学生による授業評価の結果

投稿日: 2010/11/14 15:03:42

「学生による授業評価」アンケート集計結果が出た (添付した babygames10evaluation.pdf を参照).対象となった前期開講の主題・共通科目71科目のなかでは,ほぼ全項目でトップかそれに近い結果を得られた.

(受講者が5名とひじょうに限られていたし,高い評価を獲得する努力もしたため) この結果は当然といえば当然だが,よい授業をしてもなかなかよい評価を得にくいのも事実.今回はたまたま成熟した学生に恵まれていたという面もあるだろう.盛り上げてくれた学生のみなさんに感謝する.

ただし「成熟した学生」と言っても,例外的に勉強熱心だったわけではない.

  • シラバスにある「自習時間を週4時間は確保すべき」という基準を満たした学生は5人中1人にすぎない.(それでも自習時間の長さでこの科目は全科目中トップ2だった.いかに香川大学が単位制度の基準とかけ離れた教育を行っているかが分かる.こういう状況で授業評価をやっても,グローバルスタンダードをみたす良い授業が香川大学スタンダードでは不当に低い評価を受ける可能性が高い.ちなみに自習時間トップは美術館を巡る授業だった.)

  • 欠席の回数もけっして少なかったとは言えない.

  • 授業への参加も,夜間主や地域マネジメント研究科の社会人学生とくらべたら,まだ活発ではなかった.

でも,中間試験の結果や授業中の受け答えから判断するかぎりは,けっこう優れた学生たちに恵まれたと言ってよいだろう.

ちなみに少人数ゆえ本音を書きにくくなる影響を抑えるため,入学年度や所属学部は答えなくてよいと伝えておいた.

ほぼ全項目でトップかそれに近い結果を得られたことから,総合でもとうぜんトップになりそうなものだが,この大学では三原麗珠のやることはなにかと難癖つけられる (リマーク1 参照) ので,この科目がベストティーチング賞などに選ばれたり,三原がファカルティ・ディベラプメントの講師に選ばれることはないだろう(リマーク 2 参照).今回は「もっとも高い評価を与えた学生5名のアンケート結果のみで各科目を比較してみれば,ほかにもっと評価の高かった科目が存在する」といった理由を持ち出すかもしれない.いや,そもそもこちらは説明を求めたりしないので,理由など明らかになることはないだろう.

リマーク 1.ボクの能力を疑っているわけではないが,やることが気に食わないからケチをつける同僚が多い.でも,なかにはボクのティーチング能力を本気で疑っている同僚もいるみたいだ.というのは会議の席上や普段のボクの発言が (攻撃的だったり?) 支離滅裂なことが多かったためだ.しかし (米国帰りの無政府主義者という,常識とかけ離れたバックグラウンドを持って) その場の思いつきで行う会議での発言のめちゃくちゃさから,何時間も入念に準備した上で行う講義中の発言の上手下手を予測することはまず無理だろう.会議でそれなりに理解できる発言をする教員の授業中の説明が,会議での発言と同程度にしか分かりやすくなかったりすることもある.それなりの能力に頼ってしまって,まともに授業の準備をしていないのだ.なかには会議での発言より授業の説明の方が分かりにくいひともいる.学問の権威を高めるためか,学問の中身が理解できていないためかは知らないが.こういった同僚に限って,上記のような無理な予測をやってしまいがちだ. (もっと言えば,分かりやすく話したり攻撃性を抑えたりすることは会議の場ではかならずしも得策ではない.しかしこれは自分には関係ない(?)ので省略.)

リマーク 2. 教育学部の大久保智生という教員が3年連続で "香川大学 Best teacher" (だっけ?) に選ばれていることを本人のブログで見つけた.(大学教授を "teacher" と呼ぶなよというのは置いといて) 3年連続とはすばらしい.大久保の担当科目を (「学生による授業評価」の結果が入手できた) 今年度前期の主題・共通科目のなかから拾ってみると,「心理学概論 (心理学 D)」がそれに当たる.問題の授業評価だが,アンケート回答者数は251名と他科目より多く,3項目を除くすべての項目で平均より高い得点だったが,それほど平均を上回っている感じはしなかった.三原のこの科目と比較すれば,すべての項目でこの科目の方がベストティーチャー大久保の心理学概論より高得点だった.なんじゃこれは,(べつにターゲットにしてたわけじゃないけど) 拍子抜けするじゃないか.いったい "香川大学 Best teacher" ってのはどういう基準で選ばれているんだ? (「やっぱ teacher は教授とか学者とかには勝てない」ということじゃないだろうけど.) 検索しても見つからないのだが,大学教育開発センターがやってるんじゃないのか? もしかしたら大久保ってひとは科目によって評価がだいぶ異なるひとで,たまたま心理学概論は不人気だっただけかもしれない.いずれにせよ Best teacher は「学生による授業評価」の結果とは関係なさそうだ.

以下,Q1 の回答で自習時間の長かった学生の順に,自由記述欄のコメントを紹介する.

  • 「この科目の存在を知らなかったがとても興味深く最後まで受講させて頂いた.理論もそうだが,人間の行動に結びついた実践的学問でもあるので,この科目の存在が広く知られ,多くの学生が受講できる機会が増える事を望みます.内容を理解する為には,私の場合相当の努力が必要だったが,受講できた事に感謝致します.」

  • 「自分の中であいまいだった選択や判断[を] はっきりできることが新鮮であり 興味深かった。思考自体を扱う教科だったので 楽しかった。」

  • 「私一人が欠席した授業でも補講をしていただいたり、授業+α のことも教えていただいたり 先生の熱意が感じられ 自分もやらねばと自然に思えました。」

  • 「定員の関係もあるのだろうが,先生と生徒の距離が近い講義であった。今回の場合,『少人数』という面を上手く利用できていた気がする。」

    • [三原] 自分のばあい受講者数が9名あたりを下回ると急速に学生の満足度が高まるようだ.決定的なのは,少人数であること自体か,受講者を名前で呼ぶことであるか,あるいは研究室でやることかは分からない.いずれにせよそれだけのちがいで学生の満足度が大きく左右されるのはあまりよくないことかもしれない.教授テクニックあるいは学生へのマナーとしては学生を名前で呼ぶことはそれなりに重要かもしれないが,学問的にはそんなことはどうでもいいことだ.そういうどうでもいいファクターで学者の評価が左右されるのはうれしくない.たまたま自分は少人数の科目を取るようなちょっと変わった学生に興味があるため名前を覚える努力をしたが,そんな興味を持たない学者であっても評価すべきは評価したい.学生の選好に文句をつけても始まらないが,だからこそ授業評価はあくまで限定的・補足的に用いるべきだろう.

    • [三原] 「先生と生徒の距離が近い」という感想は,夜間主や地域マネジメント研究科で科目を提供したときよく言われた.特に夜間主向けに教養科目を出したときは女子学生が多かったこともあって,そういう感じの感想が多かった.ボクとしては学問を聖域化・神秘化しないことに気をつけているくらいで,あとは学生同士に好きにさせている.(たとえば夜間主学生は猥談が多いんだが,ボクは授業時間外の会話は一切規制しなかった.) それらの授業では,もともと学生同士の距離が近かったのが,学問への壁を取り除くボクの努力も相まって,そういう感想につながったのだろう.

  • 「必ず自分の将来において役に立つ科目であったと確信している。」

    • [三原] 「だったらなんで自習時間が週に1時間未満なの?」と突っ込んでおこう.笑