1のn乗根と単位円

このことは何を意味しているのでしょうか。Cinderellaで確かめてみましょう。

まず、画面下のツールバーの磁石アイコン(グリッドにスナップする)をクリックして、座標軸と方眼を表示します。

次に、やはり画面下のツールバーから、「矩形領域を画面サイズに拡大」ツールをクリックし、左上( −2 , 1 )から右下( 2 , −1 )までドラッグしてスケールを拡大します。

方眼1目盛が0.25になるでしょう。

「点を加えるツール」を用いて、適当なところでクリックして点を1つ取ります。点の名前はAとなるでしょう。

「半径つき円を加える」を用いて、原点中心半径1の円を描きます。この、半径1の円を単位円といいます。

ウィンドウを少し拡大し、画面下の「平行移動」ツールで原点を移動して、適当な位置にします。

次に、スクリプトメニューからCindyScriptを選び、左側の Draw アイコン(Draw スロット と呼んでいます)をクリックして、右側の広いエリアをクリックし、次のスクリプトを書き込みます。

th=pi/6;

z=cos(th)+i*sin(th);

A.xy=gauss(z);

歯車アイコンをクリックして実行すると、点Aが円周上に乗りますね。

pi は円周率πで、CindyScriptでは予約されている用語です。したがって、thは6分のπ、度数法で30°です。

次に、zの2乗を表す点を表示しますが、Cinderellaの作図機能で点をとるのではなく、CindyScriptで点を表示することにします。

次の1行を追加します。

draw(gauss(z^2));

draw() は、座標を与えて点を表示する関数です。gauss(z^2) で、zの2乗に対応する座標を求めて、その点を表示します。

ちいさな緑の点が表示されます。円周上にあるので、絶対値は1です。また、偏角が60°であるのも読み取れるでしょう。

同様に、3乗、4乗を表示していくのですが、これは繰り返し作業になりますので、repeat() 関数を用いて繰り返すことにします。さらに、どの点が何乗なのかも表示することにしましょう。先ほど追加した行を加工して、つぎのようにします。

n=6;

repeat(n,t,

  xy=gauss(z^t);

  draw(xy);

  s=text(t);

  drawtext(1.1*xy,"$z^"+s+"$");

);

1行目は、n乗をいくつにするかの設定です。

2行目は繰り返しの関数で、n回繰り返し、繰り返しの回を t とします。

3行目でzのt乗を計算し、それを座標に変換します。xyが座標です。

4行目でxyの位置に点を打ちます。

5,6行目でzの何乗かを表示するのですが、少しテクニカルなことをしています。

まず、回数 t を文字にしてsに代入します。text() は与えられた数を文字として扱うための関数です。

6行目で表示をしますが、表示位置は、xyを1.1倍した点です。x座標y座標とも1.1倍されるので、円より少し外側になります。

その位置に、"$z^"+s+"$" を表示するのですが、これは数式を表示するためのTeX(テフ)という書式です。

たとえば、zの2乗は $z^2$ と、$で挟むことによって指数の2をスーパースクリプトとして表示します。

文字列はダブルクウォート ”  で挟むことになっています。sは文字列ですので、+によって文字列が足されます。

sは繰り返しの回数ですから、指数が1,2,3・・と変化しながら表示されることになるのです。

zの6乗が −1 のところに来ています。確かめてみましょう。zの6乗は cos(6×30°)+i sin(6×30°) すなわち −1ですね。

では、スクリプトの中のnの値を変えて実行してみましょう。n=12にすると、Aを含めて12個目の点が1になるはずです。

zの12乗が1 ですので、zは1の12乗根です。

さて、n=12としてこの単位円周上に並んだ12個の点で表される複素数ですが、いずれも12乗すると1になります。確かめてください。

たとえば、4乗の点は cos(120°)+i sin(120°) ですが、3乗すると1になりますので、12乗してももちろん1です。

ということは、1の12乗根は、この12個で全部ということになります。

1の n 乗根 は単位円周上で、1から始まり、円周をn等分する点が表す複素数 ということになります。

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