2018/11/9 Class 6

投稿日: 2018/11/09 9:14:22

記録

    • 出席確認と事務連絡.1038まで

    • 神取 7.1節.1108 まで

    • 神取 7.2節,1200 まで

    • 16名出席.第3, 4, 5 回に欠席した学生が来た.この科目を放棄したわけではないそう.

    • 補助教材のアウトラインに従いつつ,神取テキストを投影して講義.

    • 「小テストは少しは勉強になった?」と聞くとぱらぱらと手が挙がった.でも,ちゃんと理解してないとできない問題だったかというと,必ずしもそうではないかもしれない (特に未受験者が多い小テスト2の方).大事なのは理解につながるような勉強をすることで,そこは個人の取り組み方次第といえる部分が大きいかもしれない.

      • ちなみに小テスト 1, 2 と同じ範囲をカバーした2016年度中間テスト得点分布は: 8, 8, 8, 8, 8, 8, 8, 7, 6 点だった.満点8点を取ることは今年度でいえば小テスト1 と小テスト2の両方に合格するのと同レベル.小テストの初回受験時の点数はこれに比べるとだいぶ悪い.テストではなくてラーニングのつもりで受けている学生も多いだろうから比較するのは無理があるけど.

    • 13時からの松井彰彦講演に受講生少なくとも一人は参加.室町時代の歴史の話と独禁法のリニエンシー制度導入に関わったひとりとしての話.大学受験生向けみたいな内容.僕は「[居並ぶ法学者たちが反対するような制度導入を主張することで個人的な] 見返りあったんですか?」とか質問.「いい質問です」とフォローしてもらった.

    • [追記] 「課徴金」を「罰金」と呼ぶと法学者に怒られる話があった.経済学者は法学者ほど自分野の用語を押し付けない気がする.用語を用いるのは分析という目的があるからで,目的を共有しない人にまで用語を押し付けることはあまりないような.経済学者自身,数理的に表現されたモデルの扱いでは厳密さにこだわるけど,表現されたものをどう呼ぶかにはあまりこだわらない.それぞれの用語がモデルにおいて何を指しているかが分かりさえすれば正確な議論はできる.「最適反応」を「最適応答」という人もいれば,「ナッシュ均衡」を「ナッシュ均衡点」と呼ぶ人もいる.展開形ゲームにいたっては「点」「頂点」「節」「ノード」にせよ「線」「辺」「エッジ」にせよ呼び方はバラバラ.

    • [追記] 政府の仕事で見返りがあったとしても,そう答えるわけにはいかない方が普通でしょ.だれも質問しなかったから,親切な僕が最初に少しバカな質問をしてやることで質問へのハードルを下げてやったのさ.実際,そのあとはもっぱら自分の関心で質問していた教員がいた (まあ,僕のおかげではないだろうけど).

事務連絡

  • 小テスト2 の締め切りまではまだ時間はあるが,次の小テストも迫っているのでさっさと受けた方がいい.小テスト1 の「救済」該当者はそちらも急いだ方がいい.

  • 「次の小テスト」としては展開形ゲームを扱った小テスト3 もあるけど,それ以外に小テスト 1, 2 と同じ範囲のものも計画中 (問題はだいぶできているが,Web テストにはしておらず,実際に実施するかどうは未定).

  • [受講のアドバイス] 話を聴きながら読むのは簡単ではないので (少なくとも自分はそう),授業中には投影された画面の文章をあまり読まないことを勧める.(スライドになっていないぶん文字が多いという事情もあり) 注目すべき部分は意識的にレーザーポインターで指すようにしている.そういう部分はよく見るべきだが,あとは聴くことに集中した方がいい.文章を読むのは授業の前か後にやって欲しい.授業中にテキストをそのまま提示することには,それに触れてもらうことで読むことに対する抵抗をできるだけやわらげたいという意図もある.

授業の内容への補足

    • 「ゲーム理論: 補助教材」の3.1節には講義アウトラインが,3.4節にはコメントが,3.6節には読書案内がある.講義アウトラインには神取に載っていない用語や約束事が含まれるのでチェックすべき.今回は必読ページが多いので落ちこぼれないように.

    • [追記;取込済] 神取367頁コメント7.1について.「戦略」とはゲームをプレイするための指示書のようなものだ.コンピューターのような忠実な代理人が実行できるようなものでなければならない.そのためには起こりうるあらゆる場面 (自分がその指示書に従い損ねた結果起きてしまった場面もふくむ) についてなにをするかを書いておかなければならないのだ.図7.8の女の戦略未満のものについて言えば,男が F をとったばあいに何をすればいいのか書かれていないようでは指示書として不十分というわけだ.

  • [おまけ] サピックス09きらめき算数脳小学2・3年生30-31に関する問題を Moodle に置いた.「支配される戦略の繰り返し削除」 (すでにやったし,天谷5章の「封筒の交換ゲーム」でも出てくる) とか今日やった「逆向き帰納法」あたりと考え方が共通する部分がある.この授業ではゲーム理論の約束事を覚えないといけないが,いったん覚えてしまえばこの小学生問題 (この問題集では3段階中最低レベルの難易度) ほど複雑な思考力は要求しないと思う.

    • [おまけ] いま流行りの人工知能 (AI).その先端を行く2017年のアメリカ人工知能学会でも「ゲーム理論と経済学」分野は全発表件数の16%を占める有力分野になっていた (こちらの報告の6頁).「AI囲碁・将棋は、動学構造モデルの計量経済学における最高の成功例である」と論じる人もいる.

  • [おまけ] ところでテキスト著者である神取さんってどんな声してるの? こちらのゲーム理論科目の2分弱のプレビュー動画で彼の話している様子 (英語) が見れる.彼は2016年にも同一科目を開講して人気だった様子.ただし話題はほぼ戦略形ゲームに限定されていた:

課題および次回の予定

取り組むべき課題,読むべき文献,次回の予定については,シラバスの「授業計画」を参照.

    • 次回 Class 7 では,小テストに直結する「問題解説2」を終え,神取7.4節に進むか岡田4章に戻るか.