【海外サイエンス実況中継・特別号】大学院留学:「海外赴任の夢」と「化学への目覚め」が融合して実現

Post date: Jan 09, 2012 5:28:4 PM

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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』

_/ October 2007 Vol 20 No 2

_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/

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今回も引き続き、佐々木さんが担当してくれます。先週は、味覚や嗅覚の

化学センサーを開発するという、「分析化学」について紹介してくれました。

今週は、なぜアメリカの院に行くことになったのか、というエッセイです。

佐々木さんは、「なんとなく」海外駐在することを子供のときから夢見てい

て、進路を理系に決めたのも「なんとなく」だそうです。そういった「なん

となく」が「決心」へと変わった過程が興味深いです。

(杉井)

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なぜ日本でなくアメリカの大学院を選んだのか?

佐々木 功

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自分が小さいころ(多分10歳前後)、たまに見た夢が「未来の自分が、日本

の会社(たぶん商社)から海外赴任していて、奥さんや子供たちと広い一軒

家で生活している」というもの。そして、この夢を見るたびに、「将来は海

外で過ごすのだろうな」と子供ながらに漠然と思っていた。しかし、「何で

海外に住みたいの?」という理由は、今でもハッキリしない。

なので、「海外で生活したい」という「憧れ」みたいなものは、動機はハッ

キリしないが、このころからあった。ただ、「商社マン」と書いたように、

当時は「海外で研究をしたい」とはまったく考えていなかった。当然、受験

を意識するまでは、「文系」の道を進むものだと思っていた。

ただ、いざ進学のための模擬試験を受けると、まったく国語ができない。

自分ではかなり勉強したつもりだが、高校、大学受験と、国語に対する苦手

意識を克服することができず、理系の道を「なんとなく」進むことになった。

この、「なんとなく」決めた進路希望は、化学とはまったく関係ない理系の

某学科。理由は絵を描いたり、モノを作ったりするのが好きだったから。

当然、「なんとなく」決めた志望学科のために、気合いを入れて受験勉強を

する気が起きず、浪人生活を送ることとなる。

今は化学者だが、現役の時、化学は受験科目として得意ではなかったし、

あまり好きでもなかった。だが、代々木の予備校で化学を教えてくださった

宇野正明先生の授業を受け、化学に対する考えがまったく変わった。先生の

化学に対する情熱が、二十歳前の少年の人生を大きく変えたのだ。

「化学の研究者として人生を送ろう」と決めた、19歳。一生やりたいと思

えることが見つかったので、この浪人が人生の重要な分岐点となった。そし

て、小さいころの海外で生活したいという「憧れ」と「化学者になる」と

いう決意が融合し、「海外で化学の研究をしてみたい」と思うようになった。

ただ、このころは若すぎて、留学のために何から始めていいのか分からな

かったし、わざわざ留学するよりも日本の大学にいたほうが「楽」だったの

で、留学を決意するまでには約10年かかった。もちろん英語も得意ではな

かった。

で、この10年間、大学を卒業し、大学院で修士を修了、そして会社で働い

た。ただ、10年間遊んでいたわけではなく、時間があれば英語の勉強をした

り、駅前留学にも行ったりした。働いたことで貯金もできた。今振り返る

と、この10年間は、決して無駄ではなかったと思う。

他の日本で博士号を取得した人たちに比べれば、私は5年くらい出遅れてい

る。だが、アメリカに来て分かったことは、私みたいに、いったん社会に

出てから大学や大学院に戻ってくる人も珍しくなく、自分より年上や、自分

の父親や、それ以上の年齢の友達もいたりする。

そういったことから、自分がアメリカの大学院にきて、他の生徒との年齢に

よるギャップを感じることは無かった。このほかにも、アメリカの大学(院)

のいいところはいっぱいあるし、逆に日本の大学(院)のいい点もいっぱい

ある。なので、もし「アメリカと日本の大学(院)のどっちがいいの?」と

質問されたら、私は、「自分の信じるほうに進むのが良い」と答えるだろう。

人生に、どちらが正しいという絶対の正解は無い。

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自己紹介

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佐々木 功

1998年東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻修士課程修了。

株式会社キーエンスでの開発に従事後、2001年に渡米。Georgia Institute

of Technology のChemistry and Biochemistry にて2005年に博士課程修了。

2006年3月からMichigan State UniversityのChemistryにてポスドクとし、

ダイアモンドを用いた燃料電池の研究に従事。

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編集後記

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DNAらせん構造発見者のジム・ワトソン博士の、差別発言のニュースが飛び

込んできました。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071019-00000083-san-int

とても残念ですね。私の所属する研究所にも、ワトソン博士がつい3週間前

に来たのですが(私は子が生まれた直後で逃してしまいました..)、そのとき

は全く差し障りのないことしか言っていなかったようです。彼は準備せずに

場当たり的にスピーチをする傾向があるし、そのうえ歯に衣着せぬ発言でも

有名であるので、こういう不幸も起こることがあるのでしょう。

(杉井)

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