三野公園

動物園の設置計画

山陽新報 昭和十一年一月七日(火曜日)

三野公園に

鹿を放つ

動物園設置の準備

きのふ關係者實地調査

岡山市北郊の三野公園は市民の遊園地として恰好の地位を占めてゐるが岡山市聯合壯年會、同青年團で共同事業として三野公園内に小動物園を設置することとなり、六日齋藤社會課長、牧野書記、小合市議らの一行は實地調査を行つたが、近く幹事會を開いて決定することとなつた、しかして當初の計畫では豫算七百円をもつて五番の鹿を購入、はじめは畜舎内で飼育するが土地に馴れたのちは放ち飼ひとし訪れる散策者にとつて一入の風情あらしむるはずであるが、かはつた赴きだけに多大の期待がかけられてゐる

記念碑の建立

山陽新報 昭和十一年四月三日(金曜日)

十勝三野公園

入選記念碑建設

四日關係者約一千名を招待

盛んな祝賀式を催す

岡山市北部の三野公園は昨秋本社主催の十勝十五景二十秀地選奬投票で十勝の入選したので地元關係者は各種の遊戲施設、植樹等を行ふとゝもに大々的宣傳に乘り出すこととなり、既に頂上に十勝地入選を記念する大記念碑の建設を了へたので四日午前十一時から石原市長、三野公園入選祝賀會協贊會長小合金光氏主催のもとに關係者約一千名を招待盛大なる建碑式を擧行し、引續き午後三時からは特別關係者を招待し園遊會を開くなど盛大な入選祝賀の催しを擧げ春の觀光客誘致に華々しく乘り出すこととなつた

記念碑建碑式

山陽新報 昭和十一年四月五日(日曜日)

輝やく三野公園

市長ら約一千名が參列して

十勝地記念碑建碑式

岡山市の北端、旭川の清流に袂を洗ひ若い、櫻樹に明粧された三野公園の本社選奬十勝地記念碑建碑式は四日午後一時から春色漸く濃やかな同公園頂上でいとも盛大に執行された定刻煙火を合圖に主催者側石原岡山市長、協贊會長小合金光氏、來賓縣市各官公衙、交通關係者、在岡有力者本社員を始め各新聞社員、中小學校長、協贊會員及び一般市民等約一千名が參列修祓降神行事あつて、齋主森神官の祝詞、玉串奉奠の後、石原市長の式辭、來賓高見本社常務を始め各方面の祝辭あり、昇神行事で式を閉ぢ引續き午後二時より記念碑前の廣場で祝賀會に移り一同、綻び初めた櫻樹の下に美酒を酌み交はし觀光岡山の制服のマネキン“三野”の春を謳歌した

なほ午後四時からは水源池事務所で同公園の十勝地入選特別關係者を招待、園遊會も催され終日三野公園は祝賀の一色に塗りつぶされた

桜の開花状況

山陽新報 昭和十一年四月十一日(土曜日)

春雨に誘はれて

“さくら”微笑む

滿開は十九日ごろ?

縣下各地の花信しきり

さくら、さくら、春のホープ櫻はまだ咲かないか……今年は彼岸を過ぎてから寒波の不意打ちがあつたりして、そのため櫻花の微笑むのは例年より遅れてゐたが暖かい春雨に誘はれて急にスピードがかけられたのであらう薄紅の蕾が嬉しくも割れはじめて『おーい、さくらが咲いたぞ!さくらが……』と人々はいよいよたけなはな春を想ひ起してゐる、さて滿開はいつごろか、岡山縣下のさくら名所にきいてみよう

三野公園

本社選奬十勝地の岡山市三野公園の櫻の蕾もふくらみ、十二日ごろにはぼつぼつ開花、十五、六日ごろは滿開で最も見頃であらうとのこと

同公園の櫻は吉野櫻で植栽してから既に十ヶ年を經過してゐるので櫻樹としてもまた身ごろの格好であらう

頂上には入選以來亭、料理店など遊覽施設も完備し、同公園の位置も市に近く市内バスを利用すれば僅か十分間で花の三野を訪ねることも出來る

満開の日曜日

山陽新報 昭和十一年四月十九日(日曜日)

一齊に咲いた櫻

あす書入れの日曜日

お天氣は午後から晴

無軌道な寒波の強襲に阻まれ十日から十四、五日も開花の遅れた櫻が昨今の甘い春雨や陽氣に誘はれて一齊に開いた、乳色の花の臺、花のトンネルに惱ましい情怨を沸かす春着の麗人達はもう野に丘に撩亂のスプリング・ステツプを踏んでゐる、櫻もこぞめの幕を垂れ雲雀のこゑも酣春の■だ、霞に融け、花に曇る四月の顏は晴れやかに輝いてゐる、さあ押しかけよう、さくらの丘へ、明日は日曜日、後樂園、東山、奧市の櫻は九分咲きだ、三野公園もよい、本社選奬十勝十五景地も花信を生んでゐる、岡山測候所にお天氣をきいてみる

高気壓は八丈島東方に低気壓は黄海から支那東海に谷を作つて東へ移つてゐるのであすも午前中はふりみふらずのお天氣だが午後からはからりと晴れるだらうと