各新選地の紹介特集記事
※ページが長くなるため、ここでは各新選地の見出しのみを記載しています。
十勝地巡り
【1】 鹿久居島
山陽新報 昭和十一年一月一日(水曜日)
瀬戸内海の觀光地に
鹿久居島の登場
晴れの花道は岡南鐵道
近代人を魅す壓倒的自然美
【2】 吉備津彦神社
山陽新報 昭和十一年一月三日(金曜日)
老松杉參差として
幽寂荘嚴の神域
新造營に誇る拜殿本秋竣工
【3】 天王山
山陽新報 昭和十一年一月四日(土曜日)
風景的デパートの
シヨウ・ウインドウ
山の附近一帶は史蹟の寶庫
多彩豐富な天王山
【4】 高松常昌院瀧
山陽新報 昭和十一年一月五日(日曜日)
幽寂な仙境に懸る
高松常昌院の瀧
眺める瀧よりも打たるゝ瀧
淺春譜を唄ふ老鶯
【5】 少林寺山
山陽新報 昭和十一年一月六日(月曜日)
松の操山を背景に
輝く五百羅漢少林寺
名物は“羅漢”と“庭”と“曙椿”
得意の頂上宗猿和尚
【6】 井原の櫻
山陽新報 昭和十一年一月七日(火曜日)
花は櫻よ、櫻の井原
“ボクの春”や近し
豪華・小田川堤花のトンネル
廣範圍の新觀光地
【7】 笠岡古城山
山陽新報 昭和十一年一月八日(水曜日)
瀬戸内海の風光を
一眸の中にす古城山
明朗な躍進譜を奏づ
“ミナト・笠岡”“觀光笠岡”
【8】 福山城址
山陽新報 昭和十一年一月九日(木曜日)
六百年の昔を偲ぶ
忠蹟備中福山城址
山頂本丸跡に飜へる大國旗
“山陽道の大望樓”
【9】 酒津水門
山陽新報 昭和十一年一月十日(金曜日)
明朗、酒津風景に
頬紅をさす“千本櫻”
春は數萬の觀客を呑吐
日一日形態を整ふ觀光施設
【10】 三野公園
山陽新報 昭和十一年一月十一日(土曜日)
四季の眺めはよし
遊園地“三野公園”
岡山中心地帶から僅か十分
誕生して漸く十年今や容姿を一變
十五景地を巡る
【1】 道祖溪
山陽新報 昭和十一年一月十二日(日曜日)
溪谷美の道祖溪
西備一の仙境、十五町餘の間
連續的に懸る飛瀑の景觀
【2】 鬼ノ城
山陽新報 昭和十一年一月十三日(月曜日)
直經六尺の“鬼の釜”
古跡と傳説の“鬼の城”
天へ立ちのぼる白龍の姿
山陵と溪谷を繋ぐハイキングコース
【3】 吉備の中山
山陽新報 昭和十一年一月十四日(火曜日)
吉備の中山おしなべて
千歳の松の深き色
鎌倉文化の樣式を誇る建築
吉備津彦神社は史家愛敬の境
【4】 明王院
山陽新報 昭和十一年一月十五日(水曜日)
春は櫻に秋は紅葉
明王院山頂眺望絶佳
由緒ある寺歴と園庭の美
山陽線鴨方驛から南へ五、六町
【5】 和意谷
山陽新報 昭和十一年一月十六日(木曜日)
清明幽寂の境和意谷
池田家累代墳墓の地
山峽、清冽な水を流して
“颯爽とハイキング”に恰好の地
【6】 矢上山寶島寺
山陽新報 昭和十一年一月十七日(金曜日)
酒の本場連島の誇
寂嚴で名高い寶島寺
壇浦、那須與一の矢が流れ着いた矢上山
山頂からの眺め頗るよし
【7】 苫田温泉
山陽新報 昭和十一年一月十九日(日曜日)
苫田温泉夏冬知らず
何時も湯の中花盛り
ラヂウム湯靄のぼかしぞめ
保勝會で急ぐ觀光施設のいろいろ
【8】 王子ケ嶽
山陽新報 昭和十一年一月二十日(月曜日)
觀光線上、くつきりと
浮び出でた王子ケ嶽
スケール雄大な内海の展望臺
山櫻に躑躅、春は山頂花の雲
【9】 圓通寺
山陽新報 昭和十一年一月二十一日(火曜日)
内海の眺めも絶佳
良寛で名高い圓通寺
詩の町歌の町玉島の公園
お土産物にもすべて“良寛”の名を
【10】 由加山
山陽新報 昭和十一年一月二十三日(木曜日)
其昔の歡樂境由加
玉垣、石燈籠に見る古の繁榮
春は滿山花、新緑のころは杜鵑の聲を
交通に惠まれて再興近し
【11】 龍之口八幡宮
山陽新報 昭和十一年一月二十四日(金曜日)
岡山市近くこの淨地
山海の眺め豊かなこの城址
參詣客相踵ぐ龍之口八幡宮
【12】 金山
山陽新報 昭和十一年一月二十五日(土曜日)
史蹟と傳説の金山
海拔五百メートル備前平野を睥睨
天氣晴朗の日には遙か隱岐の島も見える
豪壯 天領の金山寺
【13】 御嶽山
山陽新報 昭和十一年一月二十六日(日曜日)
處女美の大島みたけ
明粧、近く觀光線上に輝かん
雄大な展望植物昆虫は多種、多樣
【14】 寶貴山
山陽新報 昭和十一年一月二十七日(月曜日)
佛教美術の大殿堂
平安朝以來の古刹寶貴山安養寺
國寶“日本一の毘沙門さま”
倉敷市から北へ三十町・櫻の名所
【15】 田鶴山城址
山陽新報 昭和十一年一月二十八日(火曜日)
迷子にならぬ田鶴山
春は近郷の學童唯一の遠足地
城址を中心の觀光ルート新設
二十秀地を巡る
【1】 横井小原
山陽新報 昭和十一年一月二十九日(水曜日)
全山をおほふ桃
“不動の瀧”から岩戸の頂上へ
白銀の砂丘は砂鐵の採取地
古墳の横井小原
【2】 宇南寺
山陽新報 昭和十一年一月三十日(木曜日)
白皚々の宇南寺
老松矗々、美甘平野の高臺
今の本堂は九十年前の假建
魅惑、四時の眺め
【3】 高尾烏帽子岩
山陽新報 昭和十一年一月三十一日(金曜日)
奇岩中の記録破り
流石の太閤樣も手がつけられず
そのまゝにして今では展望台
高尾の烏帽子岩
【4】 上寺山
山陽新報 昭和十一年二月一日(土曜日)
東備一の展望臺
南朝六百年の史蹟を背景に
物靜かな社殿と伽藍と寶物
備前八景上寺山
【5】 遙照山
山陽新報 昭和十一年二月三日(月曜日)
備南一の遙照山
花の頃には勞せずして
四百米の山頂を極め得よう
備南の海景一眸に入る
【6】 柳井原遊水池
山陽新報 昭和十一年二月四日(火曜日)
湖水をめぐる櫻
艷麗豪華“水に映つて二千本”
近代科學に立脚した用水工事の驚異
山岳氣分豐な柳井原遊水池
【7】 高福寺
山陽新報 昭和十一年二月六日(木曜日)
“赤磐郡の公園に”
鶯きゝつゝ谷間傳ひに十七八町
四時、自然の美を一山に集む
幽寂境・高福寺
【8】 大佐山
山陽新報 昭和十一年二月七日(金曜日)
スキーの大佐山
數百米に及ぶ白銀のスロープ
本格的な山岳スキー場として賑ふ
縣下無双を誇る眺望
【9】 毛無山
山陽新報 昭和十一年二月八日(土曜日)
自然の一大景觀
春から夏へ咲き誇る高山植物
新庄川沿岸に美しき傳説と景勝、舊蹟
眞庭の高峰毛無山
【10】 神庭の瀧
山陽新報 昭和十一年二月九日(日曜日)
我名瀑、神庭の瀧
田村林學博士が折紙附けた
氣品に富む麗姿
【11】 天磐窟溪
山陽新報 昭和十一年二月十日(月曜日)
雄大なる自然の美
グロテクスな醜貌を誇る鐘乳石
洞窟中底知れぬ淵には四時絶えぬ“神水”
手莊村の天磐窟谷
【12】 宇甘溪
山陽新報 昭和十一年二月十一日(火曜日)
南宋畫の宇甘溪
溪流美の延長豪溪を凌ぐ
嶄然頭角を現はさんこの景勝
近く川魚料理を名物に
【13】 木野山櫻
山陽新報 昭和十一年二月十二日(水曜日)
陽春四月・滿山櫻
夜は數百のボンボリにあかし
山上から瀬戸内海の眺めまたあかず
玉島町が持つ風景美の一つ木野山櫻
【14】 萬成山
山陽新報 昭和十一年二月十三日(木曜日)
モダン萬成素描
三門駅から徒歩で僅か十分
この靜寂境、此眺望
【15】 足守近水公園
山陽新報 昭和十一年二月十五日(土曜日)
足守の近水公園
舊藩主木下家の庭園
今は觀光地足守のマネキン
【16】 木綿崎山
山陽新報 昭和十一年二月十六日(日曜日)
山上に飜へる教旗
靈地金光の木綿崎山
上古は瀬戸で航行者の難所も
今は精神文化の中心地に
【17】 通仙園
山陽新報 昭和十一年二月十七日(月曜日)
海景公園通仙園
水島灘の眺望を一手に引受け
晩春は躑躅の名所
【18】 楢の櫻橋
山陽新報 昭和十一年二月十八日(火曜日)
水清き加茂の流れ
シークな“楢の櫻橋”
鮎や鯉で名は高く螢の名所
堤には櫻、鷹山の眺望またよろし
【19】 黒澤山
山陽新報 昭和十一年二月二十日(木曜日)
昭和池の黒澤山
四十餘萬圓の巨費を投じて
“谷”が“池”に早替り
【20】 明禪寺城址
山陽新報 昭和十一年二月二十一日(金曜日)
操山續きの寂境
古戰場、明禪寺城址
岡山人には最も手近な散策地