By Artfarmer2026年1月10日
この指針(Dietary Guidelines for Americans, 2025–2030)の作成に関わる代表者およびリーダーシップについては以下の通りです。
代表者(長官) 文書内の「長官からのメッセージ(Message from the Secretaries)」には、以下の2名が署名しています。
• ロバート・F・ケネディ・ジュニア (Robert F. Kennedy, Jr.):米国保健福祉省(HHS)長官
• ブルック・L・ロリンズ (Brooke L. Rollins):米国農務省(USDA)長官
リーダーシップ 本指針はトランプ大統領のリーダーシップの下、連邦政府の食品・健康政策における常識や科学的誠実性を取り戻す取り組みの一環として位置づけられています,。
構成メンバー(スタッフ)について 提供された資料内(https://cdn.realfood.gov/DGA.pdf)には、指針作成の実務を担当した具体的なスタッフの氏名や、科学的な検討を行った委員会メンバーの詳細な名簿は記載されていません。資料は主に、米国保健福祉省と米国農務省の長官によるメッセージと指針の内容そのもので構成されています。
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解説を聞きながらご覧になるとより理解が深まります。
要約
この「アメリカ人のための食生活指針 2025–2030」は、米国の連邦栄養政策における歴史上最も重要な見直しを示すものです。その中心的なメッセージは「本物の食品を食べること」というシンプルな原則にあります。この指針は、米国民が直面している深刻な健康危機に対応するために策定されました。この危機は、高度に加工された食品に依存する「標準的なアメリカの食事」と座りがちな生活様式によって引き起こされた、食事由来の慢性疾患の蔓延によって特徴づけられます。
本指針は、栄養価の高いホールフード、すなわちタンパク質、乳製品、野菜、果物、健康的な脂肪、全粒穀物を中心とした食生活への回帰を強く推奨しています。同時に、精製炭水化物、添加糖、過剰なナトリウム、不健康な脂肪、化学添加物を含む高度加工食品の大幅な削減を求めています。このアプローチは、国民の健康軌道を改善し、米国の農業生産者を支援し、連邦の食料・健康政策に科学的完全性と説明責任を取り戻すことを目的としています。これは「再びアメリカを健康にする(Make America Healthy Again)」という目標の基盤となるものです。
1. 国家的な健康危機への対応
本指針は、米国が直面している健康上の緊急事態への直接的な対応として策定されました。この危機は、いくつかの憂慮すべき統計によって浮き彫りにされています。
• 慢性疾患の蔓延:医療費の約90%が慢性疾患の治療に費やされています。これらの病気の多くは遺伝的な宿命ではなく、食事によって引き起こされる予測可能な結果です。
• 肥満率:アメリカの成人70%以上が過体重または肥満です。
• 若年層の健康問題:12歳から17歳のアメリカの青少年のほぼ3人に1人が糖尿病予備軍です。
• 国家安全保障への影響:食事由来の慢性疾患により、多数の若者が兵役不適格となり、国家の即応体制を損なっています。
過去の連邦政策は、予防ではなく医薬品による介入を促し、低品質で高度に加工された食品を助長してきました。本指針は、こうした不適切な政策選択、不十分な栄養研究、そして連携不足の結果として生じた危機を是正するための、根本的な政策転換を意味します。
2. 食生活指針の核心原則:「本物の食品」
本指針の中心的な哲学は、加工を最小限に抑えた「本物の食品」をアメリカの食生活の中心に戻すことです。これは体を養い、健康を回復させ、エネルギーを供給し、体を動かす意欲を促進する食事への回帰を意味します。
推奨される食品群:
• タンパク質:卵、鶏肉、シーフード、赤身肉、豆類、ナッツ、種子など。
• 乳製品:無糖の全脂肪乳製品。
• 野菜:色とりどりの新鮮な野菜。
• 果物:丸ごとの果物。
• 健康的な脂肪:肉、魚、ナッツ、アボカド、オリーブオイルなどに含まれる脂肪。
• 全粒穀物:食物繊維が豊富な未精製の穀物。
削減すべきもの:
• 精製炭水化物、添加糖、過剰なナトリウム、不健康な脂肪、化学添加物を含む高度加工食品。
このアプローチは、慢性疾患のリスクを減らし、栄養密度、回復力、そして長期的な健康を促進する食料システムへの移行を目指すものです。
3. 主要食品群に関する詳細な推奨事項
タンパク質の優先
• 品質と多様性:高品質で栄養価の高いタンパク質食品を毎食優先します。卵、鶏肉、シーフード、赤身肉などの動物性タンパク質と、豆類、エンドウ豆、レンズ豆、ナッツ、種子、大豆製品などの植物性タンパク質を多様に摂取します。
• 調理法:揚げる調理法を避け、焼く、あぶる、ローストする、炒める、グリルするといった方法に切り替えます。
• 添加物の回避:添加糖、精製炭水化物、化学添加物を含まない肉を選びます。風味付けには塩、スパイス、ハーブを使用します。
• 摂取目標:1日あたり体重1kgにつき1.2〜1.6グラムのタンパク質摂取を目指し、個々のカロリー要件に応じて調整します。
乳製品の摂取
• 種類:添加糖を含まない全脂肪乳製品を摂取します。乳製品はタンパク質、健康的な脂肪、ビタミン、ミネラルの優れた供給源です。
• 摂取目標:2,000カロリーの食事パターンの一環として、1日3サービングを目安とし、個々の要件に応じて調整します。
野菜と果物の摂取
• 多様性:色とりどりで栄養価の高い、丸ごとの野菜と果物を摂取します。
• 形態:添加糖がほとんどまたは全くない冷凍、乾燥、缶詰の野菜や果物も良い選択肢です。100%の果物・野菜ジュースは少量に留めるか、水で薄めて飲みます。
• 摂取目標(2,000カロリーの食事の場合):
◦ 野菜:1日3サービング
◦ 果物:1日2サービング
健康的な脂肪の組み込み
• 供給源:健康的な脂肪は、肉、鶏肉、卵、オメガ3が豊富なシーフード(サーモン、イワシなど)、ナッツ、種子、全脂肪乳製品、オリーブ、アボカドなどのホールフードに豊富に含まれています。
• 調理油:調理時にはオリーブオイルなどの必須脂肪酸を含む油を優先します。バターや牛脂も選択肢となり得ます。
• 飽和脂肪酸:飽和脂肪酸の摂取量は、1日の総カロリーの10%を超えないようにします。
全粒穀物への焦点
• 種類:食物繊維が豊富な全粒穀物を優先します。
• 削減対象:白パン、加工された朝食用シリアル、クラッカーなどの高度に精製された炭水化物の消費を大幅に減らします。
• 摂取目標:1日2〜4サービングを目安とし、個々のカロリー要件に応じて調整します。
4. 制限・回避すべき食品と成分
高度加工食品、添加糖、精製炭水化物
• 回避対象:チップス、クッキー、キャンディーなどの塩辛いまたは甘い包装済み食品や調理済み食品を避け、家庭で調理した栄養価の高い食事を優先します。
• 添加物の制限:人工香料、石油由来の着色料、人工保存料、低カロリーの非栄養性甘味料(アスパルテーム、スクラロースなど)を含む食品や飲料を制限します。
• 添加糖の制限:
◦ いかなる量の添加糖も推奨されません。
◦ 1食あたりの添加糖は10グラム以下に抑えるべきです。
◦ 添加糖は、コーンシロップ、果糖、ブドウ糖、ショ糖、ハチミツ、糖蜜など、様々な名称で表示されます。
ナトリウム
• 摂取目標:14歳以上の一般成人は、1日あたり2,300mg未満のナトリウム摂取を目指します。子供の推奨量は年齢によってさらに低くなります(1〜3歳:1,200mg未満、4〜8歳:1,500mg未満、9〜13歳:1,800mg未満)。
• ナトリウム含有量の高い高度加工食品は避けるべきです。
アルコール飲料
• 健康全般のためにアルコールの摂取を減らすことが推奨されます。
• 妊婦やアルコール使用障害から回復中の人など、特定のグループはアルコールを完全に避けるべきです。
5.ライフステージ・特別な配慮が必要な集団への指針
乳幼児期(0〜4歳)
生後約6ヶ月間は母乳のみ。その後、栄養価の高い固形食を導入。アレルギー誘発の可能性のある食品も約6ヶ月から導入。添加糖は避ける。
学童期(5〜10歳)
ホールフードに焦点を当てる。脳の発達を支えるため、全脂肪乳製品が重要。カフェイン飲料や添加糖は避ける。
思春期(11〜18歳)
急速な成長期であり、エネルギー、タンパク質、カルシウム、鉄の需要が増加。栄養価の高い食品を摂取し、加糖飲料を大幅に制限する。
青年期
最適な健康、骨の健康、生殖能力の維持をサポートする食事を継続する。
妊婦
鉄、葉酸、ヨウ素の需要が増加。鉄分豊富な肉、葉酸豊富な緑黄色野菜、オメガ3豊富な魚介類などを多様に摂取する。
授乳婦
母乳生産と母体の健康を支えるため、エネルギーと栄養素の需要が増加。ビタミンB12、オメガ3、葉酸などを豊富に含む食品を摂取する。
高齢者
カロリー必要量は減少するが、タンパク質、ビタミンB12、ビタミンD、カルシウムなどの主要栄養素の必要量は同等かそれ以上。栄養密度の高い食品を優先する。
慢性疾患を持つ人々
本指針は慢性疾患の予防や進行抑制に役立つ。低炭水化物食が有益な場合もあるため、医療専門家と相談して食事を調整する。
ベジタリアンとビーガン
多様なホールフードを摂取し、加工された代替食品を制限する。鉄、ビタミンB12、ビタミンD、カルシウムなどの栄養素欠乏に注意し、必要に応じてサプリメントを検討する。
6. その他の重要な考慮事項
• 適切な摂取量:必要なカロリーは年齢、性別、身長、体重、身体活動レベルによって異なります。特に高カロリーの食品については、分量に注意することが重要です。
• 水分補給:水分補給は健康全般の鍵です。水(炭酸水含む)や無糖の飲料を選びます。
• 腸の健康:健康的な食事は、バランスの取れた腸内マイクロバイオームをサポートします。野菜、果物、発酵食品、食物繊維が豊富な食品は多様なマイクロバイオームを促進し、健康に有益である可能性があります。一方で、高度加工食品はこのバランスを崩す可能性があります。