2,500mに満たない、北アルプスでは低いこの山には、二つの「他に見られぬ独自性」があると深田は論ずる。その一つは「日本アルプスを通じて唯一の活火山である」こと、そして二つ目は「小兵の分際で梓川の風景を一変した。その爆発で大正池を作り上げた」こと。
だが、よく考えてみると、釜トンネルという活火山のすぐ脇を通る車道を造り、上高地に人々がバスで入れるようになったからこそ、河童橋や大正池が「アマチュア写真家のカメラから逃れることができ」なくなったのであり、釜トンネルができていなければ、大正池も焼岳も世に知られていなかったかもしれず、深田が日本百名山に選ぶこともなかったかもしれない。
「大きな変貌を起こした焼岳の潜勢力は偉大である」と深田は言うが、釜トンネルを建設した人間の力(地元の大いなる努力があったに違いない)もまた偉大である。バスは上高地に入る前に必ず大正池の前で赤い帝国ホテルの前で停車し、木道の上を(登山者でなく)観光客が歩いている。「近来上高地はいよいよ繁盛して登山地というより観光地となった」と深田は記すが、上高地は単なる観光地ではない。上高地を基地にして山に向かう登山者は膨大となり、今では予約しないと小屋に泊まれない(もしかするとテントも張れない)くらいに登山者が群がるところにも遭遇した。
さて、深田は上高地の「純粋遊覧派」の人たちに「せめて焼岳へでも登れば彼等の上高地遊覧に大きな収穫が加わるだろう。半日で往復できる易しい山である」と紹介する。深田の言うのは中尾峠からの道だが、私は2度とも3月に中ノ湯温泉からスキーで登った。
尾根筋から深い雪渓の谷を登り、噴火口の東側から北峰(たぶん2,430m)に達した。向かいに三角点のある南峰2,456mがあるのだが、このコースからは辿りにくいらしい。雪渓谷に入らずに南尾根を直登すれば南峰に到達できるらしいのだが、私にそのチャンスは訪れるだろうか。
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2,500mに満たない、北アルプスでは低いこの山には、二つの「他に見られぬ独自性」があると深田は論ずる。その一つは「日本アルプスを通じて唯一の活火山である」こと、そして二つ目は「小兵の分際で梓川の風景を一変した。その爆発で大正池を作り上げた」こと。
だが、よく考えてみると、釜トンネルという活火山のすぐ脇を通る車道を造り、上高地に人々がバスで入れるようになったからこそ、河童橋や大正池が「アマチュア写真家のカメラから逃れることができ」なくなったのであり、釜トンネルができていなければ、大正池も焼岳も世に知られていなかったかもしれず、深田が日本百名山に選ぶこともなかったかもしれない。
「大きな変貌を起こした焼岳の潜勢力は偉大である」と深田は言うが、釜トンネルを建設した人間の力(地元の大いなる努力があったに違いない)もまた偉大である。バスは上高地に入る前に必ず大正池の前で赤い帝国ホテルの前で停車し、木道の上を(登山者でなく)観光客が歩いている。「近来上高地はいよいよ繁盛して登山地というより観光地となった」と深田は記すが、上高地は単なる観光地ではない。上高地を基地にして山に向かう登山者は膨大となり、今では予約しないと小屋に泊まれない(もしかするとテントも張れない)くらいに登山者が群がるところにも遭遇した。
さて、深田は上高地の「純粋遊覧派」の人たちに「せめて焼岳へでも登れば彼等の上高地遊覧に大きな収穫が加わるだろう。半日で往復できる易しい山である」と紹介する。深田の言うのは中尾峠からの道だが、私は2度とも3月に中ノ湯温泉からスキーで登った。
尾根筋から深い雪渓の谷を登り、噴火口の東側から北峰(たぶん2,430m)に達した。向かいに三角点のある南峰2,456mがあるのだが、このコースからは辿りにくいらしい。雪渓谷に入らずに南尾根を直登すれば南峰に到達できるらしいのだが、私にそのチャンスは訪れるだろうか。