2010/4/27 Class 3

投稿日: 2010/04/26 3:37:29

■やったこと

    • 補助教材 2節定義2.2から定義2.4まで.1035-1120.

    • 補助教材 演習2.4, 2.6. 1120-1140.

    • 渡辺2章60-73頁.1140-1203.

    • 自己紹介.1220まで

    • [オフィスアワーに一人訪問.1330-55]

■アナウンスメントなど

    • 5名参加.先週補助教材を持って来た人たちと同じ.授業後自己紹介してもらったけど,まだ覚えられない.でも,なかなか個性ありそうな学生が集まってる.

    • 前回ログに「追記」が少しある.確認のこと.

    • オフィスアワーズを今後は以下のように変更する:「火曜 1200-1240, 1310-1400 ならいつでも可.火曜 1400-1700は約束はしないが可能なら対応」

    • 配信ログ,つまり連絡ページを見てない学生がいる模様.(ここに書いて効果があるのか疑問だが) 重要な連絡はログで行うので,毎回チェックすべき.

    • [追記] 今日は各人を最低一回は指名し,簡単な質問に答えてもらった.全員正解を言えたので,とりあえずフォローできている模様.指名されるのはあまりうれしくないかもしれない (特にボク自身がそうだったように,あとでゆっくり復習するタイプの学生ほどそうかもしれない) けれど,学期最後の満足度は高くなる傾向があるので,今後もときどきやるつもり.

    • 「補助教材」6頁の「弱支配戦略」の定義がまちがっている.「……を支配することをいう [武藤 44頁]」を「……を弱支配することをいう [武藤 44頁]」と訂正.

    • けっきょく30分を予定していた補助教材 2 節に前回と合わせて 85 分も費やした.この部分は鬼門なんだが,今年はこれだけ時間をかけたのだから,ぜひいい成績を残して欲しい.

    • 弱支配と最適反応の定義式が同じという指摘があった.ちがいはどの変数を動かしているかということ.弱支配の不等式は他人の戦略 s-i をいろいろ変えても,つねに左辺が右辺以上の値を取ることを言っている.最適反応の不等式は他人の戦略 s-i を固定した上で,自分の戦略 s'i をいろいろうごかして最適なものを探している.

    • 「渡辺 (2004) への訂正・コメントなど」(watanabe04comm.pdf) の将来版に以下を追加した.

-68頁.均衡を正しく記述するためには,結果の経路を述べるだけでは不十分な理由を補足しよう.

    • 「均衡」とは戦略の組であるため,文秋の戦略「疑惑」とともに新朝の戦略も記述する必要がある.ところが上の点 (文秋が「疑惑」を選んだばあい) における新朝の行動である「金融」を指定しただけでは新朝の戦略を記述したことにはならない.72頁で述べるように,下の点 (文秋が「金融」を選んだばあい) における新朝の行動である「疑惑」も指定してはじめて新朝の戦略を記述したことになる.(新朝の戦略は「文秋が「疑惑」を選んだ場合自分は__を選び,文秋が「金融」を選んだ場合自分は__を選ぶ」という形で表せることに注意.)

    • ではなぜ均衡が戦略であることを要求するのか? その理由はナッシュ均衡の要請から説明することができる.ナッシュ均衡では,相手の戦略にたいして自分の戦略が最適反応であることを各プレーヤーに要請する.自分の戦略が最適反応になっていることを確証できるためには,相手の戦略がきちんと記述されている必要がある.たとえば,文秋が「金融」を選び新朝が「金融」を選んだときの利得を 25 から 80 に修正したゲームを考えよう.このばあい均衡は修正前と同じで,文秋が「疑惑」,新朝が上の点で「金融」下の点で「疑惑」を選ぶこととなる.したがって結果の経路は,文秋が「疑惑」,新朝が「金融」となる.ところが均衡として結果の経路を記述しただけでは,新朝が下の点で取る行動が分からない.かりにそれが「金融」であるとすると,文秋は「疑惑」よりも「金融」を選んだ方が利得が高くなるので,最適反応をしていないことになる.つまりこの戦略の組は均衡ではない.均衡を記述したつもりだったのに,均衡でない戦略組までふくまれてしまうという不都合が起きている.このような不都合を避けるには,均衡ははじめから「戦略の組」とする必要がある.

  • 質問はそこそこ出ている.サンペイとルイスの例 (合理的なブタの例) のように,「弱いものが優位に立つ方法」を知りたいというのもあった.一般的な方法があるわけではないが,渡辺3章のはじめでやる例のように自分の選択肢を絞って「コミットメント」することにより有利な状況を作り出すことができる場合もある.あくまで「そういう場合もある」というふうに理解すべき.ゲーム理論を知っていれば多少有利になる場面は増えるが,絶対的なものではない.相手もゲーム理論を知っているかもしれないし,あるいはゲーム理論を知らなくても直観でじゅうぶん戦略的に行動できるひとかもしれない.一般的に,相手がいる問題では「ある攻略方法を知っていれば必ず勝つ」ということはあり得ないことを認識するのが大切.「矛盾」の起源となった故事の盾と矛の関係を考えれば分かるだろう.

  • [追記] 『日経ビジネス』に 2010年4月28日に掲載されたゲーム理論にかんするインタビュー記事を,先週に引き続き「おまけ」として Moodle に追加した.特に関心があるひとは読むといい.なお,三原は「グローバルゲーム」には詳しくないので,質問されてもたぶん答えられない.

■次回までの課題

  • 前回ログ (Class 2) の「次回までの課題」を終わらせよう.

  • 渡辺3章の半分くらいを読む.

  • 中間試験の準備.

■次回の予定

    • [追記] どこから講義ページにアクセスしているか (学内か学外か) 質問.このページのアクセス方法を実演.

    • [修正] 渡辺2章72-73頁.5分?

    • 渡辺3章75−113頁.60分?

    • 第1回中間試験.20分?

      • 範囲は戦略形ゲーム.主として渡辺59頁までと補助教材2節.(題材としては渡辺の3章のものを採り上げるかもしれないが,理論としては前述の範囲.)

      • [修正] 特に補助教材に載っているフォーマルな (数理的な) 定義 (支配,弱支配,支配戦略,弱支配戦略,最適反応,ナッシュ均衡) および演習2.4, 2.6を完全に理解しておくこと.Take-home makeup にもぜひ目を通しておくべき.過去の問題も参考になるかもしれない.

      • [追記] Take-home makeup の問題を5月1日に Moodle にアップロードした.(5月4日までにアップロードする予定だった.) 締め切りは 5月18日の授業開始時としておく.(シラバスでは修学支援グループに提出してもらう予定と書いたが,受講者が少ないため,特に反対意見がないかぎり授業時に持参してもらうこととする.) ただし in-class exam の部分的な準備にもなるように問題を作ったので,in-class 実施以前に取り組んだ方が有利.