この山は鹿島槍と並んで深田が好きだった山で、冒頭でそのことを述べ、その理由は景観にあることを最初の1ページをかけて説明する:「単純なピラミッドでもなければ鈍重なマッスでもない・・・・スッキリとして品がある・・・ゆったりとしたスカイラインを引いている(これは文庫本の写真が見事に示している)・・・みごとなアクセントがついている・・・・アクセントとはその山頂部にある三つのカールである・・・」。「いかに地形学に弱い人でも納得できるような典型的なカール・・・・なるほどこれが圏谷というものか・・・と分明に認識するであろう」というくだりは、私が2004年に仙丈岳に登った時は周囲が霧に閉ざされていて認識できなかったが、この三つのカールは甲斐駒から、北岳から、何度も眺めて記憶に刻み込まれている。
深田は次に名前の由来に触れ、歴史を遡り、一番古い記録、明治42年(1909年)の河田黙氏の登山記を紹介し、そのとき頂上に「前岳三柱大神、明岳大神、国常立尊(くにのとこたちのみこと)、国狭槌尊(くにのさづちのみこと)と彫りつけた三つの石が建ててあった」とあり、長野の市野瀬から西尾根を登る古くからの登拝者があったに違いないと語る。
一方、深田の頃にはもう戸台までバスが入っていて、深田は奥さんを連れて北沢峠の張衛小屋から仙丈岳に登っている。そして「近い将来に野呂川と戸台川を結ぶ産業道路が開通する」というのは実現しており、長野と山梨の両方からバスで北沢峠に入ることができるから、「南アルプスの中で一番取付き易い山」というのは今も変わらない。
私は2004年に戸台からバスで北沢峠まで行って登ったが、この山は私にとって初めての3,000m峰だった:「頂上標識にはクロユリの絵。そして大きな三角点。私にとって初めての3,000m峰到達。風下に陣取り、食事の準備をしながらビールで祝う。帰り道の途中、細尾根の先にライチョウが三羽歩いているのに出会う。かなり近くだが逃げない。ライチョウを見たのはこれが初めてだったと思う。鳴きながら歩き回る姿から目が離せなかった。」
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この山は鹿島槍と並んで深田が好きだった山で、冒頭でそのことを述べ、その理由は景観にあることを最初の1ページをかけて説明する:「単純なピラミッドでもなければ鈍重なマッスでもない・・・・スッキリとして品がある・・・ゆったりとしたスカイラインを引いている(これは文庫本の写真が見事に示している)・・・みごとなアクセントがついている・・・・アクセントとはその山頂部にある三つのカールである・・・」。「いかに地形学に弱い人でも納得できるような典型的なカール・・・・なるほどこれが圏谷というものか・・・と分明に認識するであろう」というくだりは、私が2004年に仙丈岳に登った時は周囲が霧に閉ざされていて認識できなかったが、この三つのカールは甲斐駒から、北岳から、何度も眺めて記憶に刻み込まれている。
深田は次に名前の由来に触れ、歴史を遡り、一番古い記録、明治42年(1909年)の河田黙氏の登山記を紹介し、そのとき頂上に「前岳三柱大神、明岳大神、国常立尊(くにのとこたちのみこと)、国狭槌尊(くにのさづちのみこと)と彫りつけた三つの石が建ててあった」とあり、長野の市野瀬から西尾根を登る古くからの登拝者があったに違いないと語る。
一方、深田の頃にはもう戸台までバスが入っていて、深田は奥さんを連れて北沢峠の張衛小屋から仙丈岳に登っている。そして「近い将来に野呂川と戸台川を結ぶ産業道路が開通する」というのは実現しており、長野と山梨の両方からバスで北沢峠に入ることができるから、「南アルプスの中で一番取付き易い山」というのは今も変わらない。
私は2004年に戸台からバスで北沢峠まで行って登ったが、この山は私にとって初めての3,000m峰だった:「頂上標識にはクロユリの絵。そして大きな三角点。私にとって初めての3,000m峰到達。風下に陣取り、食事の準備をしながらビールで祝う。帰り道の途中、細尾根の先にライチョウが三羽歩いているのに出会う。かなり近くだが逃げない。ライチョウを見たのはこれが初めてだったと思う。鳴きながら歩き回る姿から目が離せなかった。」
p330 遅鈍:(ちどん)動作がおそく頭の働きがにぶいこと。気転がきかないこと
p331 丹後の千丈ヶ岳:大江山(おおえやま)は京都府丹後半島の付け根に位置し与謝野町、福知山市、宮津市にまたがる連山である。標高832m。別称、大枝山・与謝大山・千丈ヶ嶽。