横浜国立大学2008年
原点をOとするxy平面上に2直線 K : y=mx , L : y=-mx があります。ただし m>1 とします。
K上に点P( s , ms ) , L上に点Q( t , -mt ) をs≠0 , t≠0 となるようにとります。
Pを通りKに垂直な直線と、Qを通りLに垂直な直線の交点をRとします。
(1) Rの座標を求めてください。
(2) PQとORが平行になるようにP,Qを動かすとき、Rの軌跡を求めてください。
この図ではPQとORは平行にはなっていません。
平行になるようにQを移動するとRはどこになるでしょう。
そして、PQとORが平行になるようにP,Qを動かすとき、Rの軌跡はどうなるでしょう。
この先を読む前に、紙と鉛筆でいろいろ図を描いてみてください。
そのほうが、この先、面白く読めます。
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さて、Rの軌跡を予想できたでしょうか。
この問題、問題設定はシンプルです。そして答もシンプルです。答は 直線 y=x と y=-x です。
でも、この結果を出すのは結構大変です。
まず、答が直線2本ということは、あるPに対して、PQとORが平行になるようなQは2つあるということですね。
2つ取れましたか?
では、実際に計算してみてください。
まず、Rの座標はm,s,tの式で表されますが、これはそう大変ではないでしょう。
x座標は
です。y座標も計算してくださいね。
さて、Rの軌跡です。
媒介変数型ですね。Pを自由に動かすとき(sが媒介変数)条件を満たすためにはPの位置によってQの位置も決まります。
したがって、tはsに依存します。mは定数と考えてよいでしょう。xとyの式からsを消去するということはtも消去しなければならないということです。
2変数の媒介変数で、しかも片方はもう片方に依存する。・・・ あまり見たことがないですね。
「PQとORが平行」という条件から(完璧な答案のためには細かい吟味は必要ですが)
という条件が出ます。「もしくは」というのは、計算してきた式をどのように整理するかで変わってくるからです。
Rのx座標とy座標とこの式をよく眺めて、運が良ければ s,t,m が一度に消えて、軌跡の方程式が求められるでしょう。
では、実際に動かしてみましょう。こちらにあります。
さて、実は、この問題、結構奥が深いです。
軌跡は y=x と y=-x の2直線なのですが、実際にはどう動いていくのでしょうか。
あるPに対し、条件を満たす点Qは2つあります。ですから、Pを動かすのと同時に、2つのQも同時に動かせば、2本の直線が同時に描かれていきます。では、2つのQはそれぞれまっすぐに進むのか。
上のアプレットを動かすと、そうではないことがわかるでしょう。
「PQとORが平行」という条件を満たすために、QはPに依存します。そこで、Qのx座標tをPのx座標sで表してみましょう。
先ほどの平行条件を使ってtをsで表します。
これをtの2次方程式と思って解けばよいですね。
解の公式を用いましょう。すると
となります。ルートを外した2番目の式で絶対値がつく理由はわかりますね。
でもそのまえに ± があります。絶対値記号をはずせば ± になるので、それじゃおなじことだから絶対値はいらない、と思いますか?
絶対値記号をとってしまうと、2つのQはまっすぐ進みます。
絶対値記号をつけると、上のアプレットのように、原点のところでクイッと直角に曲がります。
面白いですね。どっちがほんと?
まだあります。問題に、「ただし m>1 とします」とあります。
軌跡を求めるにあたり、この条件をどこかで使いましたか? 必要ですか?
それは上のアプレットで試してください。mの値をm>1 と限定せずに変えられるようになっています。
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