2010/6/15 Class 9

投稿日: 2010/06/14 19:43:29

■やったこと

渡辺5章は Class 11 までに終える予定.

  • 武藤45-53頁.1035-1109.

    • 混合戦略のナッシュ均衡の求め方.先週やった渡辺の方法だけでなく,武藤の最適反応グラフによる方法でも求められるようにしておくべき.試験問題でグラフを書かせたりする可能性があるため.

  • 渡辺5章167-175頁.1109-1140.

    • 170頁のくじで判断するかぎり,Se 以外はリスク回避的なタイプだった.

  • 渡辺5章176-183頁.1140-1205.

    • 183頁の著者の利得の訂正に注意.

■アナウンスメント・感想など

    • 混合戦略によるナッシュ均衡の求め方は武藤のグラフによる方が渡辺のより複雑だが,Sa をふくむ少なくとも2名が武藤の方が分かりやすいという.

■授業の内容にかんする補足

「渡辺 (2004) への訂正・コメントなど」(watanabe04comm.pdf) の将来版で以下の追加・修正をした.

-172-173頁.やや議論が分かりにくいかもしれない.以下のように理解するといいだろう.いまあるひとにとって,

(i) あるくじ (リスクをふくむ選択対象) と確実な現金32万円が等価 (無差別; 同等の利得を持つこと) である

ことが前提だった.ここで仮説により

(ii) このくじの利得は,結果の利得 (この場合100万円の利得 1 と0万円の利得 0) の期待値 (1/2)である

と仮定する.すると (i), (ii) から

(iii) 確実な現金32万円の利得は (このくじの利得に等しい) 1/2 となる.

-183頁.上のゲームの木における著者の数字は期待利得そのものではなくて,期待利得による大小関係を保つような数値 (具体的には確実性同値額) である.仮に x 万円の利得を u(x) と書いて,0 万円の利得を 0 と,50万円の利得を 50 と決めたとする (すなわち u(0)=0, u(50)=50).すると x が 0 と 50 のあいだのとき危険回避の仮定より x 万円の利得 u(x) は x よりも大きくなるはずである (上に凸なグラフを考えよ).ところがこの図では本来 u(5), u(35), u(40) などと書くべきところを 5, 35, 40 などとと書いている.つまりこれらの数値は特定の期待利得 u(x) を与えるような金額 x を書いたもの (金額やくじの期待利得を u の逆関数で写像した確実性同値の額) である.どうしてこれで問題ないのかは授業中に説明するが,要するに比較したいものは 5, 10, 35, 40, 42, 50 万円,そして「確率0.8で50万円,確率0.2で10万円となるくじ L」であり,それらを順序づけることができればよい.金額にかんする順序付けはもちろん明らかなので,けっきょくはくじ L がどこに来るかを明らかにすればよい.テキストではくじ L の利得は (42-r)万円の利得と等しくなっている.(u が上に凸であることから,くじ L の期待利得 u(L)=0.8u(50)+0.2u(10) は,u(10)<u(L)<u(0.8×50+0.2×10)=u(42) を満たすことが分かっている.したがって [中間値の定理から] 期待利得 u(L)=u(42-r) となるような r [ただし 10<42-r<42] を見つけることができる.板書を再現したノート babygames_notes.pdf の page 3 参照.) したがって 42-r < 40 のとき,くじの利得は40万円の利得より低くなっている.

■課題

    • 前回までの「次回までの課題」を終わらせよう.

    • 武藤 68頁,練習問題 1 (マックスミニ戦略とマックスミニ値は除外). 正解例はハンドアウトで与えてある.

  • 補助教材 演習 5.7 (試験範囲からは除外), 5.8.

  • 渡辺5章を読み進める.

■次回の予定

    • アンケート

  • 渡辺5章184-203頁?