三原麗珠の研究環境 コンピュータ関係

オペレーティング・システム

そのシンプルな美しさと使いやすさ,そして UNIX をベースとした安定性にとても満足している.

    • UNIX を使うレベルには至らない高度な利用法については『MacFan Macintosh 実践・活用ガイド: Mac OS X v?? 対応版』(池田冬彦; 毎日コミュニケーションズ) が便利.研究者にとって役立つ情報は MacWiki で入手できる.

文書作成ソフトウエア

pTeX

縦書きもできる日本語対応 TeX.TeX はタイプセット用のソフトウエアで,数理的な論文を書くためには不可欠.テキストエディタでつくる tex ファイルをインプットとし,それを TeX 処理してアウトプットをつくる.通常は LaTeX を知っておけばじゅうぶん.(LaTeX は TeX を拡張した言語で,文書の細かい外見を調整することを目指さないかぎり使いやすい.[罫線のような醜い役所様式にこだわる日本人など] そんなことで標準をはずそうとするのは素人?) TeX には不満も多いが,それを越えるものがないので仕方なく使っている.TeX 関連情報は TeX Wiki を参照.

インプットファイル(LaTeX 用)作成のためのマニュアルとしては,LaTeX の開発者 Lamport の LaTeX: A document preparation system が使いやすい.奥村晴彦の『LaTeX2ε: 美文書作成入門』もときどき参照している.『好き好き LATEX 2ε』(渡辺徹) のような本格的なフリーマニュアルもある.

pTeX のインストール方法はいくつかある.2017年2月にインストールした際にはEl Capitan / SierraでTeX環境をゼロから構築する方法に従った.

[古い情報] 2012年10月と2014年11月にインストールした際には MacTeX を利用した.

    • TeX Wiki Mac に書かれたインストール方法にしたがい,自分にとって不要なステップをスキップすればいい.

      • 私の環境では古い TeX の残骸が残っていたため,パスの再設定が必要だった.~/.bash_profile の中身を以下のように修正した:

        • export PATH=/usr/texbin:$PATH

    • TeXShop の設定は後述の手順が簡単.

    • 後述の「Ghostscript の日本語対応が不十分で生じる文字化け解決法」も参照.

リマーク (2012年10月).初期状態では日本語 LaTeX 出力結果のゴシック体活字が細くて目立たないはずだ.この問題には otf パッケージで対処できる (参考サイト).なお,以下の出力結果は Adobe Reader で確認できる. Mac のプレビュー (Preview.app) には反映されないことがある.ゴシック体を太くするだけなら tex ファイルのプリアンブルで ¥usepackage[bold]{otf} を宣言すればよい.細明朝・太明朝・細ゴシック・太ゴシック・丸ゴシックを文中に混在させたければ,¥usepackage[deluxe]{otf} を宣言して,文中に適宜命令を挿入することになる.

注意.ソースファイルのエンコードが pTeX 本体の扱えるエンコードと異なっているとうまく処理できないので一致させる.たとえば Shift JIS のファイル this.tex を UTF-8 用の pTeX で処理するには,以下のいずれかを行う:

    • ファイルのエンコードをあらかじめ UTF-8 に変更する:

      • 後述の mi エディタ (あるいは emacs エディタ) を利用する,あるいは

      • UNIX の文字コード変換コマンド nkf に Unicode 出力オプション -w をつけて変換する: ターミナルで $ nkf -w this.tex > this-utf.tex

    • ターミナルで platex コマンドを入力するとき次のようにオプションを指定する:

      • platex -kanji=sjis this.tex

リマーク.独自のスタイルファイル類は ~/Library/texmf 以下に置く.別の場所に置いたファイルあるいはフォルダへの (UNIX の ln -s で作成する) シンボリックリンクをその場所に置いてもよい.

    • .sty は ~/Library/texmf/tex/latex フォルダに置く.

    • BibTeX スタイルファイル (.bst) は ~/Library/texmf/bibtex/bst フォルダに置く.

    • BibTeX 文献データベースファイル (.bib) は ~/Library/texmf/bibtex/bib フォルダに置く.

TeXShop

Mac OS X で動作する TeX 用エディタ/プレビュア.TeXShop (MacWiki) を参照.

[古い情報] 設定法は以下のとおり:

メモ.

    • 文献リスト作成に日本語も処理できる pBibTeX を使いたいばあいは,TeXShop>環境設定>内部設定 の BibTeX エンジンを pbibtex とする.

    • TeXShop で typeset に失敗したとき,正しく修正したあとでも再 typeset に失敗することがある.これは前回の中途半端な aux ファイルが作成されるため.そのファイルを削除したあとにもういちど typeset するといい.

    • 日本語 ps ファイルは上記の設定をした TeXShop で開くと,文字化けせずに適切な pdf に変換される.

Ghostscript の日本語対応が不十分で生じる文字化け解決法 (2012年10月)

TeXShop を使うときは通常は platex のあと dvipdfmx で処理するから Ghostscript は関係ない.でも複雑な図を扱ったりするには platex, dvips, ps2pdf という順に処理する必要が生じることがある.このとき ps2pdf を利用する段階で Ghostscript を使っているはず.この Ghostscript が日本語に十分対応していないことから文字化けが起きることがある.自分のばあい,PSTricks を利用した図と日本語の同時処理に問題が生じた.たとえば Martin Osborne の

egameps (PSTricks を利用する)で作成した展開形ゲームの作図データをふくむ game1101notes.tex というファイルを

    • TeXShop (platex -> dvipdfmx) で処理すると日本語はうまくいくが図が失敗.

    • platex -> dvips -> ps2pdf で処理すると図はうまくいくが日本語が失敗.

この問題は以下のようにして解決した.

Ghostscript.app - マスクメロン にしたがって日本語対応した Ghostscript 9.05 & gv 3.7.3 をインストールする.ただし自分は当該ページ [補足] にある /Applications/Ghostscript.app や /Applications/Ghostscript.app/bin へのパスは通す作業は省略した.[発展] にあるフォント設定も特に行わなかった.

利用法.Terminal を起動して

cd [このファイル game1101notes.tex を置いてあるディレクトリを Terminal ウインドウにドラッグ]

でこのファイルの置いてある場所に移動したあと,

dvips -Ppdf -z game1101notes

で (すでに作成した) .dvi を .ps に変換し,それに続いて

/Applications/Ghostscript.app/bin/ps2pdf game1101notes.ps

で .ps を .pdf に変換する.

これで日本語も図も正しく処理された pdf ファイルができる.

参考.psfrag 日本語の文字化け解決法 Mac OS X

http://oku.edu.mie-u.ac.jp/tex/mod/forum/discuss.php?d=979

以下のページで説明してある cidfmap への記述といった作業は不要だった.

http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/?Ghostscript%2FOS%20X

奥村改訂第5版327頁.

以下はこの背景知識

http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/?TeX%20と「TeX%20以外」

この問題の別の回避法.図だけ PSTricks で描いた TeX ソースを書き, その図を pdf ファイルとして抽出. そのファイルを実際に使う tex ソースで取り込む.

http://www.cityfujisawa.ne.jp/~huzinami/tex/g-pack2.html#PSTricks

これだと tex 処理は platex -> dvipdfmx で済む.

[やや古い情報] LaTeX 用の tex ファイルや web 用の html ファイルの編集作業を簡略化する機能をもつ日本語対応 Mac 用エディタ.手作り風で味のある名前からスタイリッシュで洗練された名前に変わったのは,国際化に対応してか? 拡張性が高くカスタマイズしやすい.SJIS で作成した tex ファイルを UTF-8 にするなど,文字コード変換にも使える.私のところでは,サードパーティーから提供されている数式入力支援モード,BibTeX モード,XHTML モード,HTML4.0+css モード,Ruby モードを載せていた.

[かなり古い情報; 最近は html を書くことがほとんどなくなった] このエディタは html 文書作成にも向いている.そのときのガイドとしては The Web KANZAKI「ごく簡単なHTMLの説明」がいい.このサイトにあるカラーテーブルも便利.色彩表現に凝りたければ,カラーピッカーをどこかから入手するといいだろう.なお html 文法チェッカは以下のサイトにある:

文献管理ソフトウエア

LaTeX には文献データベースファイルである bib ファイルから文献情報を引き出して,指定するスタイルで参考文献を作成する機能がある.そのとき必要な日本語対応ソフトウエアが pBibTeX である.pTeX をインストールすれば同時にインストールされる.経済学のばあいは標準のスタイルの他に natbib というスタイルを使うことも多いだろう.武田史郎の「経済学におけるBibTeXの利用」というサイトに関連情報がある.日本語対応かつカスタマイズ容易な文献スタイルファイル jecon.bst というのも用意されている.

文献管理アプリMendeley Desktop を利用するようになった.論文の pdf ファイルから文献情報を読み込んでくれるし,書籍であれば CiNii Books から情報を読み込めるので,データ入力の手間はかなり省ける.特別な書き出し作業を行うまでもなく,データを更新すればあらかじめ指定した場所に置いた bib ファイルも即時に更新してくれる.(BibTeX用の文献管理ソフトによっては,テキストファイルである bib ファイルを直接あつかえないことがある.入力した文献を BibTeX でとりだすためには保存データをいったん bib ファイルに変換するという手間をかけなければならないのだ.) 欠点としては,日本語著者名用の yomi フィールドがたぶん存在しないため著者名のソートに問題が生じる.また,「日本語著者名は外国人名と姓名の順序を逆に入力する」という bib ファイルの慣習にしたがわないことを想定しているが故の問題がある.

以前は特別なアプリは用いず,テキストファイルにデータを直接打ち込んで入力順にならべていた.原始的な方法だが,article とか book とか techreport などの文献タイプごとにテンプレートをつくっておけば,データを打ち込む手間は管理ソフトの場合と大差ないだろう.(bib ファイルのテンプレートの例はこちら.) 具体的には mi エディタに BibTeX モードを導入して文献管理をしていた.CiteULike という文献管理サービスを併用したこともあった.

bib ファイルは(ひとつの文献に対応するあるひとまとまりの「項目」以外の)好きなところにコメントを書けるようになっている.だから,とりあえず好きな形式で(つまりコメントあつかいで)文献データを入力しておくことができる.これはひじょうに有用だ.ただし正しい形式にしたがって打ち込んだ文献項目でないと BibTeX は無視する.

「個人用」 bib ファイルからコメント欄を取り除いて,「輸出用あるいは一般公開用」の bib ファイルをつくるためのスクリプトをこちらに置いている.

bib ファイルの置き場については,pTeX の項を参照.クラウドへの同期などのために本体を別の場所に置きたければ,シンボリックリンクを使うのがいいだろう.

さらに関心があるひとは,TeX Wiki BibTeX関連ツールを探索してみるといいだろう.

描画ソフトウエア

LaTeX であつかう図の作成には jPicEdt を使っている.「展開形ゲームの作図に使える jPicEdt]」というブログ記事を参照.

古くなった情報

MacPorts による pTeX 導入

pTeX をパッケージ管理システム MacPorts を利用してインストールした時に特に役に立った情報を以下に挙げる:

MacPorts 以外のインストール方法は MacWiki のリスト/TeXを参照.

独自のスタイルファイル類を置くために ~/texmf を利用していると MacPorts での pTeX インストール時に以下のようなエラーが起きた:

Error: Target org.macports.build returned: shell command failed (see log for details)

Log for pTeX is at: /opt/local/var/macports/logs/_opt_local_var_macports_sources_rsync.macports.org_release_ports_tex_pTeX/main.log

この問題は ~/texmf と ~/.texmf-var/ を mv でいったんリネームして再びインストールをやり直すことで回避できた.MacPortsでpTeXインストールエラー別サイトを参照.ログファイルでエラーへの対処法を見つけるには please を検索するといい?

MacPorts で pTeX を導入したときの TeXShop (MacWiki) の設定法は以下のとおり:

なくても問題ないが,私自身はMacpTeXとその周辺から入手した Mxdvi ビューアーも利用していた.