【如水会々報2017.1 新春インタビュー】
明けましておめでとうございます。
如水会々報12017 (20・21頁抜粋要約)
ヤマトホールディングス(株)代表取締役会長木川眞氏(48商)
インタビューワー岡田円治(48経)如水会理事・事務局長
実学に強いグローバル人材の育成を
——「民の力」というのは、商法講習所を設立した時からのDNAですね。
木川 そうですね。その点を強めることが一橋らしさのアピールにつながると思うのです。
学問の基盤を強めるのは大事ですが、大学の役割をそれだけだと考えてほしくない。これからの時代に求められる人材を一橋大学は輩出し続けてほしいです。
私はこれからの時代に必要な人材になるためには、5つの力を身に着けることが大事だと思っています。
一つ目は、世の動きを常に好奇心を持って見る目。
二つ目は、ちょっとした変化に気づく感性。
三つ目は、多様な価値観を受け入れる柔軟性。その柔軟性を持たないと、これからの時代は生きられません。それから、
四つ目は、自分が考えていることを形にするデザイン力。技術者であれば製品開発、営業マンであれば自分の思いを伝えるプレゼン能力です。世界に発信できるスキルを持ってほしい。そして
最後に、何よりも、こうあるべしと思ったら失敗を恐れずチャレンジする勇気。
この5つの力を持つ人材をどうやって育てるかが大切なのです。
学問だけに軸足を置くのではなく、自由闊達に様々な活動ができるような環境で、強い人材を育成する教育ができたらすごいなと考えています。一橋大学はその歴史からいって、実学という観点で人材を輩出してきた数少ない大学のひとつだと思います。
その良さをもっとブラッシュアップするぞというメッセージが欲しいですね。
今の一橋に望むのは「民の力の活用」
——大学時代はどんな学生でしたか。
木川 普通の学生ですよ。気の合った仲間たちとよく遊びましたし。ただ、どちらかというと、真面目に授業には出たほうかもしれませんね。
ーー部活は?
木川 会計学研究会と写真部でした。写真部に入った動機は、卒業アルバムを作りたかったからなんです。アルバム委員会は写真部が母体で、実は卒業アルバムは、私が入った前年までは収支が厳しかったのです。そこで、僕らは売り方を抜本的に変えました。つまり、学生に売らずに父兄宛にダイレクトメールを送って、学生ではなくその親に申込んでもらいました。そうしたら、想定以上に売れましてね。これが利益を出す事業としての成功体験第1号です。
ーーそのころから商才はお持ちだった(笑)
木川 商才があるかはわからないけど、いろいろと知恵を出すことは好きでしたね。
ーー今の大学に対する注文をお聞かせください。
木川 大学経営という観点では、当時に比較して格段に厳しくなっていると思います。画一的な経営では、存在価値が見いだせない時代に入っているわけですから。一橋もユニークな強みを持った大学であってほしいですね。これからも産学連携をもっと強く打ち出して、「実学に強いグローバル人材」を育成するという特徴を持たせた方がいいと思っています。
「民の力」をうまく使って、グローバル人材を輩出する大学を是非作り出してほしいと望んでいます。