第3回 外心(自動証明)

Cinderellaの大きな特徴ー開発時の最初の仕様ーである、自動証明機能を試します。題材は外心。

自動証明機能とは、ある点がある点と一致するあるいはある曲線上にあることを自動的に証明する機能です。点が曲線上にあるというのを「インシデント」といいます。曲線がある点を通る、という場合にもインシデントといいます。この"incident"という言葉は、日本語に訳すと「付帯する」というような意味ですが、数学的にはぴったりした訳語がないようで、明治大学の阿原氏も「シンデレラで学ぶ平面幾何(シュプリンガージャパン刊)」のなかでそのまま「インシデント」と書いています。

さて、ここでの設定を考えましょう。外心は、三角形の3辺の垂直二等分線の交点です。3つの垂直二等分線が1点で交わるといウ事実、まずはこれを証明するのですが、シンデレラでは合同や相似といった論理的な筋道を取るのではなく、ある方法を用いて「インシデント」であることを証明します。それを「自動証明機能」と呼んでいます。

では、次の手順でやってみましょう。

(1) 「線分を追加する」ツールボタンを選んで(クリックし)、適当な場所に線分を引きます。まずどこかをクリックしてそのままドラッグしていけば線分が引かれますので、適当なところでマウスボタンを話します。さらに連続してあと2つの線分を引いて三角形を作ります。もちろん最後の線分の端点を最初の点にすることはわかりますね。これを三角形ABCとしましょう。

(2) 「中点を追加する」ツールボタンを選んで辺ABの中点を取ります。線分の両端をドラッグで選ぶようにすれば中点をとることができます。

(3) 「垂線を追加する」ツールボタンを選んで中点から垂線を引きます。このツールは、ある点を通る垂線を引くもので、選ぶ順序は 直線->点 です。したがって、線分AB上の適当なところをクリックしてそのまま中点までドラッグしていけば垂直二等分線が引けます。

(4) 同様にして辺BCの垂直二等分線を引きます。

(5) 「2つの曲線の交点を求める」ツールボタンを選んで、2つの垂直二等分線の交点を求めます。このとき、いま描いたばかりの二等分線が、光ったようになっているはずです。これは、その直線が選択されていることを示します。ツールボタンを選んだら、もう一方の垂直二等分線をクリックします。すると2つの垂直二等分線が選択されたことになり、その交点ができます。

(6) 3本目の垂直二等分線を引きますが、この3本目の垂直二等分線がいまできた交点を通ることが証明されれば、3つの垂直二等分線が2点で交わることが証明されたことになります。ここで「自動証明機能」の登場です。3本目の垂直二等分線を引く前に、メニューバーの「表示」から「情報」を選択します。すると、「Cinderella Console」という横長のウィンドウが開きます。これ以降の作業結果がここに表示されます。

では、残りの辺CAの垂直二等分線を引きましょう。

すると、Cinderella Consoleに「点"F"は"f"上にある」と表示されるでしょう。(手順によっては別の名前のこともあります)つまり、CAの垂直二等分線f上に、先ほどの交点があるということです。これで3辺の垂直二等分線が1点で交わることが証明できました。

【練習問題】

(1) 三角形の3つの角の二等分線は1点で交わります。これが内心です。このことをCinderellaの自動証明機能を使って証明しなさい。

(2) 三角形の3本の中線は1点で交わります。これが重心です。このことをCinderellaの自動証明機能を使って証明しなさい。

(3) 三角形の各頂点から対辺に引いた垂線は1点で交わります。これが垂心です。このことをCinderellaの自動証明機能を使って証明しなさい。

(4) 三角形の1つの内角と他の2つの外角の二等分線は1点で交わります。これを傍心といいます。このことをCinderellaの自動証明機能を使って証明しなさい。また、この点を中心として辺と接する円は他の辺の延長と三角形の外部で接します。このことは自動証明機能では証明できませんが、辺と接する円を描いて、それが他の辺の延長とも接することを確かめることはできます。下の図がその一例です。