2010/6/1 Class 7

投稿日: 2010/06/01 4:49:04

■やったこと

昨年にくらべて約一回分遅れている.ただし学期末にやった問題演習のいちぶを今年はすでにカバー.

  • 問題演習 (第2回中間試験の対策): 中間試験に出したい問題の類題を解説.主として展開形ゲームの基礎理論にかんするもの:

      • 補助教材 演習 5.1, 5.2, 3.4. 1035-1110.

      • 武藤 114-115頁 練習問題 2 (の 3-3), 4, 5. 1110-1130.

        • 練習問題 4 についてはプレーヤー A の選択を2段階にしたバリエーションも少し説明.

    • 渡辺 4章134-143頁.1130-1215.

■アナウンスメント・感想など

  • 本日はいつもの5人がそろった.

  • 演習問題はかなりていねいに説明した.学生はほぼ理解できている様子.前回分の補講に参加しなかった Ya に集中的に質問してみたが,特に問題はなさそうな感じだった (自習したらしい).あとはみんなが自力で解けるかどうか.中間試験には本日やった問題より若干高めのレベルの問題がふくまれるので注意.

  • 演習 3.4 は日本語で書かれたゲームを展開形に翻訳することを求めている.三原にとって (この程度の複雑さのゲームにかんするかぎり) 日本語で書かれたゲームの説明を読んで理解するよりは展開形を見て理解する方がかなり楽.(個人的には口頭による説明だけを聞いて理解するのはさらに困難.) まだゲーム理論を勉強しはじめて長くない学生の大部分も,展開形の方が分かりやすいということだった.視覚化はやはり理解を促進すると言えるかもしれない.

    • 渡辺の部分は,説明の歯切れが悪かったせいか,学生はやや眠そうだった.

■授業の内容にかんする補足

    • [追記] Sa の指摘した「手形の割引」について,齊藤 誠, 岩本 康志, 太田 聰一, 柴田 章久『マクロ経済学』(New Liberal Arts Selection, 2010; 424-425頁; ただし図書館には見当たらなかった) は「割引という手続きは,利子率,あるいは割引率を用いて将来の受取額を現在の価値に換算する作業」と述べている.渡辺 134-5頁よりもやや詳細な説明になっている.

    • [追記] 「なぜ割り引くのか?」という疑問にたいして,齊藤他は「時間選好 (time preference)」をもっとも重要な要因として挙げている.「時間選好とは,同じ商品を受け取るのであれば,『将来もらうよりも,いまもらうほうが得だ』と感じる人間の性向を指している.」

    • [修正] 授業では人間が時間選好を持つ理由として,いますぐ使える一万円と一年後以降でないと使えない一万円では,前者の方が用途が広いことを挙げた.用途が狭いと価値が低くなるのは,たとえば特定の店でしか使えない千円クーポンを考えれば分かるだろう.あるいは「今月分の給料は来月渡します」と言われたときのこと考えれば分かるだろう.

  • いますぐ使える一万円は一年後の一万円より用途が広いぶん価値が高くなるはずだが,どれだけ高くなるかは人によりけりで,場合によっては気分にも影響される.ここでは一年後以降に使える一万円をいまの価値に直すと D 万円にあたる (一年後の一万円は現在の D 万円相当の価値を持つ) としたが,人によって割引率 D の値は異なる.割引率 D が小さい (将来をおおきく割り引く) ひとは,たとえばコストを大幅に割り引いた結果,現在の満足度を相対的に重視することになる.極端だが分かりやすい例を挙げれば,犯罪を犯しがちなひとは,「自分は捕まらない」と見積もる確率が高過ぎるか,将来のコストを割り引き過ぎているか,どちらかである可能性が高い.(以上,わが大学が取り組むと言っている法令遵守・倫理教育にすこし協力してみた.)

■課題

    • 前回までの「次回までの課題」を終わらせよう.

    • 中間試験 2 の準備.

      • 情報集合の意味.武藤115頁練習問題 5 など.

      • 展開形ゲームを戦略形に直す方法,ナッシュ均衡,部分ゲーム完全均衡.

      • Makeup exam はすでに Moodle にアップロードした.In-class exam の部分的な準備にもなるように問題を作ったので,in-class 実施以前に取り組んだ方が有利.2009年度 Quiz 4 も参考になる.Makeup の締め切りは 6月15日の授業開始時.

    • 詳細を Moodle に掲載した,「展開形ゲームにおける戦略をもとめる方法や戦略の意味を分かりやすく説明せよ.あるいは考えられる誤解を挙げて,それを取り除く方法を議論せよ」という問題.Makeup とは独立した (全受講生向けの) ボーナス問題としてあつかうことにした.

    • 補助教材 演習 3.13

    • 渡辺 4章166頁まで読む.160−163頁はとばしてよい.

      • 繰り返しゲームにかんする奥野4.5.5節は武藤 III.7 節よりむずかしくて話題が限定されている.しかし渡辺の関連部分を読んだ上で参考にするには奥野のほうがいいかもしれない.

■次回の予定

  • 渡辺 4章144-166頁 ([修正] 160-163頁は除外).65分?

    • 中間試験 2. 15 分?