少林寺山

園遊会(報告)

山陽新報 昭和十年十一月十四日(木曜日)

少林寺山賑ふ

十勝投票記念の

園遊會は大盛況

岡山市國富少林寺山保勝會主催の十勝記念少林寺山園遊會は秋陽に映える緋の樣な紅葉の下、少林寺境内にて盛大に開催、快晴に誘ひ出された人々が午前十時の定刻を待ちきれないでぞろぞろと押しかけ一時は寺も山も人で埋まる樣な景氣であつた、境内に張られたすし店、汁粉店、おでん店などは超滿員の大盛況、幽境紅葉谿には野立の趣向、羅漢堂前には地元小林牧場のちゝ店の寄贈あり、書院の宗猿和尚の席も終日清客の殺到で賑つた、この日の來賓ざつと千餘人、豫想以上の盛會に主催者側も面喰ふ程であつた、これを機會に少林寺保勝會も愈正式に組織の機運漲り、岡山市民の清遊地として境内の設備の充實を諮り、操山公園の西入口としての眞價を高めようといふ事になつた

桜の開花状況

山陽新報 昭和十一年四月十一日(土曜日)

春雨に誘はれて

“さくら”微笑む

滿開は十九日ごろ?

縣下各地の花信しきり

さくら、さくら、春のホープ櫻はまだ咲かないか……今年は彼岸を過ぎてから寒波の不意打ちがあつたりして、そのため櫻花の微笑むのは例年より遅れてゐたが暖かい春雨に誘はれて急にスピードがかけられたのであらう薄紅の蕾が嬉しくも割れはじめて『おーい、さくらが咲いたぞ!さくらが……』と人々はいよいよたけなはな春を想ひ起してゐる、さて滿開はいつごろか、岡山縣下のさくら名所にきいてみよう

少林寺

岡山縣十勝地五百羅漢少林寺の櫻は今年は非常におくれて梅花未だしぼみきらぬに彼岸櫻は今眞さかり、吉野櫻もポツリポツリと咲きそめて、文字通り『百花一時に開く』の奇現象を呈してゐる

保勝會も愈々來る十八日に發會式を擧げ、同時に茶室その他の建設にも着手する運びとなつて居り

十勝記念碑も竣工近づいてゐるので、今年の少林寺の春は極めて華やかである

咲いたぞ!さくら 少林寺 きのふうつす

保勝会の設立

山陽新報 昭和十一年四月十六日(木曜日)

少林寺保勝會

十八日發起人

會を開く

觀光施設外客誘致の叫ばれてゐる折から岡山市には現在のところ後樂園以外には觀光地がないので市の有志はかねてから保勝地を物色中のところ先般本社十勝地入選岡山の至寶五百羅漢を有する少林寺が觀光地として最適なりとしこれが觀光施設の機運が具體化して來たが今回市の有力者山上、國富、山崎、光藤、更井の五氏發起人となり同地に保勝會を創設し、各種の施設をなし全國に觀光岡山市に一層の拍車をかけることとなり、これが具體化の第一歩として十八日午後一時から少林寺において第一回發起人會を開催する