P戸松孝夫「Q坂本兄『ケント・ギルバートの明治維新の捉え方』を読んで

2018.8.16

僕はケント・ギルバートの本はこれまで一切読んだことがなく、時々TVのワイド番組で姿を観る程度で、彼の人物像は「学があるタレント」程度であった。しかし今回紹介された彼の著書のサワリを読んで、次の点から彼のイメージが大きく変わってきた。

①日本の歴史をよく研究している真面目な勉強家である

ⅹ 安定した政権が260年も続いていたのが明治維新成功の背景。

ⅹ 19世紀の段階で近代化が進められていた非西欧国家は日本しか存在しない。

②世界の王室事情にもよく通じている

ⅹ 日本の皇室は「神の子孫」であり代替不可だが、英国王室は連続していない。

x 神と人々を結びつける接点として存在するという点では、ローマ法王は日本の皇室に共通しているが、カトリックが酷く腐敗していたのは歴史的事実。

③天皇制の実態もよく判っているようで、これを好意的にみている

x 権力者ではなく、八百万の神々と人々をつなぐ存在であり、贅沢したり、暴力や権力で人々を屈服させたりするわけでもなく、その暮らしぶりは質素である。

x 日本の皇室には、「売国奴」的な腐敗がない。

x 何か一大事が起きて国がひどい状況に陥っても、天皇が出てくるだけで全てが丸く収まるという、「最後の安全装置」になっている。

x 天皇制を大きく変えると日本に生きる人々の「心の芯」のようなものが消え去る。

本文では日本に対するケント・ギルバートの批判的な見方は紹介されていないが、 「世界に誇れる明治維新の精神」 全文を読めば耳に痛いコメントも少なからず出てくるのではなかろうか。

以上

Q坂本幸雄「ケント・ギルバートの明治維新の捉え方」…2018.8.14

カウンター