国立だより(国立マンション景観訴訟)

P大島昌二 2017.11.22 過日「国立だより」で三角屋根の旧駅舎の復元計画をお知らせした際に触れるべきだと思いながらパスしてしまった問題です。ようやく解決がついたようなので以下にお知らせします。

それは旧駅舎よりも大きく全国的にも話題を呼んだ上原公子元市長に対する求償裁判事件です。すでにご承知の方も多いと思いますがまずは今朝の毎日新聞(添付記事) から始めます。

件名: <国立マンション景観訴訟>元市長が賠償金完済 5千人支援

https://mainichi.jp/articles/20171122/k00/00e/040/195000c


この記事を読むといかにも「めでたしめでたし」のように読めますがそうでもない。

まず裁判は一つだけではなかった。

最初に国立市対明和地所(マンション建設会社)のマンション建設差し止めの訴訟があり、一審ではマンションの高層部分の取り壊しを命令するという異例の判決が出て世間を驚かせた。

しかし最高裁まで行った裁判の最終的判決では建設会社が勝訴して国立市は損害賠償金の支払いを命じられた。(条例は後追いであったから、素人目ながら市側の差止め命令は勝ち味は薄いとしか見えなかった。)ところが明和産業はその支払いを(実質的には)免除して同額を教育などと用途を指定した上で国立市に寄付することを申し出た。

国立市はこれを受理し、そこで問題は一件落着したかに見えた。

ところが一代挟んで就任した佐藤一夫市長は「市民の要請に応じて」あらためて国立市が訴訟当事者となって上原元市長に対して同額の賠償金の市に対する支払いを求める訴訟を起こした。

この裁判(求償裁判と言うらしい)では一審は上原氏側が勝訴したが、二審で逆転敗訴、最高裁は上原氏の上告を棄却した。

これは明和産業からの「寄付」は訴訟とは無関係のものであり、市としては金銭的には損得なしであるが、市が敗訴した賠償金を上原氏個人に求めていたことになる。(しかもこれは市にとってはタナボタの収入になる。)

佐藤氏はその後急死し、佐藤市長の後を継いだ永見理夫現市長も就任の弁でこの裁判に関して、前市 長の方針を受け継ぐことを明言した。

私はその時点で市の広報課に電話で説明を求めたことがあったが、混乱した説明しか得られなかった。

今回、永見市長は「市民を分断してきた一つの大きな課題が終わったことに安堵(あんど)している」とのコメントを出していますがこの広報担当者の心裡も揺れていたのかもしれない。(永見市長にはここに来るまでに分断を和らげる方法もあったのではないだろうか。)

私はその後、望月市議会議員(如水会員)に上原基金がどうなっているかを問い合わせて、基金への拠金は実質的には国立市への寄付になることを確かめた。

新聞には寄付は広く全国から集まったと書いてありますが国立市に住んでいても黙っていれば何もわからないのが実情だと思う。

判決が出た当時、新聞にも出た意見ですが、このような判決が妥当とすれば、そして法治国家である日本で、忖度なしにこの原則が適用されるとすれば、行政府の長たる人は無限に近い債務を負う可能性があります。

歴代の東京都知事を思い浮かべるだけでも「鳥肌が立ち」(本来の意味で使っています)ます。記事によれば、今回の求償金3,124万円は今年5月、延滞金1,432万円は今回完済したとのことです。延滞金は法定の金利だと思いますがゼロ金利時代でも容赦はないものらしい。(以上は取り急ぎ、記憶にもとづいて書いたもので、本来ならば判決文を読んだ上でもの申すべきかもしれない。

いずれにせよ、細部において厳密性を欠くとしても、大筋において間違いないものと思います。)蛇足を加えることが許されるなら、複雑な問題をこのように前後の脈絡なしにプリントするのが日本の一流紙の通弊です。(毎日のほかに東京新聞の記事を見ました。)意見はなくてもよい。これまでの経緯をしっかりと報じて欲しいと思う。欧米の一流紙の記事には起承転結がある。見習うべき点だと思う。

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