【海外サイエンス実況中継・特別号】大学院留学:日本の大学院入試に失敗してはじめて見えた選択肢

Post date: Jan 09, 2012 5:11:41 PM

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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』

_/ March 2007 Vol 5 No 2

_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/

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今週はなぜアメリカの大学院を選んだか、の特別号です。引き続き、

ロボット工学専攻の山本さんです。

先週もお伝えした通り、山本さんのホームページは、理系の大学院留学に

関する出願準備や留学日記が充実しています。

「THE PATH ~ アメリカ工学系大学院留学記 ―PhDに向かってゴゴゴゴゴ~ルー」

http://www.thepath.jp/

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なぜ日本でなくアメリカの大学院を選んだのか?

山本智徳

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一浪の末入学した憧れの東工大の入学式祝辞で、どなたかが「6ヶ年計画」

と仰っていたのを今でもよく覚えています。つまり、理工系出身の学生と

して社会に出て活躍するためには、最低でも学部4年+修士2年の勉強が必要

であると。入学時、ロボット工学を勉強したいという目標は決めていました

が、具体的な進路は特に考えておらず、学部→修士→就職という理系学生の

典型的なキャリアパスをぼんやりと描いていました。

月日はあっという間に流れ、学部4年の夏。大学全体の修士課程進学率が

約90%という、まさに6年間の学部・修士一貫システムのような環境、仲の

良い友人はみな大学院進学希望だったこともあり、何の疑問も持たずに

そのまま修士に進学しようと考えていました。そして大学院入試を終え、

合格発表の日、私は江ノ島で夏休みを満喫していました。前日夜遅くまで

飲んでいたため、合格発表には間に合いそうもありません。友人に合格確認

を頼んだその十数分後、「・・・番号がないんだけど」という折り返しの

電話。確かに試験の出来は芳しくなかったものの、まさか自分が落ちるとは

考えたこともなく、ぼんやりと思い描いていた「6ヶ年計画」が一気に崩壊。

まさに自分の将来が真っ暗になった瞬間でした。

その後の身の振り方としては、(1)同じ研究室に研究生として残って翌年

大学院を再受験する、(2)その時点から就職活動をする、(3)まだ募集

を受け付けていた他大学院を受験する、という選択肢がありました。既に

大学入試で一度失敗していた私にとって、これは非常に大きな転機でした。

現役の時に失敗した悔しさを忘れ、大学4年間だらだらと過ごした自分への

憤り、そして同じ過ちを繰り返した不甲斐なさで一杯でした。そこで、自ら

の意識を根本的に変える必要性を感じ、(1)のように同じ環境に身を置く

より、(2)や(3)のように環境を大きく変えるべきだと考えました。

そんなある日、ふと立ち寄った本屋で、大学院留学という本が目に留まりま

した。そうだ、何も日本国内だけで考える必要はないんだ。今まで考えたこ

ともなかった選択肢に遭遇した瞬間でした。もちろん同じ失敗を繰り返した

自分が、些細な気持ちから「海外逃亡」を挙げても何の説得力もありません。

しかし、色々な選択肢を吟味しつつ他国の大学院を調べるうちに、海外に

行って一から自分を鍛え直したい、という思いが強くなってきました。

そして不合格の日から1ヵ月後の9月下旬、両親や指導教官に自分の気持ち

を伝え、大学院留学を目指すことを決意しました。

当初はどこの国の大学院を目指すかも決めていませんでしたが、基礎力が

しっかり身についていない私にとって、アメリカの厳しくも評判の良い高等

教育は非常に魅力でした。まさに鍛え直すには理想的な環境ですし、実際に

体験したいま、この選択は正解だったと思います。また研究分野のレベル、

文化的な多様性、将来的な英語の重要性、そして多くの方が挙げていると

思いますが、金銭的なサポートが充実している点を考慮し、最終的にアメ

リカの大学院を目指そうという結論に辿り着きました。欧米の先進諸国では、

(一部の専攻を除いて)大学院生でも十分自活できるというのは一般的です。

博士課程でも多くの学生が授業料を払っている日本は、むしろ「発展途上国」

であるということを、残念ながら多くの方は知らないと思います。

私が日本の学生に一番伝えたいこと、それは選択肢は一つではない、という

ことです。アメリカに来て驚いたことの一つに、予想以上に中国人・インド

人・韓国人が多かったことが挙げられます。確かに日本がトップの研究分野

も多いですし、彼らの国と教育事情は異なるでしょう。しかし、院試前の私

と同様、日本の多くの大学生には、数ある選択肢が見えていないのではない

でしょうか?仮に大学院も学部と同じ学校にしようと決めたとき、国内の他

大学院や海外の大学院も十分に検討してみましたか?なんとなく知らず知ら

ずのうちに選択を狭めていませんか?目標を達成するためには、小学校の

算数テストのように一意の解が存在するのではなく、研究のように様々な

アプローチがあります。同じキャンパスに6年間通って企業に就職、もしく

は学部から博士まで同じ研究室で過ごす以外にも多くの選択肢が存在する

のです。

私の場合、大学院入試に落ちたことでようやくその事実に気付きました。

この失敗のおかげで非常に大きな人生の転換期を経たわけですが、優秀な方

にはこんな経験をせずとも、ぜひ広い視野を持って様々な可能性について考

え、多くのことにチャレンジして欲しいと思います。誰にでもアメリカの

教育システムが合うとは思いませんし、海外留学はあくまで選択肢の一つ

です。しかし、密度の濃い授業やそれに望む積極的な学生の姿勢、授業外の

質問であっても親身になって答える教授、ライティングやプレゼンテーション

能力に長けた学生たち、枠を越えた研究者との交流など、知の探求を楽しむ

上で参考になることは多いと思います。私の体験が、将来の進路を考える

一助になれば幸いです。

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自己紹介

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山本智徳

1998年都立日比谷高校卒業。一浪後、東京工業大学第5類入学。2003年に

東工大制御システム工学科を卒業。今度は院浪生活を経て、2004年9月より

メリーランド州ボルチモアにあるジョンズ・ホプキンス大学機械工学科

博士課程に在籍。

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編集後記

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ひょんなことからアメリカに留学するきっかけを得た私ですが、今年の夏は

交換留学でドイツはミュンヘンに行くことになりました。研究面だけを考え

ると、果たしてこの交換留学がチャンスなのかどうかはわかりませんが、

間もなく3年目を終える私には、まだ比較的時間の余裕があります(通常、

修了までは5~6年です)。せっかく得た機会なので、あちらでの生活も研究

も思う存分満喫して、今後に活かせればと思います。

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