10/1【海外サイエンス・実況中継】ミネソタ州立大化学科 PhDプログラム紹介

Post date: Jan 30, 2012 8:28:25 PM

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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』

_/ Oct 2011, Vol. 53, No. 43

_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/

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こんにちは、10月の編集を担当するBrownの木村です。

今月はミネソタ州立大で化学を専攻している関さんから二回に

分けて同大での留学模様を紹介していただきます。

今回はミネソタ州立大での生活とPhDプログラム一般について

寄稿していただきました。

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ミネソタ州立大紹介

関 一

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科学者ネットの皆様、

こんばんは、

ミネソタ州立大化学科博士課程所属の関一と申します。

友人の勧めで一筆書かせて頂くことになりました。

よろしくお願いします。

ミネソタ州はカナダに隣接し、東西ではほぼ中央に位置しています。

それゆえ、夏は蒸し暑く冬は極寒という、いいとこなしの気候と

なっています。特にミネソタの冬はアラスカに次いで厳しいと言われ、

マイナス30度を下回ることもあります。ミネソタ育ちの友人は、

天につばを吐くと氷になって降ってくるぜ、と言っていました・・・。

その冬が理由かは分かりませんが、ここではドイツや

スカンジナビア系の人々が多く住んでいます。自分のアパートの

大家さんは、先祖がフィンランドからこっちに移住してきたと

言っていました。そんなわけで、ミネソタの住人のほとんどは白人で、

癖のない英語を比較的ゆっくり喋ります(もちろん大学周りは

アジア人が半分近くいますが)。

ここミネソタでは、Minnesota-niceという言葉があるほど、

ミネソタの住人は穏やかで親切な人が多いと言われています。

自分も大学1日目、地図を見ながら国際センターを探していると、

通りすがりのおばさんがわざわざ話しかけてくれ、

助けられたのを覚えています。ミネソタで育った人たちは、

こうしたミネソタの雰囲気が大好きで、ここに住み続ける人が

多いようです。もちろん治安も他の州に比べて抜群によいと思います。

時間の流れもゆっくりで、ここに来ると、釣りかドライブにハマると

言われます。州内には10000以上の湖があり、北は5大湖の一つ

スペリオル湖に接していて、自然は本当に豊かです。

野球のツインズからご存知の方もいると思いますが、特に

人口の多い2大都市がミネアポリスとセントポール、

それらをまとめてツインシティーズと呼んでいます。

自分の所属するミネソタ州立大は、他にもキャンパスが

いくつかありますが、このツインシティーキャンパスを

メインにしています。

大学の規模はかなり大きく、アカデミックのレベルも各分野でかなり

健闘しています:

http://www.academic.umn.edu/provost/awards/rankings.html

特に医学・薬学系が有名で、他の州からも多くの学生がミネソタ大の

そうした学部に入るために学部生の時から引っ越してきます。

総合大学の強みを生かした専門分野間のコラボレーションも盛んに行われています。

自分の所属する化学科はミネアポリスキャンパスにあります。

自分の年は30人程の学生数で(翌年は60人)、10人前後が留学生でした

(これから留学をする人の参考までに、留学生枠への応募数は400人以上

だったようです。結果的には日本人であることと、推薦状が大きく影響したと思います)。

化学科の学生は基本的には最初の2年間TAとして学生実験あるいはテストの

採点などをして財政援助を受けることになり、残り3年もしくはそれ以上を

RAとして働くことになります。もちろんPIが財政的に厳しい場合は3年目からも

TAをすることになります。

コースワークに関しては、最初の2年で取り切ってしまいます。

自分の場合は、7科目(物理化学・有機合成・構造解析・Advanced有機合成・

物理有機化学・薬学・有機金属化学)に加えてセミナー2つと倫理の授業がありました。

授業の難易度・質は科目や年度によってばらつきがありますが、

授業に出席して普通に勉強していれば問題なくパスできると思います

(もちろんTAとの両立になります)。授業は日本と違い皆真剣で、

教授も生徒の名前と顔を全員覚えているので、インタラクティブな形式になり

非常に楽しいです。

さて、他の大学同様、PhDコースの学生(PhD Candidate)として

認められる為には最初数年の間にPreliminary ExamとOral Examを

クリアしなくてはなりません。Preliminary Examはそれまで自分が

やってきた研究を書き上げるというもので、3人の教授から了承を得ます。

その後今度はOral Examのための準備にかかります。

内容は研究成果の発表(Prelimの口頭発表)とResearch Proposalです。

発表は4人の教授の前で行い、合格すると晴れてPhD Candidateとなります。

うちの学部ではこの際おまけとしてMSがもらえます。

次に、3年目の終にThird-year graduate symposiumなるものがあり、

それまでの研究成果を化学科全員の前でプレゼンします。

一応プライズもあるので、審査員として卒業生を企業から

招いたりします。その後は、研究をひたすらするのみです。

PIが卒業できると判断したら、博士論文を書き、

4人の担当教授の前でプレゼン・ディフェンスという流れになります。

自分は現在、研究ではデータを取る最終段階で、もう少ししたら

博士論文を書き始めようかというところです。

まだ振り返っている場合ではないのですが、思い出してみると、

最初の方はいろいろ大変なことが多かったのですが、それが今では

自分の糧となっているのがはっきりと分かります。

英語の上達に限らず、留学では精神的なタフさや異国の友人など、

かけがえのないものが得られます。

これから留学を目指している皆様、アプライするのは

非常にストレスがかかることだと思いますが、そうした留学で

得られるものをモチベーションに、これからのシーズンを

乗り切ってください!

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