2010/4/20 Class 2

投稿日: 2010/04/13 5:21:38

■やったこと

    • 渡辺 46-59頁.1030-1120.

    • 三原 補助教材 1-2節,定義2.2「支配する」まで.

    • 昨年以上に時間をかけた.この科目でもっとも抽象度が高いトピック.過去「渡辺本とギャップがある」という意見があった.しかしみなさんはすでに渡辺本や講義で「支配」「ナッシュ均衡」などの直観的な意味は分かっているはず.補助教材2節ではそれらすでに意味の分かっていることを数学的にきちんと定義し直しているにすぎない.集合や関数や最適解など必要な数学については補足している.ギャップがあるのではなくて,抽象度が高くなっているだけという方が正しいだろう.

■アナウンスメントなど

    • 7名参加.補助教材を持って来なかった2名は,登録を迷っている模様.履修登録するしないにかぎらず,参加するなら教材は入手してください.

    • 前回ログに「追記」が多数ある.確認のこと.

    • Moodle でのコース登録をしたのは,先週火曜日1名,今週月曜1名,授業当日の朝3名の,合計5名.本日教材を持って来た5名と一致.Moodle のコース登録は履修登録とは別物なので,安心してコース登録してもらいたかった.(その後21日に1名登録.) それにしてもみんなぎりぎりでコース登録したものだな.このログ (連絡ページ) も今朝になって見たとか? 当日になって「次回までの課題」なんかを見ても遅いので,早目に見て欲しい.ログは遅くとも毎週金曜までには配信する予定なので.香川大学 Moodle をふくむいずれのサイトも学外からアクセスできることも繰り返しておく.

    • 大学生協によると19日までにテキストを購入したのは両テキストとも17名.今回出席者7名,前回出席者12名(?)よりも多いのはどういうことだろう.[6/29 追記.生協から販売数の連絡が届いた.いずれも 7 冊ずつ売れたということ.17冊というのは間違いだったのだろう.]

    • シラバスの「必読文献」と「参考文献」の区別に注意.

    • シラバスの参考文献 3 「読みもの」に挙げた平凡助教授の「大学新入生へ」をまだ読んでない人は,いますぐ読もう! (ホントは履修登録締め切りよりもずっと前に読んだ方がよかったのだが.)

      • 以下シラバスの記述を再掲:「大学での勉強法,勉強すべき内容,そして教員の選択について述べている.大学時代に学んでおくべきことは多い.英語,韓国語,専門分野,専門外の関心ある分野,ゲーム理論,統計,情報リテラシー,線形代数と微分積分,抽象数学あるいは論理学,プログラミング,論文の書き方,宗教と思想,人間関係,人のマネジメントなどなど.効率的にやっていこう.これを読まずに大学生活を始めるべきではない.」

      • [追記] 「学生時代に力を入れたことは?」と聞かれて,「就職活動です」とか「エントリーシートの書き方です」と答えるひともいないだろうが,答えとしてそのくらいしか思い当たらないようでは相当格好わるい.そうならないためにも大学時代を有意義に過ごそう.

    • 顧客である学生の犯罪について学長が謝罪することは戦略的にはありうると指摘した.謝罪することが道徳的な意味で正しいとか,ましてや謝罪する義務があるなどとは言っていない.みなさんはどう考えるだろうか.

    • 複数均衡の問題について二人が質問.ひとりはビジネスへの教訓を尋ねた.こちらは質問の意味をじゆうぶん理解せずに答えた部分がある.もっと質問内容を質してもよかったけど,たぶん質問を明確にするには時間がかかるだろうと判断し,とりあえず答えた.複数均衡の問題を避けるため,ときには (拘束力のある約束を導入したりすることで) ゲーム自体を変えることができる.その点が「教訓」と言えば言えるだろう.それについては渡辺3章80頁周辺の議論も参考になるかもしれない.

    • 複数均衡にかんするもうひとりの質問は,均衡 (s, t), (s', t') があったとして,Player 1 が前者の均衡を,Player 2 が後者の均衡を想定して行動した結果,(s, t') が実現するようなばあいにかんするもの.もちろん (s, t') は一般にはナッシュ均衡にならないが,そういう戦略の組合せをどうやって避けるかという疑問.べつの言い方をすれば,均衡をどうやって実現するかという問題であり,これはゲーム理論における大きな課題として残っている (武藤 42-43頁や渡辺80頁参照).たとえば今後導入する「部分ゲーム完全均衡」では,いくつかのふさわしくないナッシュ均衡を取り除くことができる.しかし多くのゲームではプレーヤーたちの行動を一意的には予想できないと考える方が自然だ.一意的に予想できないなら,解概念としても複数の均衡を選ぶようにしておくべきである.複数均衡があるかぎり,そのうちひとつをどうやって実現するかという問題はつきまとうことになる.

      • [追記] ただ,非協力ゲーム理論は取るべき行動をしめすための規範的理論とは通常見なされてはいない.じっさいに観察される社会現象を説明するための事実解明的理論と見なされる.非協力ゲーム理論は,まだ出ていない結果を予想するためというよりは,すでに分かっている結果を説明するために使うことが多い.後者のばあい,複数均衡のそれぞれをどう実現するかという問題は生じない.すでに特定の結果が決まっているのだから.それが均衡として説明出来ればいちおうは満足できるのだ.現実に観察されるような結果のいずれもが均衡になっていて,逆に均衡になる結果がいずれも現実にも観察できるなら,事実説明的理論としては特に問題はないと言えるのではないか.

    • [追記] 『日経ビジネス』に 2010年4月21日に掲載されたゲーム理論にかんするインタビュー記事を,「おまけ」として Moodle に追加した.

■次回までの課題

    • 前回ログ (Class 1) の「次回までの課題」を終わらせよう.

    • 三原補助教材2節を読む.

      • 演習問題 (特に 2.4, 2.6, 2.8)も考えてみよう.

    • 集合の記号に慣れていない学生は,三原2節を読む前に茨木 (ibaraki04ch1) の 1-6頁 (1.1節 集合; 1.2節 写像 (関数)) に目を通した方がいいかもしれない.必要に応じて参照してもいい.

    • 奥野 (okuno08ch4) 190-196頁も参考になる.

    • 渡辺2章の終わりまで読む.

    • Strategy (戦略), equilibrium (均衡), incentive (インセンティブ) などの単語の発音は日本語流ではまず通じない.正しく発音できないと聴き取るのも困難.CALD など適当な電子辞書で発音をマスターしておこう.

    • 1分程度の自己紹介を考えておこう.出身地とか,得意なこととか,こだわっていることとか,頭に来ていることとか,所属学部を選んだ理由とか,この科目を受講することにした理由とか.時間が余ったときにでも教室で自己紹介してもらうかもしれない.メールで送ってくれてもいい.

■次回の予定

    • 教室を変更する.次回からは図書館4階ペントハウス三原研究室で授業を行う.場所は図書館正面入口から見て右側 (北側) 4階.2階右奥の階段を4階まで上り,最初の廊下を突き当たり付近まで歩いた左側.詳しい行き方は「三原麗珠オフィスへのアクセス」を参照.研究室で授業をすると一般には以下のようなメリットがある.

      • 質問しやすい雰囲気を作りやすい.楽しい.

      • 成績評価が甘くなる傾向がある.(ただし三原にはかならずしも当てはまらない.みんなで支援し合って乗り越えてください.)

    • 補助教材 2節定義2.2から定義2.4まで.(補助教材を持参.) 20分?

    • 補助教材 演習2.4, 2.6. 20分?

    • 渡辺2章60-73頁.30分?

    • 渡辺3章75−85頁.20分?

    • 試験はない.