「日本のものづくり企業の惨状」(Q坂本幸雄) 同返信(P上原利夫)

「まっとう性監査」…R上原利夫 2017.11.16

①「日本のものづくり企業の惨状」Q坂本幸雄 2017.11.22 6:14

<はじめに>

・先般R組の上原利夫さんと大阪で久しぶりに会食し、様々な話に花が咲き、楽しいひと時を過ごしました。如水会報で、上原さんが“如水会:監査役懇話会のミミの会”で今なお監査論の講演をされておられることも存じていましたので、上原さんのそのご健闘ぶりに頭が下がる思いが致しました。小生もその熱心さにほだされ、久しぶりに昔日の監査役時代のことなどをも想起し、「朋有り、遠方より来たる。また楽しからずや!」の心境に浸ることができました。上原さんに感謝します。

・そういえば、「ミミの会」という会の名称も、平成10年代半ば過ぎ、われわれ33年卒の監査役が増え、その同期監査役で集まった折に、「監査役は耳で人の話をよく聴くのが基本だ」という小生の発言と33年卒の“33”から「ミミの会」という名称になったことも思い出しました。

・最近、上原さんがわれわれ二人の大阪でのことを「33PQネット」へ「まっとう性監査」というタイトルで投稿され、その中で小生の「まっとう性監査」のことにも触れて戴きました。

・たまたま本日(11月21日)の日経に標記タイトルの記事が出ました。小生は、その記事に触発され、監査役時代を振り返って、それについて下記の感想を書きました。そのなかで小生が志向していた「まっとう性監査」についても若干触れましたので、その感想を「33QPネット」に投稿し、上原さんの上記投稿に対する小生の返信ともさせていただきます。

<H29.11.21の日経「大機小機」:「日本のものづくり企業の惨状」の要旨>

・会社のため、業績のためならルールを破っても構わない。最近の日産自動車、神戸製鋼所の不祥事で思うのは、そんな意識がいまなお一部企業にはびこっているかのような“ものづくり企業”の慘状である。これらに共通する問題は、メーカーにとって一番大切な「現場」が冷たく扱われていることであろう。更に聞こえてくる情報によると、あろうことか、正規の検査員を確保・養成するという試験に於いて、その受験者に試験の問題と解答を配ったり、教材を見ながら受験させたりしていたとの事例もあるとのことである。人手不足とはいえ、全く“ゆるゆるの経営姿勢”である。

・自分たちのつくっている製品、行なっている作業が大切なものであるという誇りをなくして現場から安全な製品が生まれるはずもない。今までにも株主総会などで総会屋を必要悪と考えて総会屋を利用していた企業が、その後どんな経緯を辿ったか、私たちは嫌というほど見てきた。

感想:

・上記記事で感じることは、それら企業の経営トップが陥っている「現場軽視の経営姿勢」であります。それに対比して思い出すのが、小生が勤務し、最後の数年間監査役を勤めた、サントリーの会長:故佐治敬三氏の「現場主義」という経営姿勢であります。現場の現状を的確に把握することも自分の重要な経営判断の基本の一つであるとの、佐治サンの“まっとうな考え方”であります。

・そこで小生が当時監査役として実施したのは「まっとう性監査」という独自の監査手法であります。それは、一般に公正・妥当な監査基準として

商法に規定されている「適法性」と「妥当性」という二つの監査基準よりももっと幅広い概念から監査対象組織の職務執行の状況を評価しようとの考え方であります。

・監査に於いて「まっとうであるかどうか」という基準は、やや曖昧な概念ではありますが、その中には、その時点での社会的状況、一般的なものの考え方は言うに及ず、当該組織の職務執行の状況が、その組織が置かれた状況や当然に具備すべき機能に照らして適正・妥当なものであるかどうかなどというかなり幅広い概念であります。小生は自らの監査活動はそんな幅広い概念からの監査であるべきとの考え方に基づき、それを自らの監査活動の基準にしていたのであります。その上、小生はそのような考え方に基づく監査の実施結果については、毎回必ず最低でもA4で15p程度の監査レポートに纏め、佐治会長に提出していました。それは、言うまでもなく、自らの監査の結果は、当然に会長ご自身の現場組織についての職務執行状況の判断にも資するべき、との考え方に基づくものであります。もしも、当該組織に組織運営上何らかの問題があるとすれば、それは、当然に経営トップ自らが対処すべき問題であるからであります。

・上記日経記事が指摘している問題点とは、何よりも「ものづくりの現場状況」を経営トップ自らが軽視していたという点であります。以上の論旨は言うまでもなく、以上二つの状況の対比からの感想であります。

・なお、小生のこの「まっとう性監査」については、H14年の日本監査役協会主催の年一回の「全国監査役大会」で、同協会の要請に基づき多くの企業の監査役約500名を前にしてその考え方や実施状況を報告し、更に69歳で入学した阪大大学院の修士論文でもそれをアウフヘーベンしたのであります。

(坂本幸雄 H29.11.21記)

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② 坂本さん 上原です。 2017.11.22 10:31

会社の最高責任者が自社の実情を知らない現実がある、

それを怠慢と自覚していない社会は由々しいことです。

相談役・顧問として社外活動をしている人でも、問題

ありの人は多いと思います。来年の株主総会はこの種

の質問で相談役・顧問が説明を要請されることでしょう。

団塊の世代以降のOBが株主として総会で質問するのでは?

村上ファンド系株主が筆頭といわれる東芝は見ものです。

2017.11.22 10:31

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