした作品があります。
山陽新聞には作品の前に立っている制作者さんの写真が載っています。
2004年4月には真備町観光協会がこの壁画の意匠をもとにしたらしい携帯電話ストラップを販売していました。新聞の記事や広報まびにもこの壁画については全く触れられていないので、あえて”らしい”と書いています。
タテ3.5cm、ヨコ2.5cm、厚さが9mmほどのゴム製で赤色の本を模したものに、金田一耕助のシルエットと「金田一耕助之姿繪」の文字がデザインされています。
2002年10月15日に開館した横溝正史疎開宅でのみ販売されていて、製作数は限定950個。価格は消費税込み500円。
2003年3月28日の山陽新聞には吉備真備駅(真備町箭田)近くの橋脚に「竹」と「サツキ」の壁画があると書かれていますが、実際には吉備真備駅から西に1.5km離れた真備町尾崎の倉敷美袋線の宮田橋近くにある交差点に2つの壁画が描かれています。
真備町尾崎の宮田橋北交差点の南東にある橋脚には、倉敷芸術科学大学の学生さんが描いた真備町の町の木である「竹」を描いた作品があります。
山陽新聞の記事にある氏名と壁画に書かれている氏名が同じです。
今回実際に作品を間近に見てみて、高架の排水管もこの作品の一部で「竹」を模していて、取付金具のところが「竹の節」になっていることを知りました。
真備町尾崎の宮田橋北交差点の南西にある橋脚には、倉敷芸術科学大学の学生さんが描いた真備町の町の花である「サツキ」を描いた作品があります。
作品にサインなどが書かれていないので100%この壁画であるとの確証は現在のところありませんが、この作品であろうと推定しています。
2003年12月12日の山陽新聞に、「5枚目は「かぐや姫」よ 井原線橋脚の壁画制作 真備東中生描く まちの名物に期待」という記事が掲載されていて、「すくすく町民提案」により進められてきた壁画制作はこの時点で5か所5作品あることがわかりましたが、4作目について紹介している新聞記事を見つけることはできませんでした。
ただ、この日付の新聞によると「吉備真備」をモチーフとした壁画も制作されているとのことです。
真備町箭田の大曲船穂線の二万口南交差点にある井原線の橋脚には「吉備真備」をモチーフにした壁画が描かれています。
壁画にはサインといったものも書かれていないようで、誰が描いた作品かは今のところ不明です。
「吉備真備」という新聞記事の文字だけでの憶測でこれが4作目かどうかの確証はないです。
真備町川辺の川辺宿駅から東に500mのところにある橋脚に5作目の壁画があります。
2003年12月12日の山陽新聞によると、真備東中学校の美術部員が制作したとのことで、町特産の竹にちなんで「かぐや姫」をモチーフに描かれた作品で、作製期間は約4か月。縦が3.5m、横は3m、アクリル絵の具で描かれているとのことです。
倉敷市総務課歴史資料整備室が所蔵している「すくすく町民提案」の文書には募集で集まった提案書がファイリングされていて、実際どのように実施されたかについての報告といった類の書類は無かったです。
「H12すくすく町民提案」のファイルに平成12年度から平成14年度に集まった提案書がファイリングされていて、この提案が書かれた用紙もありました。
5枚目以降については、山陽新聞等に関連の記事を見つけられなかったので、「すくすく町民提案」での事業としては全部で5か所5作品の壁画が描かれたと推測しています。
2005年からは倉敷真備ライオンズクラブが主催している「井原線橋脚に絵を描こう」という事業を続けられていて、真備中学校や真備東中学校の生徒さんが壁画を描いているそうです。
真備町すくすく町民提案 最優秀に水川、薮木さん 水川さん 井原線橋脚に絵 薮木さん 登山コース整備、山陽新聞、2001-12-05、朝刊、総社、P.32
町民提案 入賞者決定、広報まびVol.530 12月25日号、2001-12-25
議会 真備町、山陽新聞、2002-06-07、朝刊、総社、P.36
平成14年6月定例真備町議会議事録、真備町議会事務局、2002-
H12すくすく町民提案、真備町企画課、2002-
真備町内の井原線高架3カ所 橋脚の壁画で町PR 金田一耕助、竹、サツキ 住民アイデア採用 倉敷芸科大生が描く、山陽新聞、2003-03-28、朝刊、総社、P.36
芸科大生が壁画製作 真備の井原線橋脚 金田一耕助やサツキ、山陽新聞、2003-03-28、朝刊、倉敷、P.36
5枚目は「かぐや姫」よ 井原線橋脚の壁画製作 真備東中生描く まちの名物に期待、山陽新聞、2003-12-12、朝刊、総社、P.30
金田一耕助ストラップ発売 真備町観光協会が疎開宅で、山陽新聞、2004-04-01、朝刊、総社、P.36
金田一耕助携帯ストラップ販売中、広報まびVol.580 4月10日号、2004-04-10、
金田一耕助のストラップ 横溝正史の疎開地・真備で人気 町おこしに一役=岡山、読売新聞、2004-04-17、大阪朝刊、岡山2、P.30
2024年11月16日 作成