【海外サイエンス・実況中継・特別号】 大学院留学:新しい分野を開拓しに留学へ、憧れた利根川進博士と同じ境遇に
Post date: Jan 09, 2012 5:31:17 PM
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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
_/ December 2007 Vol 23 No 2
_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/
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★★★お知らせ★★★
2007年メールマガジン大賞「教育・研究部門」にノミネートされました
よろしければ、本メルマガの投票をよろしくお願いいたします!
(投票してくださった方には抽選で「まぐまぐ」からのプレゼントが
当たります)
http://www.mag2.com/events/mag2year/2007/
マガジンタイトル「 海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継」
マガジンID:0000220966
★★★★★★★★★★
今週は、なぜアメリカの大学院を選んだか、の特別号をお送りします。先週、
「バイオインフォマティクス」について紹介された小葦さん。ユニークな
パーソナリティを持つ彼が、なぜこのような道を歩んだのか。早くから留学へ
の芽が出ていたようです。先週の分野紹介に登場していた「たいじ君(5歳)」
と「利根河原進博士」がなぜ出てきたのか、その背景が分かると思います。
(杉井)
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なぜ日本でなくアメリカの大学院を選んだのか?
小葦 泰治
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つい先日このメールマガジンの発行責任者の杉井さんが、このように
http://www.kagakusha.net/modules/weblog/details.php?blog_id=57
統計を取られているようなので、それに準じる形で、
まず前半で、私もそれぞれの項目で理由を挙げさせていただきました。
さらに後半では、私が米国理系大学院の Ph.D. プログラム (博士課程)
に進むことになった経緯を、子供のころから振り返って記述させて
いただきました。
●前半
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* アメリカの院を選んだ理由*
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- 将来、できれば米国で教授職に就きたいから
- 英語力を高めたかった
- 独立した研究者になるための教育 (研究費申請など)が充実している
- 授業料免除、生活費をもらえる
- 専攻・研究分野を変える、または幅広い学際領域を選びたかった
- 自分が希望する研究分野で、アメリカがもっとも進んでいた
- 基礎から学べて充実したコースワーク
- 世界中から学生、教授が集まるのが魅力
- アメリカの文化や海外での生活にあこがれがあった
- 大学から大学院へと、人材の流動性がある
- 大学教授たちが若い研究者にも対等の目線で話をしていた
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* アメリカの院に行って良かったこと *
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- 大学教授たちが若い研究者にも対等の目線で話をしていたこと
- 英語で発表・議論することが苦でなくなった
- 異なる分野の研究者との交流の機会が多い
- 研究費申請のしくみを学んだり、トレーニングできる場がある
- 世界の一流の科学者と研究できるチャンスが多い
- より多くの分野に網羅的に、優秀な教授がたくさんいる
- 授業料免除、生活費をもらえた
- 充実したハードな授業を通じて、幅広い分野での基礎力が身に付いた
- 世界中からの様々なバックグラウンドを持つ留学生、教授と仲良くなれた
- 日本の良さ、問題点も見えるようになった
- 英語を通じて国際性を養うことができた
- 発表や議論する機会が多く、プレゼン・ディスカッション能力が鍛えられる
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* 日本の院に行くメリット *
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- 途中でクビになる可能性が低い
- コースワークに時間を取られず、比較的マイペースに研究を進めることができる
- 日本での就職に有利
- 良いボス・研究室に恵まれれば、良い研究者に十分なれる
- 研究のレベル、教育の質も十分に高いと思われるところもある
- 英語のプレゼン・ディスカッション能力が成功するサイエンティストの本質ではない
●後半
新しいサイエンスに強いのは、日本ではなくて、やっぱりアメリカ?
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* 英語の勉強を始めたきっかけ *
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英語を習い始めたのは、実は幼稚園に通っているとき (4,5歳のとき)でした。
このように書いてしまうと、やっぱりエリート(?)になるお子様は、子供の
ときから違うのね。。。ハァ?となってしまいそうですが、ちょっと待って
ください!
そもそもの始まりは、幼稚園の放課後に、なにやらただでおやつをくれる
アメリカ人のおじさんがいるらしい!?というのが、園内でうわさになって
いて、初めて行ってみたら、実はそれが幼児用英語教室だった。それだけ
なんです。
おかげさまで、その後小学館の英語教室に通うなど (特に中学校の英語教育
がよかった)、常に英語に興味を持って学び続け、英語が得意科目になり、
欧米人になんの違和感も感じないようになったことが、今振り返ればとても
大きかったように思います。
やはり子供のころからの慣れみたいなものは、とても大事なんでしょねぇ~
"三つ子の魂百まで"とはよく言ったもので、そういうのは確かにあるなぁ~
と実感している次第です。
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* サイエンスへのいざない *
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一言でいうと、伝記恐るべし!
エジソンさん、野口英世さんの伝記、これは大きかったと思います!
今も同じようなものがあるみたいですね。(笑)
例えばこういうの、、、
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(おもしろくてやくにたつ子どもの伝記1) 文:浜野卓也 ポプラ社
みなさんは野口英世を知っていますか?さいきんの研究をしていたお医者
さんです。
どうしてお医者さんになったのでしょうか。
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当時、同じシリーズで様々な方が取り上げられていて、
他にベーブルース、ナイチンゲール、ファーブル、ヘレンケラーなども
読んで子供ながらにたいへん感銘を受けたのを、今でも鮮明に覚えています。
たぶんこの頃 (6歳)ぐらいから、サイエンス(特に医学分野)に興味を持ち
始め、将来は、エジソンさんや野口英世さんのような発明家または、科学者
になりたいと思い始めたと記憶しています。
で、ただいま私は、野口英世さんが、1904~1918まで研究されていたニュー
ヨーク・マンハッタンにて、自分も研究*に取り組むことができて、とても
幸せです。
ちなみに、エジソンさんは長年、お隣の州、ニュージャージ州で研究されていました。
*: 現在の私の専門は、バイオ、IT、ナノテクを融合した、情報生物学または
バイオインフォマティクスという分野で、研究においては米国が諸外国に
先行しています。
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* ノーベル賞の存在を知る *
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9歳のときに、利根川進博士 (マサチューセッツ工科大学教授)が
"抗体の多様性生成の遺伝的原理の解明"で、ノーベル医学生理学賞
を受賞されました。これは今でもかなり鮮明に覚えています。
実は、このとき初めて、科学技術の研究開発において、世の中に
とって最も重要でかつ大きな功績を修めた科学者、技術者を
毎年、物理、化学、医学生理学分野に分けて表彰される
ノーベル賞というものがあるということを知りました。
で、このとき以来、自分は将来科学者になって、世の中の諸問題の
真相解明と解決を行うことで、社会に貢献し、その延長線上として
ノーベル賞を目指していきたい!と思うようになっていました。
そしてこのときに、利根川先生が米国大学院の Ph.D.プログラム
(博士課程)に進学されて、その後の研究者人生にとって大きな
プラスであったことも伝え聞きました。(これが僕の潜在意識の中に、
刻まれていたのかなぁ~という感じがしています。)
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* 日本から世界へ *
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このような少年時代を過ごしたわけですが、うちの両親は、自分の
子供には受験戦争のようなものに巻き込まれては、かわいそうだ
という、とても優しい思いがあり、中高大学一貫教育、いわゆる
エスカレーター式の私立へ進学しました。
が、高校から大学へ進学する際、1つとっても大きくかつ重要で、
少し大げさですが、その後の人生を左右しかねない問題に気付きました。
「この大学、医学生物関係の勉強できる学部ないやん!」って。
というのもあって、内部推薦を蹴って、大学受験をすることに!
もちろん医学生物関係で。
そしてついに、これまた大げさですが、ある決定的な衝撃の瞬間を迎えます。
それはセンター試験の2週間前のセンター試験直前模試の昼休みのこと。
いつも通り、期間限定グラタンコロッケバーガーを食べながら、
友達と将来について語りあっていたそのとき、大親友の塩谷くん
(このメルマガ読んでたら、よかったら連絡くださいね~)が、衝撃の一言!
"みんな日本人は、東大、京大いうけど、世界には M.I.T.(マサチューセッツ
工科大学)とか遥かにすごいレベルの大学が山ほどある!"
この瞬間、おい!なんでそれをもっと早よ言わへんねん!
と思ったと同時に、し、しまった。。。自分は世界でなく、日本に
して目が向いていなかったと、、、
これは私にとってメガトン級にインパクトがあり、後の人生設計を大きく
変えることになる、最も大きなものとなりました。
そしてそれが、このときまで忘れかけていた、
利根川進博士 (マサチューセッツ工科大学教授)、ノーベル賞の存在、
米国留学について思い出させてくれたのでした。。。感謝
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* 米国理系大学院進学へ *
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とはいえ、センター試験まであと2週間しかなかったので、いきなり
米国の大学を目指すほど時間の余裕がなく、大学は日本で、そして
研究者としての基盤を作る大学院のときに、念願だった米国留学を
目指すことになりました。
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* 歴史は繰り返す? *
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私が米国理系大学院へ留学しようとしていた際に、
その昔、若き利根川進先生を米国大学院へ送り込まれた、渡辺格先生の
お弟子さんにあたる、松原謙一先生との巡り合わせ*は、たいへん
幸運に恵まれたものであり、かつとても運命的なものでした。
というのも、
渡辺先生は、当時新しく立ち上がった分子生物学という分野で利根川先生を、
松原先生は、新しい分野として誕生した情報生物学 (バイオインフォマティ
クス)という分野で、私を米国留学するためにサポートしてくださったから
です。
日本という国は、科学技術、理系分野にたいへん強い国であることは
間違いありません。でも、新規に分野を立ち上げる、あるいは
新しい分野を軌道に乗せるという点においては、まだまだ欧米諸国
に遅れをとっているような気がしています。
そこで私は、当時日本ではあまり盛んでなかった、学際領域的な研究分野
である情報生物学 (バイオインフォマティクス)では、教育プログラムが
しっかりと確立されていて、それに関連した研究をコミュ二ティーと
して取り組まれている研究機関で、将来本分野で活躍していくための
基礎作りを行うと決めて、米国へ留学し、現在に至っています。
* 情報生物学適塾のことを指しています。
詳しくはこちらの塾長の松原先生ご自身による説明をご覧いただければ幸い
です。
http://www.kippo.or.jp/business/science/interview/index.htm
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自己紹介
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小葦 泰治 (おあし たいじ)
2001年 関西大学工学部生物工学科卒業。京都大学大学院生命科学研究科
にて、半年ほど日本の大学院生活を経験したのち、2001年8月より、
Mount Sinai School of Medicine of New York University の
計算機生物物理分野の Ph.D. Program に進学。
もうすぐ Ph.D. (博士号)を取得の見込み。Ph.D.取得後は、博士研究員
などとしてさらに実績を積んで、将来は立派な教授となり、この分野を
引っ張っていくことが目標。情報生物学適塾(塾長: 松原謙一先生、
国際高等研究所にて2001年開催)の最年少参加メンバー。
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編集後記
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というわけで、先週、今週と2週に渡ってエッセイを執筆させていただき
ました。少しでも読者のみなさまのお役に立てる内容があったならば、
これほど嬉しいことはありません。
なお、このメールマガジン以外にも、Kagakushaネットワークでは、
NY生活プレス社発行の週刊NY生活にて、私の留学ライフ イン USAと
いう形で、記事にしていただいています。
2007年度: 3/24号(小葦)、5/19号(横山さん)、7/21号(嶋さん)、
9/15号(牧野さん)、11/17号(山本さん)、2008年1/19号(今村さん)
こちらから、http://home.nyseikatsu.com/
オンラインでも無料で購読可能です。
さらに、羊土社発行の実験医学のこちらの連載企画
http://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/management.html
2007年度6月号にも、情報提供させていただいているとともに、
Kagakusha ネットワークのホームページも紹介していただいています。
この場をお借りして、様々なご支援に対する御礼申し上げます。
最後になりましたが、もしよろしければ、こちらの
http://www.mag2.com/events/mag2year/2007/
下の方にある総合大賞のところでも ...笑
- 海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継
- マガジンID/0000220966
- 感想 (ほんっと簡単な一言でOK!)
- メールアドレス (抽選で、賞品が当たります!)
と、みなさまの1票を投じていただければ、涙を流して
喜びます。どうかご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
m(_ _)m
(小葦)
それまで全く意識していませんでしたが、おかげさまで当マガジンが「まぐ
まぐ2007年メルマガ大賞」の候補にノミネートしていただきました。
発刊後まだ一年にも満たないのですが、選んでいただいてとても感謝して
おります。
http://www.mag2.com/events/mag2year/2007/
もしこのメールマガジンが皆様にとって、「少しでも興味が持てた」「面白い
エッセイがあった」「参考になった」など、何らかのお役に立てましたら、
一票を投じていただければ、うれしく思います。
「教育・研究部門」で、
タイトル「海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継」
マガジンID: 0000220966
です。
何年後、何十年後になっても、語り継がれるような「伝説のメールマガジン」
を目指して、われわれは今後も切磋琢磨していきたいと思っております。
(杉井)
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カガクシャ・ネットワーク http://kagakusha.net/
(上記サイトで無料ユーザー登録後、バックナンバー閲覧可)
発行者: 杉井重紀
メールマガジンの登録と解除: http://www.mag2.com/m/0000220966.html
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