2012/6/12 Class 10

投稿日: 2012/06/17 22:55:29

記録

    • 中間2 in-class 返却および makeup 受付.

  • 渡辺5章168-175頁.1030-1104

  • 渡辺5章176-187頁.1104-1200

  • [学生 Ky が部分ゲーム完全均衡について質問.中間の問題4で説明.1200-1212]

    • 5名全員出席.

    • 全員が100万円が 1/2 の確率で当たるくじよりも確実な50万円を好むとのこと.

アナウンスメント

    • [おわび] 今回の授業ログの公開が遅れてしまってすみません.高熱を出して寝込んだりしてました.

  • 第2回中間試験の正解例を Moodle にアップロードした.

    • 第2回中間試験 (in-class) の素点による満点は9点で配点も9点 (零基準点 0 点),得点分布は9, 9, 8, 7, 6 点だった.平均は7.8点,中央値は8点.合格点は 6点 (約66.7パーセント) で,全員合格だった.

    • Take-home makeup の提出者は5名.

      • 問題3 (i) と問題 4 (i) で戦略の表記法を例を挙げて説明していない者が3名いた.問題 3 (iii) で不注意によるミスと思われる誤答を2名がした.Makeup は高得点が要求されることを考えればこれらは注意不足.

      • この他に部分ゲーム完全均衡を理解していないことによる誤答も問題 4 (iii) であった.

      • 問題 3, 4では部分ゲームが両方に共通することを利用して欲しかった.部分ゲーム完全均衡の解き方は逆向きに解く方法と全体ゲームのナッシュ均衡を絞り込む方法がある.正解例参照.

授業の内容への補足

ゲーム理論: 授業内容補足」(ダウンロードは babygames12comm.pdf) の第5章の該当部分をチェックすること.以下はそれへの追記.

    • 渡辺 170頁下から6行目.「金額を上げていくと」

    • 渡辺 170頁.100万円が 1/2 の確率で当たるくじよりも確実な50万円を好むようなリスク回避的な選好は,経済学から見てまったく不合理ではない.それなのに経済学批判者のなかには,リスク回避的な選好やリスク選好的 (リスク愛好的) な選好を経済学的に不合理なものと勘違いして「経済学ではそのような選好をうまく扱えない」といったウソを吹聴する人がときどきいる.経済学が想定する「合理性」はそこまで不許容ではない.騙されないように.

    • 渡辺 170頁.「くじ」(lottery) は専門用語であり,起こりうる結果とその確率を列挙した選択対象を表す.「抽選券」という言葉を使う人もいるようだ.授業ではツリーでくじを表現した.

    • [修正] 渡辺 170頁.ある個人のあるくじにたいするリスク態度 (選好がリスク回避的かリスク選好的かリスク中立的か) は,その人のそのくじにたいする確実性同値額とそのくじの期待金額の大小関係で理解した方が分かりやすいかもしれない.確実性同値額が期待金額より低い選好はリスク回避的 (そのくじを引くことをそのくじの期待金額を確実にもらうことより低く評価) で,確実性同値額が期待金額より高い選好はリスク選好的 (リスク愛好的) で,両者が等しい選好はリスク中立的ということになる.

    • [修正] 渡辺 172頁.くじにたいする利得が (各結果にたいする) 利得の期待値で表されることに疑問を持った人もいるだろう.それが成立するためにはくじにたいする選好 (どのくじをより好むか) がある一定の条件を満たしている必要がある.背後に「期待効用定理」と呼ばれる定理があるのだが,詳述は避ける (学部上級以上のミクロ経済学で学べる).関連する導入的議論が伊藤秀史 (2012) 『ひたすら読むエコノミクス 』第 5 章に載っている.

課題および次回の予定

取り組むべき課題,読むべき文献,次回の予定については,シラバス (ダウンロードは babygames12syllabus.pdf ほか) の「授業計画」を参照.

    • 次回 Class 11 では渡辺5章188-199頁を50分で,補足を25分でやる予定.