黄金比の作図
定規とコンパスで作図する黄金比。いろいろあります。
定規とコンパスでの作図ですが,ここではCinderellaの作図ツールを使います。
(1) ヘロンの作図(とされるもの)
・線分ABをとる
・ABに垂直で長さがABの半分の線分BDをとる (ABの中点をとってCとし,補助円も描いています)
・Dを中心とする半径DBの円を描く
・直角三角形ABDの斜辺ADとの交点をFとする
・Aを中心とし,半径AFの円を描き,ABとの交点をHとする。
HはABを黄金分割する点である。
なぜ? BD=1 とし,三平方の定理を使って長さを計算してみればわかります。
(2) 内接する2円
・(1) と同様に,AB=2BDである直角三角形ABDを描く
・Dを中心とする半径ADの円を描く
・DBの延長と円との交点をFとする
・Bを中心とする半径BFの円を描き,ABとの交点をHとする。
HはABを黄金分割する点である。
なぜ? BD=1 とし,三平方の定理を使って長さを計算してみればわかります。
(3) 内角と外角の二等分線
・(1) と同様に,AB=2BDである直角三角形ABDを描く
・Dの内角の二等分線と外角の二等分線を引く
・それぞれの二等分線がABおよびその延長と交わる点をF,Gとする。
BはFGを黄金分割する点である。
なぜ? 角の二等分線と三角形の辺の比の関係を使います。(高校1年生の数学の内容)
まず,内角の二等分線について,AD:DB=AF:FB が成り立ちます。
BD=1,AB=2,BF=xとしてxの値を求めます。
また,外角の二等分線についても,AD:DB=AG:GBが成り立ちます。
同じようにしてBGの値を求めます。
するとこれらが黄金数になることがわかります。
(4) 円に内接する正三角形
・円に内接する正三角形を描く。
作図手順はいろいろあるでしょう。
下図では半径が同じ2円を描いておき,∠ABC,∠ABDの二等分線を引きました。
正三角形はBFEとなります。
・BF,BEの中点を結んだ直線と円との交点をL,Kとする。
GはLHを黄金分割する点である。
なぜ? 正三角形の1辺を2,LG=xとして,BFとKLについて方べきの定理を適用します。
できた2次方程式を解くと,解は黄金数の逆数になります。
【参考文献】
不思議な数列 フィボナッチの秘密 : アルフレッド・S・ポザマンティエ,イングマル・レーマン著 松浦俊輔訳 日経BP社