9/30 【海外サイエンス・実況中継】アリゾナ大学大学院生私生活記事

Post date: Sep 29, 2012 10:5:32 PM

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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』

_/ Sep 2012, Vol. 51, No. 2

_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/

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メルマガ編集担当ブラウン大学石井です。今回はメルマガ担当でアリゾナ大学

に在籍されている鈴木さんに大学院私生活記事を書いていただきました。

お楽しみください。

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<大学院生私生活>

アリゾナ州ツーソンにあるアリゾナ大学進化生態学のPhD過程の学生で、

ハツカネズミの環境適応を研究している鈴木太一です。ツーソンは

大学を中心として発展した田舎町で、Masterの期間を含めると3年間

ツーソンで生活しています。今回は情報を得にくい、留学生の衣食住、

研究生活、娯楽、お金事情などちょっとリアルな海外院生生活を

ご紹介したいと思います。

衣:Life Science系の教授や大学院生は、一般的に衣服にあまり関心が

ありません。教授でも基本半袖短パンにサンダルだったりします。

医学系の方々はビシッとスーツですが。卒論発表会用などにスーツを

一着日本から持ってくれば、モールなどで普段着はどうにでもなります。

食:アリゾナは特に日本人が少ないのでおいしい日本食は期待できません。

ツーソンはメキシコ料理が中心です。ツーソンの物価は日本よりも安い

です。ある程度の自炊能力があれば、アジアンマーケットを駆使して、

低下価格でおいしい日本食を食べることができます。月々の食費は人

それぞれですが、自炊すれば月に$200-300で生活できます。ちなみに

日本の大学のような低価格でバランスの良い学食はなく、大学内の食堂

はほぼジャンクフードです。留学前に料理の腕を磨いておいてもいいか

もしれません。

住:大学院生は基本複数(1~3人)の生徒とルームシェアするのが

一般的です。家賃の価格は、大学の寮が一番高く、大学近辺の物件が

次に高く、大学を離れるにつれて安くなります。平均して月々の家賃は

$400程度。インターネット、光熱費を入れても、$450-500が相場です。

留学前にいい物件を探すのは難しいので、受け入れ先の研究室の大学院生に

アドバイスをもらうか、短期間泊まれる場所を確保して現地についてから

友達を集めて住む場所を決めるというのが利巧でしょう(アパートの

契約は主に1年契約なので)。

研:研究分野、学科、研究室によって研究生活は異なりますが、アメリカ人は

8時半出勤、5時帰宅が基本です。金曜日は早めに帰り、土日はあまり人を

見かけません。研究室の仲間でお酒を飲みながら研究室に入り浸ると

いったことはほとんどありません。子供を仕事場やパーティーに連れて

きたり、プライベートを大切にします。また必ずしも夜遅くまで働いて

いる学生がSuccessful というわけではなく、タイムマネージメントが

重要なようです。

娯:ツーソンを知る人は娯楽がないと言いますが、アウトドア派であれば、

ツーソンはハイキング、サイクリング、ロッククライミングで有名です。

お酒が好きならバーやクラブでストレス発散、学部生は基本毎週パーティー

をしています。もちろん娯楽がないとやっていけませんが、大学院留学の

目的が専門性を極めることなら、娯楽が少ない砂漠の真ん中は悪い環境では

ありません。

金:州立大学であるアリゾナ大学は、州外の学生(留学生を含む)に対する

学費が高いです。一学期約$10,000-12,000。研究費は教授に頼るか、自分で

学外の助成金を獲得します。日本に比べ助成金制度は充実していますが、

膨大な学費、生活費までカバーしてくれる助成金は少ないです。それぞれの

学科でTA (Teaching Assistance)やRA (Research Assistance)の枠を持って

いて、学費全額と給料を支給してくれる制度も存在します。ちなみにうちの

学科のTAの給料は約$1400/月程度で、普通に生活していける額です。

基本TAをやりながら、学外の助成金に出願するというのが一般的です。

夏休みと冬休みの生活費は他のソースを探す必要がありますが。

少しでも役に立つ情報はあったでしょうか。あくまでも自分の体験に基づく

一つの具体例で、 異なる州、大学、学科、研究室などによってもちろん

事情は異なります。一般的に言える日本とアメリカの大学院生生活の一番の

違いは、TAなどの制度を使い、生活費をもらいながら好きな勉強をすること

ができるという所だと思います。贅沢な生活は期待できませんが、異文化を

楽しめる余裕さえあれば、好きなことを好きなだけ勉強できる生活が待って

います。

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執筆者自己紹介

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鈴木 太一

2009年 日本大学生物資源科学部動物資源科学科 卒業

2011年 The University of Arizona, Ecology and Evolutionary Biology, Masters

2011年-現在 The University of Arizona, Ecology and Evolutionary Biology, PhD student

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執筆後記

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来週から、ユタ州、モンタナ州、カナダと車で2ヶ月間キャンプをしながら、

ハツカネズミを捕まえる調査に出かけてきました。見たこともないフィールドで、

見たこともない生き物に遭遇できる楽しさも留学生ならではの特権かもしれません。

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