第4回 円周角から正弦定理へ

今回は、円周角と正弦定理を題材に、点の再定義、テキスト表示、CindyScriptについて学びます。

まずは、中学3年生で出てくる円周角の性質から作図しましょう。

(1) 「半径つき円を加える」ツールボタンを選びます。中心と半径を適当にドラッグして決めて円を描きます。

(2) 「線分を追加する」ツールボタンを選んで円に内接する三角形を描きます。円周上にうまく乗るように端点をクリックしてとり、3つの線分を引きます。

(3) 「角度を測る」ツールボタンを選んで、円周角を測ります。ガイドにしたがって点Bをはさんでいる2つの辺をクリックします。

これで作図はおわり。「要素を動かす」ツールボタンを選んで、頂点Bを動かしてみましょう。どこにあっても同じ角度が表示されます。しかし、かえっておかしな感じがしませんか。このままだと、点の動きと角度の表示が関係ないようにも見えます。そこで、頂点以外の点、たとえばCを動かしてみましょう。すると角度が変化します。それでも、頂点を動かしたときに、表示が変わらないのは、頂点の動きとは関係ないように見えます。

そこで、頂点が、円周上だけでなく自由に移動できるようにしてみましょう。つまり、「点Bは円周上にある」という条件ー定義ーを変更するのです。

(4) 「点の取り付け/取り外し」ツールボタンを選びます。点Bをドラッグして見ましょう。円周上からはずれますね。

「要素を動かす」ツールボタンを選んで頂点Bを動かしてみましょう。こんどはどこにでも自由に動き、角度もそれに応じて変化します。

では、点Bを円周上に戻しましょう。「点の取り付け/取り外し」ツールボタンを選んで点Bを円周上にドラッグします。円周が光ったようになったところでマウスボタンを離します。

さて、角度が表示されていますが、この表示場所は点とともに動くようになっています。これを、一定の場所に置いてみましょう。「要素を動かす」モードのままで、表示されている文字をドラッグします。すると、今度は点Bを動かしても表示場所は変わらなくなります。この角の表示が、今は「<)ac=53.4°」のようになっているでしょう。これは、線分aとcのなす角、という意味です。この表示を「B=53.4°」のように変更します。

(5) 「文字を追加する」ツールボタンを選びます。角が表示されている文字をクリックすると、この文字列を変更するための小ウィンドウ「文字を入力」が開きます。その中には、「<)@$"a"@$"c"=@#"α0"」と書かれているでしょう。右辺の「@#"α0"は、点Bの角を示します。では、左辺を「B」に書き換えて、「B=@#"α0"」とし、OKボタンを押してみましょう。表示が変わりましたか。

では、正弦定理に進みましょう。正弦定理は、角のsinと対辺の長さの比が一定で、外接円の直径に等しい、という定理です。

まず、辺CDの長さを表示しましょう。

(6) 「距離を測る」ツールボタンを使ってCD間の距離を測ります。点Cと点Dをドラッグするようにして選択すると、物差しのガイドが出ますので、ぴったりCDを指定したところでマウスボタンを離します。

次に計算です。sinB/CDを計算して表示しします。これは、角BやCDの長さが変わると変化するので関数である、と考えましょう。

(7) 「関数を定義する」ツールボタンを選びます。ガイドに「関数を入力するためには一度クリックする」と出ますので、適当なところー結果を表示したいところーでクリックします。すると、「1行のCindyScriptを入力」(以前の版では「Enter a CindyScript line」)というウィンドウが開きます。ここに計算式などを書いていきます。さきほど、角Bを表示したとき、角Bは「@#"α0"」と表されていました。ためしに、「@#"α0"」と書いて、「計算」(以前の版では text ボタン)ボタンを押してみましょう。・・・何も表示されませんか? 下線だけ? では、その下線のところをクリックしてもう一度関数のウィンドウを出し、今度は「評価」(「Evaluate」)ボタンを押してみましょう。「@#"α0"」がそのまま表示されましたか。

実は、ここに書くのはCindyScriptというプログラミング言語なのです。ですから、「@#"α0"」ではだめなのです。CindyScriptでなす角を計算するには、arctan2()という関数を用います。()の中に書くのはベクトル(成分表示)です。今の図でいうと、ベクトルBCまたはベクトルCDです。このベクトルは、点の座標と考えても結構です。点の座標は、点の名前を用いて、x座標がB.x、y座標がB.yのように表されます。したがって、ベクトルBCは、(C.x-B.x,C.y-B.y)で、ベクトルBDは、(D.x-B.x,D.y-B.y)であらわされます。では、次のように入力して、計算ボタンを押してみましょう。計算式の意味は、ベクトルBDがx軸となす角(x軸は見えませんが)からベクトルBCがx軸となす角を引く、ということになります。

うまく角度が表示されましたか。うまくいかない場合は次のことを試しましょう。

まず、 arctan2(D.x-B.x,D.y-B.y) だけやってみる。これでベクトルBDがx軸となす角が表示されるはずです。それでもうまくいかない場合は、綴りや、ピリオドとコンマの違い、()のあるなしを確かめましょう。

うまくいったら、この角のsinを分母に、CDの長さを分子にすれば、正弦定理の式ができます。CDの長さは|C,D|またはdist(C,D)で表されます。したがって

|C,D|/sin(arctan2(D.x-B.x,D.y-B.y)-arctan2(C.x-B.x,C.y-B.y))

または

dist(C,D)/sin(arctan2(D.x-B.x,D.y-B.y)-arctan2(C.x-B.x,C.y-B.y))

となります。

さて、この結果が、円の直径であることを確かめましょう。

(8) 画面下のツールから「座標軸を描く」と「グリッドを描く」をクリックします。すると、隠れていた座標軸が表示されます。1目盛りのサイズが右下に表示されているでしょう。「要素を動かす」ツールボタン

を選んで、円をドラッグして大きさを変えてみましょう。それにしたがって、先ほどの正弦定理の式の結果が変化するでしょう。ちょうど直径になっていますか?

ぴったり目盛にあわせて円の大きさを変えるには、「グリッドにスナップする」をクリックしておきます。すると、まさに磁石のように、目盛の近くに来るとぴったり目盛に吸い寄せられます。