「人工知能と経済の未来」に読み取る衝撃の記述

Q坂本幸雄2017.12.18

井上智洋著「人工知能と経済の未来」に読み取る衝撃の記述

・小生、先日「有用性と至高性」なる拙文を投稿しました。その最後に、当書「おわりに」に記載されている「ダバイユの特異な論調」の面白さにかかずらわって、肝心の本論を読み忘れてしまった、と書きました。ようやくその本論を読み始めたのです。が、すぐさままたまた、衝撃的な下記の記述に出会いました。

・その本文の出だし部分46Pには、著者井上氏も「本当かよ」と驚くような記述がありました。

・カーツワイル(注:アメリカでは、音楽家ステイービー・ワンダーの依頼でカーツワイルの名を冠したシンセサイザーを製作したことで有名らしい)によれば、今後人工知能は、その処理能力が更に加速して「シンギュラリティ」の到来がより早まるばかりでなく、そこに招来される「GNR革命」なる大きな変化がその「シンギュラリティ」の状況に大きな変貌をもたらすというのです。Gは遺伝子工学(Genetics) ,Nはナノテクノロジー(Nanotechnology),Rはロボット工学(Robotics)の略であります。そのG の発達によって、例えば「人口肉」が可能となるのだそうです。そうすると、その「人口肉」の技術によってわれわれ人間は、もはや生きた動物を畜産することなく、タンやレバーといった肉のパーツだけを工場で量産できるようになり、われわれ人間は牛や豚を殺めることなく、肉を食べられるようになるのだそうです。そうなると、ベジタリアンが焼肉レストランに安心して訪れるような変化も予想される、というのです。味の方は「本物の肉ほどジューシーではない」ということながらも、この研究プロジェクトにはグーグルも出資しており、今後味の改善とともに商業用の大量生産も可能になることが期待される、と書かれています。

・更にNとRに関しては、われわれ人間の寿命延長を可能にする「ナノ・ロボット」の驚くべき活用について次のように書かれています。ナノ・ロボットとは、極小のロボットであり、体内に入れて様々な病気の治療に役立つロボットのことであります。しかし、それはロボットというよりも、人工的なものながらも、まるで白血球のように自律して働く組織体というイメージで捉えると分かり易いとあり、それが、もともと人間の体内に備わっている免疫システムの如き役割を果たすというのです。そうすると「今後人間は15年以内に毎年1年以上寿命を延ばせるようになる」と書かれています。

・つまり、われわれ人間は、後15年ほど生き伸びることができれば、自分の寿命を暦年齢以上に伸ばせるようになり、それ以降は、交通事故にでも遭遇しない限り何年でも長く生き延びることが可能になるという驚くべき未来予測であります。カーツワイル自身、永遠に生きる気マンマンであり、1日250錠ほどのサプリメントを飲んで健康を維持しつつ、そんな不老不死の長寿が可能になる日を待ちわびている、とも書かれています。

・皆さん。如何ですか。「地獄の沙汰も金次第」の世界が、金さえあれば現世でも普通のこととなり、水耕栽培で伸びる「もやし」のような百寿を超えた年寄りがうようよ生活している世界をどう思われますか。

・来るべき「シンギュラリティ」が、上述の如き「おぞましい世界」をも招来するという世の中で、バダイユの説くどんな「至高性の世界」が思い描けるというのでありましょうか。

・当書は「人工知能と経済」というタイトルでありますが、むしろ「人工知能とそのおぞましき人間社会」とでも変更すべきではないでしょうか。

・かかることも含めて「人工知能の未来」に興味があれば、当書をお読みになっては如何でしょうか。 (坂本幸雄 H29.12.18記)

******************************************************管理人 森2017.12.18********************

この本を一昨日鹿沼のくまざわ書店で購入しました。私は第5章「なぜ人工知能にベーシックインカムが必要なのか?」から読み始めました。というのは、私は以前からベーシックインカム(BI)に強い関心を持っているからです。生活保護はなぜダメなのか、なぜBIでなければならないのかが詳述されています。もちろん大賛成です。BIを実験している国も出始めました。

日本で一刻も早く実験開始して欲しい。

著者は「AI社会はBIとセットでパラダイスになる」、汎用AI到達前に、「今すぐBIを」と熱く説いています。

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