一橋大学の他大学との競技のうち、野外のものは殆んど要請あれば、応援部が馳せ参じる。たとえ弱くとも。それは10以上の競技において行われている。エールの交換はまことに厳粛な儀式というべきもので、起立脱帽して相手と離れていても向かい合う。
この時、当校はフレー・フレー。イッキョウと言っていた。これは本名ではない。堂々と本名を名乗るべきである。これでは池袋にある他大学と必ず間違えられるといってよい。(如水会々報28年6月号 橋畔随想ご参照)
60年来続けてきた”イッキョウ”が、本年一橋祭11月25日の応援部演武、校歌斉唱を前に、主将乾秀斗君より、今年のエールより”ひとつばし”を採用しますと説明があり、実際に部員全員により、「フレー・フレーひとつばし」が高らかに叫ばれた。よく聞いていると、「ひとっつばし」と言っているようだった。
私が第2代主将として要請し続けたものが実現したのである。私の喜びを分かってほしい。考えてみると、イッキョウは昭和24年以来いろいろのところで使われている。安易といいたいが長過ぎて音読みして、その侭どんどん広がっていった。応援部を見ても、チアのコスチュームに”IKKYO"が3種類もあり、”HITOTSUBASHI"では長すぎて読み取りにくく1種類だけ、応援中も「頑張れ頑張れイッキョウ」となってしまっている。だからこそ、エールの時だけは、これが実は本名なのですよ、と「ひとつばし」を示し、高らかに叫ばなくてはならないのだ。これからは最初エール交換の前に、ひとつばしと変えましたよ、と断ることになる。我々は一ッ橋出身こそ誇りなのだ。乾君有難う。私の肩の荷を下ろしてくれて。(了)