絶対値
1.絶対値は−記号をとったもの?
国語辞典で「絶対値」を引くと、たいてい次のように書かれています。
ある数aが正または零のときはa自身、負のときは負号を取り去ったもの。|a|で表す。
たとえば、|3|=3 , |−3|=3 です。−3は負の数なので負の記号 − を取り去って3となります。
しかし、この考え方では高校数学の絶対値の問題のほとんどは解けません。たとえば、次の問題
の答えはどうなりますか? ルート2は 1.4142・・・ ですから、1−√2 は負の数です。では、負の記号をとったら?
ですか? いいえ、これは間違いです。正解は
です。
2.「計算」で−記号をとる
結論を先にいいましょう。負の数に −1 を掛ければ−記号をとることができます。
(−1)×(−3)=3
です。かけ算での×記号を略し、1を掛けるときは1も略せますので
|−3|=−(−3)=3
とできます。このように考えれば、先ほどの問題は次のようにして正解を得ることができます。
一般に、次のようにして絶対値記号をはずすことができます。
a≧0のとき |a|=a , a<0 のとき |a|=−a
これを、次のように書きます。
ここで、最初に書いたこととおおきなギャップができます。aが負の数のとき、−記号をとるには、−記号をつけるのです。ここに、高校生が絶対値でつまづく一つの原因があります。高校からは、
負の数の絶対値は−記号をとるのではなく、−記号をつけるのだ
と思うべきなのですね。これが高校からの絶対値記号の扱い方です。
3.絶対値の方程式を解く
「|x−3|=2 を満たす x の値を求めなさい」という方程式の問題を解きます。
絶対値記号を外すには、「絶対値記号の中の数が0以上ならそのまま、負なら−記号をつける」のでした。そこで
x−3≧0のとき すなわち x≧3のとき、方程式は x−3=2 となるので x=5
x−3<0のとき すなわち x<3のとき、方程式は −(x−3)=2 すなわち −x+3=2となるので x=1
となります。
4.||記号の深〜い意味
実は、中学・高校の教科書には、次のように書かれています。
数直線上で原点とA(a)との距離をaの絶対値といい、|a|で表す
また、
数直線上の2点A(a),B(b)の距離ABは |b−a|で表される
と書いてあります。
つまり、
| | 記号は距離を表す
ということです。
5.「距離」と考えて方程式を解く
先ほどの方程式 「|x−3|=2 を満たす x の値を求めなさい」 を数直線上で2点間の距離として考えてみましょう。
|x−3|はA(3)とB(x)の距離を表しますので、方程式の意味は「A(3)からの距離が2に等しい数B(x)を求めよ」となります。
すると、図から明らかな通り、x=5 または x=1 となります。
では、|x+2|=3 はどうしますか?
|b−a|がA(a)とB(b)の距離ですから、|x+2|=3 は|x−(−2)|=3 と考えます。こうすれば、−2からの距離を考えて解決します。
6.さらに進んだ内容その1
絶対値を含む関数 (実際にやってみるにはCinderella.2 が必要です。持っていない人はダウンロードしましょう。読むだけならCinderella.2はいりません。)
7.さらに進んだ内容その2
8.さらに進んだ内容その3