2011/5/17 Class 5

投稿日: 2011/05/17 6:02:44

■やったこと

  • 中間試験 1 (in-class) の返却,中間試験 1 (makeup) の受付,および Moodle 未登録者への科目辞退オファーの提示.1030-40.

    • 渡辺3章 86-91頁.1040-56.

    • 渡辺3章 92-101頁.1056-1130.

    • 渡辺3章 102-113頁.1130-1200.

    • 渡辺3章 114-119頁.[各自自習のこと]

    • 自己紹介.1200-1215.

■アナウンスメント,記録など

    • 10名出席.欠席者は記録した.

    • Moodle コースページには授業開始時点で11名参加登録.未登録の3名のうち1名は欠席で履修登録もまだ.2名は辞退しないとの意思表示.オフィスアワーに学生 Ys がやって来て登録完了.学生 R にも登録の仕方を教えるように Ys に言った.

      • [追記] 学生 R が 5月18日水曜に,学生 Ks が19日木曜に登録したことを確認した.

    • [追記] Moodle にコース登録したのにすべてのファイルを閲覧していない学生がいるようだ.すぐ印刷するかどうかにかかわらず,とりあえずすべてのファイルをダウンロードして保存しておくことをすすめる.いつ Moodle サーバにアクセスできなくなるか分からないし,そもそも授業関係のファイルはすべてバックアップを取っておくべきものだから.自分のパソコンを持っていなくても,Google ドキュメントなど無料の保存場所が使えるし,USB メモリなどに保存する手もある.

    • もちろんファイルを単に保存するだけではなく,その中身である文書をちゃんと勉強してこそ意味がある.すべてを読む必要はないが,どこが自分にとって必要かをチェックするためにざっと目を通すくらいはやってもらいたい.

    • [修正] 中間試験 1 makeup の救済対象者の3名はだれも提出せず.今回については申し出れば次回の提出を特別に認めることにした.救済対象以外の希望者6名が提出.提出分は点数は記録せずに,誤答例などを知るために利用させてもらった.試験の正解例の掲載は来週になる予定.

      • [追記] makeup の答案を持参したけど提出しなかったひともいたが, in-class が合格だったことを知ってしまった段階で提出しても成績的には得るものはないので,その判断は合理的.一方,すでに答案を作成して持参した以上,提出してもコストはかからないので,提出したひとも不合理ではないし,特にボクに情報提供をしたいと考えたのであれば,提出したのは合理的.

    • [追記] ちなみに提出した人の in-class の点数は,4名が8点で2名が7点だった.提出が必要なほど低い点数でなかったことは自己判断できていたはずだが,in-class 受験後に答案を作成するコストが低かったのであれば,答案を準備したのは不合理ではない.そうすることによってわずかな不合格の可能性という不確実性をさらに小さくできるためだ.じっさい in-class を準備する段階で彼らはすでに makeup に取り組んでいたはずだから,in-class の後に答案を準備する追加的コストはたいしたことはなかったはずである.

  • 中間試験の答案は学期後成績が確定するまでは保存しておくこと.

    • [追記] 三原の採点では,チェックマーク (√) は正解で,丸はまちがいや問題点を意味するので注意.

    • 自己紹介によれば,受講者の出身地は高知4,岡山2,香川2,広島1,奈良1だった.

    • この科目を取った理由には以下のようなものがあった: 科目名あるいは「ゲーム理論」という言葉に引かれた.経済学科あるいは経済学部だから.「ジレンマ」「インセンティブ」などの言葉のゲーム理論的な意味を知りたかった.シラバスで興味を持った,シラバスが独特だった.数学は不得意だが社会をあつかう理論をやってみたかった.

    • [追記] 三原麗珠の自己紹介では,(エリートによくある東京の有名中高一貫校や外国の高校じゃなくて) 地方公立中学・高校出身であること,東大理科 I 類に進学して落ちこぼれたこと (詳細は省略したけど,理科の実験をサボってたのとフランス語で単位が取れなかったことが大きい; いまでもときどき語学で苦しめられる夢を見る),啓示により転学した国際基督教大学 (ICU) 社会科学科を卒業要件の例外を認めてもらって卒業したこと (古い歴史の必修科目をアメリカ現代史で代替することを認めてもらった) など,思いつくままにしゃべった.

      • あまり勉強してなかったように聞こえたかもしれないが,じっさいは好きなことはよく勉強してた (ICU 時代は大学の授業もふくめると一日14時間程度か?) ので,誤解なきよう.

      • 数学やゲーム理論を教えている大学教員にしては頭が悪そうに聞こえてしまって不安になった学生もいるかもしれない.(「合理的な」プレーヤーを想定している関係上かどうか,あるいはフォン・ノイマンが創設した分野であるためかどうかは知らないが,アホでも大学教員が勤まる他の多くの分野と異なり,ゲーム理論は頭の良さがけっこう重要な分野じゃないかと思う.だからその種の不安には一理ある.) そういったひとにたいしては,「心配することはない」と答えておこう.もちろん「そんなことを言われても,証拠がなきゃ信じられないじゃないか」と疑うのが,健全な学生というものだろう.それについては,ちょっと調べれば分かる証拠は存在する.経済学,特にゲーム理論をふくむ経済理論では,国際ジャーナル (専門学術誌) に論文を発表することが学者として認められる条件だが (これがなかなかむずかしくて,本学の経済学部ではこの条件を満たす教員は少ない),自分の場合そこそこ論文は書いているからだ.あとはこちらに載っている「記録」でも読んで安心してもらいたい.ちなみにそこにある Erdos 数を「エロ度数」などと読むひともいるが,それはまちがいである.

■授業の内容への補足

  • 「渡辺 (2004) への訂正・コメントなど」(watanabe04comm11.pdf) をチェックすること.

  • [蛇足] 87頁.生協で紙コップを10円で回収していることを知らない学生がいた.図書館前の生協外側の自動販売機のあるところと図書館側入り口,その他自動販売機がある場所数カ所に回収マシンがある.あるマシンが動きにくいときはちがうのを試そう.原理的には,一個10円未満の紙コップを大量に買って来てどんどんマシンに入れるとどんどん稼げる.もちろん連続でやると探知されるかもしれないし,こういうのはだれでもすぐ思いつく悪戯なので,やっても感心されない.それどころか香川大学にも市場のルールを守らないなどの犯罪に手を染める学生が過去いたおかげで,見つかったとき「三原麗珠に教わったとおりにやっただけ」とか「ごめんなさい」とかでは済まなくなる可能性が高い.精神活動の自由は大学にとって死活的に重要なことだけど,近年はいろいろと制限が多くなっている.悪い時代になったものだ.いま学生やってるみなさんはかわいそうだと思う.いやべつにボクが学生時代悪いことしてたというわけじゃないけど.

    • 「渡辺 (2004) への訂正・コメントなど」の 100 頁にかんする説明の下から4行目に「(iii) で得られる家主と A の余剰の150万円ずつを W に再分配すれば」は「(iii) で得られる家主と A の余剰の75万円ずつを W に再分配すれば」と訂正する.そこでの説明は渡辺の本にしたがったが,もちろん (ii) の状態からW が A に土地を売ることで (iii) と同様に総余剰が500万円となる状態を実現することもできる.100-101頁の議論の板書を再現したノート babygames-notes.pdf が Moodle に置いてあるのでチェックするといいだろう.

  • 「渡辺 (2004) への訂正・コメントなど」の 113 頁にかんする説明では1700万円入札する戦略が相手のどの戦略にたいしても最適反応であることのみしめしている.厳密にはこれだけでは1700万円入札する戦略が弱支配戦略であることにはならないが,ポイントはしめしたことになる.

    • 「政府が [もと公企業や土地など] を競売するとき,いちばん評価額が高い者が競り落としても,セカンドプライスオークションのように低い値段がついてしまえば国民として獲得できる収入が低くなって良くないのではないか?」との質問が過去にあった.回答は以下の通り:

      • セカンドプライスオークションだからといって最終的な落札額が特に低くなるわけではない.ファーストプライスオークションだと,そもそも入札する額が低くなるだろう.より一般的には収入同値定理というのがあって,一定条件下ではどのオークションも期待収入がおなじことが知られている.

      • 値段が低くなってオークションによる政府収入が低くなっても,競り落としたひとの余剰はその分大きくなる.競り落としたひとも国民であれば,国民全体の総余剰を最大化することには矛盾しない.

    • オークションだけでなく競争的市場も総余剰は最大化できる.いずれの配分方法も採用されないとき,総余剰の最大化 (効率性) は通常犠牲にされている.

      • たとえば政府がある電波周波数域を既得権益をもつ放送局に優先的に配分することは,余剰の一部を失っている.破綻した遊園地の所有者が,その売却先としてその地を (牧場や養鶏場や工場などではなく) 遊園地として再建する予定の企業だけに絞るなら,余剰の一部を失っている可能性が高い.ただ,遊園地の売却のケースは (民間企業同士の) 自由な取引であることから (もとの所有者自身が夢の継続と引き換えに低い値段を受け入れている),特に反対する者はいないかもしれない.

      • 腎臓など移植用の臓器は通常順番待ちリストで処理される.オークションして金持ちに売れば,そのお金を医学の進歩に役立たせて長期的には多くの人命を救えるかもしれないが,実際にはそのような取引はほとんど行われていない.

[三原個人メモ: 以上は「渡辺」ドキュメント (次年度分) に追加済み.]

■次回までの課題

取り組むべき課題や読むべき文献については,シラバスの「授業計画」を参照.これまでの講義で,第3章の終わりまでカバーした.

■次回の予定

    • 中間試験 1 (makeup) の提出期限の延期を認められた者は授業開始時に提出のこと.

      • 中間試験 1 の救済対象者で makeup を提出する意思のある方は三原に連絡してくれれば延期を認める.ただし in-class 採点時に試験答案に正解を書き込んだ問題もあるし,そもそも期限延期という例外的あつかいであるため,合格基準はそうとう厳しくなるはず.

    • 渡辺3章 114-119頁.5分?

    • 渡辺4章 121-127 頁.25分?

    • 渡辺4章 128-133頁.25分?

    • 武藤 71-93頁の前半.35分?

    • 武藤の本を持参のこと.