ボランティア半世紀

ボランティア半世紀

河 井 春 穂 2016.8.4・・・・・・・・・・・・・・・・

学生生活一年目の昭和30年春、対視覚障害者ヘルパーを求める朝日新聞の投書欄「声」の縁で始まった小生のボランティア活動も、早いもので今年で半世紀となった。

当時、小平の下宿先から三鷹の盲学生(高橋實氏)の下宿まで通って専門書の音読や論文代筆などをするのが主な仕事であったが、そのほかに同氏の手を引いて学校、書店、商店などを訪問する介助業務もあった。雪の降りしきる駅のホームで小生が足を滑らせて、あわや二人とも線路に転落しそうになったこともあったし、ラッシュアワーの中で足並みの遅いわれわれ二人が「邪魔だ」との怒声を浴びせられたり、侮蔑の眼を向けられたこともあった。

同氏は頑固で負けず嫌いではあったが、50年後に社会福祉法人の理事長となり、吉川英治文化賞まで受賞(受賞式には小生も招待された)するに至るとは小生も夢想だにしなかった。もちろんその間はわれわれボランティアのみならず、周囲の数多くの物心両面での支援者の存在があったからこそであり、本当にありがたいことであった。形式上では法人とはいえ未だに公的援助は一切無いので、支える会会員の年会費および支援者からの寄付金や物品拠出(使用済み切手、カード類、書損はがき等)や物品購入(図書、絵はがき類)などで細々とした綱渡り経営を強いられている。

現在、小生は支える会会長(家族全員も会員)として会員や支援者の拡大など専ら裏方業務で奔走しているが、幸い健康でもあり体力の続く限りこれからも努力していきたいと思っている。当方への支援については一切強要しないことにしているが、幸いに級友、同期生、先後輩各位から変わらぬ温かい支援や激励を頂戴し深く感謝している。願わくは諸兄姉におかれては、金銭負担のない上記の物品拠出などで協力くださればありがたく思う次第である。

ボランティアを始めて半世紀、日常の活動や文通を通じて実に多くの貴重な友人や支援者にも恵まれて、「情けは人の為ならず」の箴言を改めて噛みしめている今日この頃である。

以 上

--------関連ホームページ-----------------------------------------------------------------------------

社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター 高橋 實 月刊「視覚障害」

競い合い、助け合うコンサート2016―羽ばたけ視覚障害音楽家たち

158 1997/11/20

河井春穂

P組

視覚障害者支援42年

三木会の活動記録

--------河井春穂さんメール--------------------------------------------8月4日---------------------

森 正之 兄

梅雨も明けましたがその後もお変わりないことと思います。過日は「天竜川」をわざわざ貴HPで披露くださり恐縮です。

https://sites.google.com/site/net33q/-33p

「如水会々報」の「ギャラリー」欄はほとんどが油彩画であり、かねて級友から級誌「多摩湖線」の表紙絵(モノクロ)の原画(水彩画)の投稿を勧められていたこともあり、それに応じたのがたまたま採用されたものです。

(略)、縁あって昭和30年の小平時代から私が関わってきました視覚障害者支援活動につき簡単に述べておきます。これはふとした縁で始めたボランティア活動で東京海上勤務時代は地方転勤もあって十分な仕事もできませんでしたが、同社退職後は「視覚障害者支援総合センター」の事務局長(無報酬)として微力ながら十数年勤めました。

この支援活動には幸いに燦々P有志のみならず多くの一橋同期生や先輩後輩からも多大の協力を頂いており、ありがたく感謝しています。先日の7月末には上記センター創設30年・法人認可20周年記念式典と祝賀会を所管の文部科学省および厚生労働省の役員ほか来賓60余名を招いて行いました。

この行事には支援団体(センターを支える会)の代表として私も招待されましたが、下記の一文はそれに関する支援総合センター職員への礼状兼激励文です。

視覚障害者支援総合センター職員 各位

この度の記念式典および祝賀会ではご苦労さまでした。双方とも盛大かつ賑やかな行事となって何よりでした。

高橋實理事長初め来賓各位の挨拶をお聞きしながら、60年前のお互いの学生時代に不思議な縁(朝日新聞への一主婦の投書)で高橋氏の専任ヘルパーとなり、同氏の三鷹の下宿(6畳一間)の裸電球の下で深夜まで専門書の朗読や論文・手紙類の代筆をしたこと、また20年前の法人認可前の数年間はセンター事務局長として都庁の役人との厳しい折衝を連日重ねていたことなどが思い出されて、思わず胸に込み上げるものがありました。

理事長と同じく私も既に八十路に入っていますが、これからも支える会々長として縁の下で全国560余名の支える会々員とともに尽力していきたいと思っています。今後もセンター職員各位のご活躍を陰ながら祈念しています。お礼かたがたご挨拶まで。 河井春穂

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河 井 春 穂 様

森 正 之・・・・・・・・・・・・・・・・

貴兄の永年の視覚障碍者支援活動を初めて伺い、感銘致しました。高橋實さんの専任ヘルパーを小平時代から始め、更に多忙な会社員時代も志を持ち続け、東京海上退職後、組織の事務局長として都庁役人との厳しい折衝の前面に立つなどのご苦労は、想像を絶します。

私の鹿沼での知り合い(妻の知人・パソコンクラブ世話役)は永年点字グループの責任者を務め、パソコンが変わるたびに新たな勉強に取組んでいます。

また私自身も、不登校児や知的・精神的障害者のパソコンや書道支援を、鹿沼に来てから始めました。今も宇都宮のNPOへ通っております。

このたび貴兄の尊いご活動と燦々P有志諸兄の暖かい応援を知り、一橋人として心から誇りに思います。

メール本当に有難うございました。

できれば、今回のお知らせを何らかの形でまとめ、33年サイトに掲載させて頂きたいと思います。

その節はぜひよろしくお願い申し上げます。

本当に有難うございました。重ねて厚く御礼申し上げます。

2016年8月4日 10:21

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