2010/7/13 Class 13

投稿日: 2010/07/11 19:04:23

■やったこと

Ch 以外の4名 [訂正] が参加.

  • アナウンスメント.1030-1040.

  • ホテリングモデル.1040-1115.

    • 梶井・松井 239-242頁とそのノート [Moodle の kajii-m00p239.pdf と kajii-m00p239notes.pdf] を解説.

    • 補助教材 演習3.10 (梶井・松井練習問題13.1, 13.2) を解説.

    • 奥野 (okuno08ch4) 197-199 頁も参考になる.

  • 中間試験 3. 1115-1141.

      • 多くの要望に応えて試験時間を26分に延ばした.本来は20分ていどで十分なはずだから,やや時間がかかりすぎだろう.

      • 素点による満点は11点で素点合格点は 7点 (約63.6パーセント) とした.

      • 配点は7点でゼロ基準点は4点.7点から失点を引いた値 (素点から4点を引いた値)が修正後の得点となる.

      • 修正後の得点分布は 7, 6, 5, 5, 3 点だった.修正後の合格基準点は3点なので全員合格だった.

    • 問題や正解例はすでに Moodle にアップロードした.

  • 授業評価.1141-1155.

    • [追記] 少人数なので学年や学部などの所属にかんする情報は求めなかった.

    • [追記] あとで欠席者の分を追加して事務に返却するため,本日収集分は Se に封印してもらった.また,(やや効果は弱いが) 余った用紙の枚数も確認してもらった.講師が中身を入れ替えたりできないようにするためのものなので,封を剥がそうとすると封印部の紙が破れるとかマーク部分がずれるなどして分かるように封印するのが望ましい (Se は捺印とマークをもちいた).ズルい行動を排除するために戦略的思考 (ゲーム理論的思考) が使われていたわけだが,学生のみなさんはそれを理解していただろうか.

  • 中間試験 3 の解説.1155-1200.

    • Sa のリクエストに応えて問題 1 だけ解説.[以下追記] Player 2 の混合戦略 (q, 1-q) を求めなくても Player 2 の利得は求まるのだが,正解したひとはみな q を求めていた.

[Ch は同日補講.試験 1413-1435.授業 1615-1700 授業.アナウンスメントと評価 1700-1720.]

■アナウンスメント

カバーすべき内容はカバーし終えた.シラバスに書いたことを振り返って,思いつくことをいくつか書いてみる.

この科目は数学として開講したが,経済学として教えた.単に与えられた問題が解けるというだけでなく,解いている問題とその解の意味もじゅうぶん説明するようにした.それらの問題のもととなった現実世界についての説明は十分とは言わないが,現実を単純化しモデル化したものの意味は十分に説明するようにした.数学がリアルな世界と結びついていることを感じてもらいたいからだ.

この科目をマスターできたひとは一定の自信を持っていい.経済学の大学院のミクロ経済学のゲーム理論にかんする試験で合格点を取れるレベルには到達したと言えるかしれない.ただしあくまで応用分野の学生に求められるレベルに近づいたという意味であり,経済理論を専門とする大学院生のレベルには,数学的にはとてもおよばない.

この授業でやったことを知っているだけでも,(経済学以外の) 応用分野にかかわるゲーム理論文献のかなりを利用できるようになったはずだ.逆に言えば,大学教授でもこのていどの勉強さえしたがらない人が多く,そのため自分の専門分野にかかわるゲーム理論文献を利用できないでいる.

経済学の話題についてもオークション,割引,リスク,逆選択などいろいろ学んだ.

特定の研究対象に関する知識を獲得することだけでなく,ゲーム理論や統計学 (理論および統計解析プログラム) のような研究方法をマスターすることが大学生にとって大事だとシラバスに書いた.ゲーム理論は,理論をつくって現象を説明する方法を提供し,統計学は事実を明らかにする方法を提供する.「自分は学者にはならないから関係ない」と思うかもしれないが,MBA (経営学修士) プログラムではゲーム理論や統計学がひじょうに重視されていることを思い起こして欲しい.じつはビジネスや公共団体をめざすひとにとっても, 論理的に考えたり他人に説得的に説明したり事実を明らかにしたりといったスキルが大切なのはまちがいなく,それらの学問に触れることは,そういったスキルを高めるのに役立つと考える.

[追記] ただし他人を説得するときには,その相手にとって有利になる点を強調すべきであり,必要におうじて自分自身にとっても不利にならないと付け加えることにより信頼性を高めるのがいいだろう.相手にとって不利益なことであれば,自分にとって有利で合理的だと強調すると逆効果なので注意.また,自分がいくらゲーム理論的に合理的に行動できていても,それを他人に言明しない方がいいことも多い.相手の弱点を適格に把握することにより勝てたスポーツ選手にとって,勝因を正直に語ることは通常は合理的でないだろう.

ゲーム理論のひとつのおもしろさは思考する対象をあつかうところにある.「このプレーヤーの立場から見て最適なのは?」と絶えず考える.ところが統計学では自然現象だけでなく社会現象もあつかっているのに,人間が出て来ない.いや,まったく出て来ないわけではないが,あくまでも過去の行動などがデータとして出て来るのみであり,人間の思考には立ち入らない.そのデータが未来の予測にどうつながるかは,人間の思考に立ち入らなければ分からないはずなのに,その重要な部分をスキップしている.

■授業の内容にかんする補足

    • [追記] 7/27の1230 ころに他科目の試験はもうないという Sa が3人のときのホテリングモデルについて質問.「3人が同じ場所に移動しようとするのに,同じ場所に来てしまったらそこからはなれようとするのは矛盾しな いか」と.「同じ場所に移動しようとする」というのは不正確.正しくは同じ場所に限りなく近づこうとするだけ.かりに他の2人が地点1/2にいるとき,縦 軸に利得そして横軸に自分の場所をとったグラフを描けば,地点1/2に近づくにつれて利得も1/2に近づくが,地点1/2に一致したところで利得が不連続 に下がって1/3となるのがわかる.このばあい最適な地点というものは存在しないが,「1/2のすぐ右あるいはすぐ左」という位置を特定できないものがそれにあたる.

■課題

  • 前回までの「次回までの課題」を終わらせよう.

  • 補助教材 演習 3.10 (梶井・松井練習問題 13.1, 13.2)

  • 期末試験対策

    • 課題および中間試験の復習

■次回の予定

最終回である.欠席者向け補講をできないかもしれないので注意.

  • 課題の解説 (期末試験の対策)

    • 補助教材 演習 2.8. a-e が 5 分,f が 5 分,g-j が 10分?

      • 補助教材 演習 3.12. 12 分?

      • 補助教材 演習 3.13, 3.8, 5.6. 20分?

    • 課題や中間試験などの質問に答える.

      • [追記] 課題の一覧も参考に.

      • [追記] 試験前日あたりにもオフィスアワーを設けるかもしれない.希望するかどうか,いつごろがいいかを考えておいて欲しい.