グラフを用いて絶対値を含む方程式・不等式の解を考える

6.さらに進んだ内容その1「絶対値を含む関数」 で、グラフを描きました。これを利用して、方程式や不等式の問題を考えてみます。

まず、「グラフと方程式の関係」について考えましょう。

簡単な1次方程式と1次不等式をみてみます。

【例】1次方程式 2x+1=3 

y=2x+1 のグラフは簡単に描けますね。上の方程式は、y=2x+1 において y=3 であると考えられます。すると、 y=2x+1 のグラフで、y=3 のときのxの値を調べればよいことになります。

次の図をみればわかる通り、y=3 のときのxの値は1 すなわち、方程式 2x+1=3 の解は x=1 ということになります。これは、計算で求めた結果と一致しますね。

【例】1次不等式 2x+1>3 

y=2x+1 ですので、今度は yが3 より大きい ということです。x=1のとき y=3 でした。では、x=2 のときのyの値はどうですか? 3より大きいですね。グラフでは y=3 のラインより上です。逆にいえば、y=3 よりグラフが上の方にあるようなxの範囲が 2x+1>3 の解ということになります。グラフで見れば、1<x すなわち x>1 ということがわかります。

【例】1次不等式 2x+1>x+2 

次に、不等式 2x+1>x+2 を考えます。右辺がxの1次式ですので、y=x+2 というグラフを描いてみましょう。

交点が一つあります。これは、y=2x+1 と y=x+2 が同じになる点、すなわち 2x+1=x+2 となる点です。計算するとx=1 ですので、交点のx座標の1と一致しますね。そして、この点より右は、y=2x+1 の方が上の方にあり、この点より左は y=x+2 の方が上の方にあります。したがって、 不等式 2x+1>x+2 の解は x>1 であると考えられます。これは、計算して求めた結果と一致しますね。

結局、グラフが上の方にあるか下の方にあるかで不等式の解を判定できることになります。

【例】不等式 |x-2|<3 

この例では、まず左辺の |x-2| のグラフを考えます。x≧2 のとき |x-2|=x-2 , x<2 のとき |x-2|=-(x-2) ですので、グラフはx=2 の左右で二つに分かれ、つぎのようになります。

不等式は「|x-2| が3より小さい」という意味ですので、この図でグラフが y=3 より下の方にある範囲を考えると、--1<x<5 となり、計算結果と一致します。

では、この図を使って、不等式 |x-2|>1 の解を求めてみてください。

y=|x-1| のグラフが y=1 より上の方にあるxの範囲を求めれば、解は x<1 , x>3 となりますね。 

【例】不等式 |x|+|x-1|>3x

今度は少し複雑です。

まず、|x| は x≧0 と x<0 で場合を分けて絶対値記号を外します。

また、|x-1| は x≧1 と x<1 で場合を分けて絶対値記号を外します。

ですから、全体で考えると、x<0 , 0≦x<1 , 1≦x の3つの場合があることになります。

となります。確かめましょう。

すると、y=|x|+|x-1| のグラフは、3つの部分に分かれた折れ線になります。

これと、y=3x のグラフを比較します。

交点のx座標を計算すると、x=1/3  ですので、求める解は、y=|x|+|x-1| のグラフがy=3x のグラフより上方にある x<1/3 となります。

このように、グラフを使うと、グラフを描く手間はすこしありますが(場合分けはいずれにしても必要なので)、方程式を解いて交点のx座標を求めれば、グラフの上下関係から不等式の解が求められることになります。

< 戻る >