糖質制限食ビジネスを例に「目的と手段の相対性」を考察。利益は目的か手段か?松下幸之助・ドラッカーの経営哲学も引用し「利益は社会貢献のための手段」という企業活動の本質を論じた深い経営論考。
Byartfarmer2025年4月29日
私たちが日常的に実践している糖質制限食について、その目的や手段の関係性を考えることで、ビジネスにおける「目的」と「利益」の本質的な関係について考察してみたいと思います。
目的と手段は文脈によって入れ替わる相対的な概念です。実際の例で見てみましょう。
糖質制限食を作る場合
目的:糖質制限食を完成させること
目標:低糖質かつ美味しいこと
手段:適切な食材を選び調理すること
糖質制限食を食べる場合
目的:健康増進や血糖値の改善
目標:血糖値・体重等の数値の改善
手段:糖質制限食を継続的に食べること
このように、「糖質制限食」は文脈によって目的にもなり、手段にもなります。
別の例を見てみましょう。
小学生の場合
目的:テストで良い成績をとること
目標:〇〇点以上取ること
手段:算数や国語などを勉強すること
中学・高校生の場合
目的:志望校に合格すること
目標:合格圏内の成績に達すること
手段:テストで良い成績をとること(入学試験で)
このように、ある状況での「目的」が、別の状況では「手段」となることがあります。すなわち、目的と手段は相対的に決まるものなのです。
これらの概念を整理してみましょう。
目的:目指す事柄
目標:目指すべき状態(定量的・定性的に表されるもの)や具体的なもの(模範的な人物や特定の資格など)
手段:目的を実現するための行為・方法・要素
目標に「意味」が付加されると目的となります。ここでいう「意味」とは、それを目指す理由であり、その行為に自分が見出している価値や動機のことです。したがって:
目的 = 目標 + 意味
という関係が成り立ちます。
企業(個人事業主を含む)が糖質制限食を販売する場合について考えてみましょう。
一般的に、企業活動の目的について次の2通りの考え方があります。
(A)利益中心の考え方
目的:利益を上げること
目標:売上高〇〇〇〇円を達成すること
手段:糖質制限食を販売すること
(B)貢献中心の考え方
目的:購入者のメタボリックシンドロームや糖尿病(血糖値)の改善に貢献すること
目標:多くの人に商品を届け、購入者の健康指標を改善すること
手段:糖質制限食を販売すること
私は(B)、すなわち「目的は購入者の健康改善への貢献である」という考え方が本質的だと考えます。
それでは、販売によって生じた利益はどう考えるべきでしょうか。
利益は、事業活動の結果として生まれる「成果・報酬・恵み」と考えられます。つまり、利益は目的ではなく手段なのです。具体的には、利益は次の商品開発や企業組織維持(従業員への給与支払い、設備投資など)のための手段として機能します。
これは決して利益を上げることを否定するものではありません。松下幸之助氏が言われたように、利益を「企業の使命達成に対する報酬」として捉えるべきなのです。
以上の考察から、次のように結論づけられます。
利益は目的ではなく手段である
利益は、次の商品開発や企業組織維持のための手段である
企業活動の真の目的は、購入者の健康改善など「人と社会に対する貢献」である
この考え方は、経営の大家たちの思想とも一致する
松下幸之助:「本質的には利益というものは企業の使命達成に対する報酬としてこれをみなくてはならない」(『実践経営哲学』)
ピーター・F・ドラッカー:「組織は、自らのために存在するのではない。組織は手段である。組織の目的は、人と社会に対する貢献である。」(『断絶の時代』)
この視点に立つと、組織の維持自体も究極的な目的ではなく、社会貢献という目的のための手段であり、その組織維持のための手段(相対的手段)が利益だと言えるでしょう。
目的と手段の相対性を理解することは、ビジネスの本質を見極める上で重要です。真に持続可能な企業活動とは、社会的貢献を目的とし、その結果として利益を得る循環を創り出すことにあるのではないでしょうか。
この論考は、目的と手段の相対性という観点から企業活動の本質を考察されており、非常に興味深い視点を提示されています。特に、利益を目的ではなく手段として捉える考え方は、持続可能なビジネスモデルを構築する上で重要な視点だと思います。
論点を整理しますと:
目的と手段は文脈によって入れ替わる相対的な概念である
企業活動において「利益中心」と「貢献中心」の二つの考え方があるが、後者が本質的
利益は、社会貢献という目的を達成するための手段として位置づけられる
この考え方は古くて新しい問いでもあります。松下幸之助氏やドラッカーといった経営の大家たちも同様の哲学を持っていましたが、現代のビジネス環境では時に忘れられがちな視点です。
「目的=目標+意味」という定式化も興味深いです。企業活動においても、単に数字を追うだけでなく、その活動に社会的意味や価値を見出すことが、持続可能性と従業員のモチベーションの両面で重要になるでしょう。
この思想を実際のビジネスに適用する際の課題として、短期的な利益と長期的な社会貢献のバランスをどう取るかという点があります。理想としては社会貢献が利益を生む好循環を作ることですが、現実的には両者が矛盾する場面も出てくるでしょう。そのような場合に、どのような意思決定をするかが経営者の真価を問われるところではないでしょうか。
「真に持続可能な企業活動とは、社会的貢献を目的とし、その結果として利益を得る循環を創り出すこと」という結論は、現代のSDGsや社会的責任投資(ESG投資)の考え方とも合致しており、ますます重要性を増していくと思われます。