この章には柳田国男の「遠野物語」の中の女神の三人の娘の話が載っており、「夜半に天から降ってきた霊華を取った末の姫が早池峰を得、姉たちは六角牛山と石上山を得た」というメルヘンチックな話が私の記憶に残り、さっそく三つの山に登った。
深田は早池峰の姿を姫神山から見て「長い頂稜を持つ重厚な山の姿」と書いているが、私はそれを青松葉山から見た。東北道から見ると遠く鋭角に見える早池峰は、南北方向から見ると東西に長い稜線を伸ばした山であり、それは現在の登山口の小田越から見てもよく分かる。
深田の頃は小田越まで車道が通じておらず、その手前の岳集落から歩き、もう一つの登山口河原ノ坊から登っていて、「一途の急な登りであった・・・・岩石地帯にさしかかる。巨石がゴロゴロ転がっていて、・・・・・呉座走岩だの打石だのという名がついている」というのは私が初めて登ろうとして途中で引き返した道である(数年後にリベンジ)。
「ハヤチネウスユキソウをあちこちに見出した・・・・大振りで・・・・早池峰の特産である」というのも何度も見て、感動した。
深田は冒頭で「早池峰は・・・・案外世に知られていないのは僻遠の地にあるためだろう」と書いているが、早池峰は今や「花の百名山」として登山者が殺到する山になっていて、シーズン中は岳集落のゲートから先はマイカー規制されている。私が数年前に登った時は(ゲートが閉じる)夜明け前に河原ノ坊の駐車場に入り、早池峰と薬師岳に登り、駐車場のゲートが開くまで待って車を出したが、早池峰から小田越登山口に下ると、岳集落からバスでやってきた数百人を下らない登山者がぞくぞくと登ってきて驚いた。
深田は宮沢賢治の川原ノ坊の詩を載せているが、河原ノ坊から小田越の途中には別の宮沢賢治の詩碑がある。「鳥がしきりに啼いてゐる もう登らう」のときも「巨きな菓子の塔を攀ぢよう」のときも、宮沢はきっと早池峰に登ったのだろう。
「おお青く展がるイーハトーボの子供たち グリムやアンデルセンを読んでしまったら じぶんでがまのはむばきを編み 經木の白い帽子を買って この底なしの蒼い空気の渕に立つ 巨きな菓子の塔を攀ぢよう」
HHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH
この章には柳田国男の「遠野物語」の中の女神の三人の娘の話が載っており、「夜半に天から降ってきた霊華を取った末の姫が早池峰を得、姉たちは六角牛山と石上山を得た」というメルヘンチックな話が私の記憶に残り、さっそく三つの山に登った。
深田は早池峰の姿を姫神山から見て「長い頂稜を持つ重厚な山の姿」と書いているが、私はそれを青松葉山から見た。東北道から見ると遠く鋭角に見える早池峰は、南北方向から見ると東西に長い稜線を伸ばした山であり、それは現在の登山口の小田越から見てもよく分かる。
深田の頃は小田越まで車道が通じておらず、その手前の岳集落から歩き、もう一つの登山口河原ノ坊から登っていて、「一途の急な登りであった・・・・岩石地帯にさしかかる。巨石がゴロゴロ転がっていて、・・・・・呉座走岩だの打石だのという名がついている」というのは私が初めて登ろうとして途中で引き返した道である(数年後にリベンジ)。「ハヤチネウスユキソウをあちこちに見出した・・・・大振りで・・・・早池峰の特産である」というのも何度も見て、感動した。
深田は冒頭で「早池峰は・・・・案外世に知られていないのは僻遠の地にあるためだろう」と書いているが、早池峰は今や「花の百名山」として登山者が殺到する山になっていて、シーズン中は岳集落のゲートから先はマイカー規制されている。私が数年前に登った時は(ゲートが閉じる)夜明け前に河原ノ坊の駐車場に入り、早池峰と薬師岳に登り、駐車場のゲートが開くまで待って車を出したが、早池峰から小田越登山口に下ると、岳集落からバスでやってきた数百人を下らない登山者がぞくぞくと登ってきて驚いた。
深田は宮沢賢治の川原ノ坊の詩を載せているが、河原ノ坊から小田越の途中には別の宮沢賢治の詩碑がある。「鳥がしきりに啼いてゐる もう登らう」のときも「巨きな菓子の塔を攀ぢよう」のときも、宮沢はきっと早池峰に登ったのだろう。
「おお青く展がるイーハトーボの子供たち グリムやアンデルセンを読んでしまったら じぶんでがまのはむばきを編み 經木の白い帽子を買って この底なしの蒼い空気の渕に立つ 巨きな菓子の塔を攀ぢよう」
縦走路から振り返り見る早池峰:小田越から見た巨大な姿の背中は岩場と灌木のハードな世界。雄大、剛健、優美なことは変わらない。
北(青松葉山)から見る早池峰:急坂を青松葉山に向かって登っていくと、背後に早池峰が見えてきた。青空の下に剣ヶ峰から鶏頭山まで、早池峰の全景が広がっている。雄大、剛健、しかも優美。目が離せない
南(男火山)から見る早池峰:牧場まで上がると早池峰の姿が大きくなり、東西に伸びる長大な稜線が見えてくる。その上に鶏頭山、中岳、早池峰頂上、剣ヶ峰が並ぶ。周囲の諸峰の上に立つ、北上山地の主峰の壮観な眺め。
一等三角点の先の岩場の中央の祠に小さな頂上標識。そのまわりにたくさんの宝剣。歴史と信仰が感じられる頂上
そして分厚い白い綿毛のハヤチネウスユキソウ。ゴージャスなたたずまい。
經木:きょう‐ぎ〔キヤウ‐〕【経木】 1 杉 ・ 檜 ひのき などの木材を紙のように薄く削ったもの