2次関数

1 2次関数のグラフ

2次関数

  ・・・ ①

のグラフは、中学校で学ぶ

  ・・・ ②

のグラフを平行移動したものです。

x軸方向にp、y軸方向にqだけ平行移動すると

・・・ ③

のグラフになります。①の形の式を一般形、③の形の式を標準形と呼ぶことがあります。

①の形から③の形に変形することを「平方完成」といいます。

②のグラフを平行移動したときの式の変化をインタラクティブに見ることのできるCinderellaの作品があります。

リンク先はこちらです。

これを使って、平行移動量、頂点の位置と式の形について、感覚的に身に付けてしまうとよいでしょう。

教科書では数表を使って平行移動量を考えたりしていますが、x軸方向への平行移動で符号がマイナスになることがわかりにくいところです。

その前に、y軸方向に移動して②の式に平行移動量qを加えているのですが、実はここに少し問題があるのです。

x軸方向への平行移動量pに−がつく理由は、「関数のグラフとは何か」という根本的な問題なのです。これを次の節で考えましょう。

2 グラフの平行移動と関数の式の変化

  ・・・②

のグラフをx軸方向にp、y軸方向にqだけ平行移動したグラフが表す関数が

・・・③

となる、「真の理由」を考えます。

②のグラフ上の任意の点(どこにあってもよい点という意味。具体的な座標には決まらないので、文字で表します)を A( u ,v ) とします。

この  A( u ,v ) をx軸方向にp、y軸方向にqだけ平行移動した点が、③のグラフ上にあるわけです。これをB(s,t) とします。

したがって

s=u+p , t=v+q ・・・ ④

が成り立ちます。

 A( u ,v )は②のグラフ上にあるので②式を満たします。すなわち

・・・・ ⑤

です。これに、④の式を代入します。代入するにあたっては、

u=s-p , v=t-q ・・・ ⑥

とする必要がありますね。(ここが重要!)

代入すると

・・・ ⑦

となります。

さて、⑦式の意味は何でしょうか。sと t の関係が⑦式になるということは、(s,t) は

・・・ ⑧

を満たすということです。すなわち、平行移動したグラフが表す関数は⑧ということになります。

⑧の左辺のqを右辺に移項すれば

となります。

ここまでで重要なのは⑥式です。つまり、「xもyも平行移動量を引いた」ということです。

⑥式を⑤式に、いいかえると「もとの式に」代入した形になっています。

このことは、もとのグラフを表す式が②でなくても成り立ちます。

 もとのグラフを表す式を一般的に 

   とすると、この式に⑥式を代入して、平行移動したグラフを表す式は

となります。(左辺の q は最後に右辺に移項することになります)

3 2次関数の最大・最小

2次関数には限りませんが、グラフを描くと、定義域に対する値域をグラフから読み取ることができます。

値域のなかに、最大になる値があればそれを最大値とします。いくらでも大きい値がある場合や、値域が大きい方の値を含まない場合は最大値はありません。

値域のなかに、最小になる値があればそれを最小値とします。いくらでも大きい値がある場合や、値域が大きい方の値を含まない場合は最小値はありません。

以上は具体的にグラフを描いてみればわかることです。

上の図で、赤の範囲が定義域です。

高校数学で難しいのは、定義域に変数が含まれていて可変の場合と、関数の式の中にx以外の変数が含まれている場合です。

たとえば、

という問題です。この場合、aの値によって、グラフの形は次のように変化します。

実際に定義域を動かしてグラフの変化を見てみましょう。次の3つのパターンがあります。それぞれ、Web上で定義域を動かしたり、2次関数の関数の係数を変えたりするインタラクティブな教材です。

(1) 定義域を固定または自由に変更できる。

<例> 定義域は固定し、係数aを変化させる。

<例> 関数は変化せず、定義域を変化させる。

この例では、定義域の右端が変更可能ですが、左端も変更できます。

これらを実際に式を入力して動かしてみることのできるツールがこちらにあります。

(2) 幅が一定の定義域の位置を変更できる。

<例> 

このパターンで式を入力し、定義域を動かしてみることのできるツールがこちらにあります。関数の式に変数aを入れることもできます。

(3) ちょっと特殊な例

<例> 係数と定義域に変数aが入っており、しかも定義域の動きが(1)や(2)とは異なるパターンです。

この形で実際に式を入力して動かしてみることのできるツールがこちらにあります。

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