【海外サイエンス実況中継・総集編】「アメリカの理系大学院を選んだ理由」エッセイ集、一年をふりかえる(第3回)

Post date: Jan 30, 2012 7:15:48 PM

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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』

_/ February 2008 Vol 30 No 3

_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/

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前週に引き続き、今回も、「米国大学院留学した理由」エッセイ集総集編を

お送りします。これで最終回です。各エッセイの本文もハイライトを一部

抜粋してあります。リンク先のエッセイを見るには、簡単なユーザー登録

(無料)が必要です。

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【大学院留学:なぜ日本でなくアメリカの大学院を選んだか。】特別号ハイライト

■2007年10月

「海外赴任の夢」と「化学への目覚め」が融合して実現

佐々木 功(ジョージア工科大修了、現ミシガン州立大)

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『「化学の研究者として人生を送ろう」と決めた、19歳。一生やりたいと思

えることが見つかったので、この浪人が人生の重要な分岐点となった。そし

て、小さいころの海外で生活したいという「憧れ」と「化学者になる」と

いう決意が融合し、「海外で化学の研究をしてみたい」と思うようになった。

ただ、このころは若すぎて、留学のために何から始めていいのか分からな

かったし、わざわざ留学するよりも日本の大学にいたほうが「楽」だったの

で、留学を決意するまでには約10年かかった。もちろん英語も得意ではな

かった。』

■11月

「ドッグイヤー」のIT分野におけるアメリカ

嶋 英樹(カーネギーメロン大)

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『ITの世界における時間の流れの速さは、犬が人間の7倍もの早さで成長

するのに匹敵することから、「ドッグイヤー」と例えられています。技術

仕様やソフトウェア新機能など、目まぐるしく環境が変わる中で、常に新し

い変化に対応していかなくてはなりません。英語圏の企業・大学・コミュニ

ティがITの世界をリードする中、英語の最新情報が日本語に翻訳される

まで、のんびり待っているのは致命的なのです。』

Ph.D.所得後、アメリカで企業就職、そしてシリコンバレーで起業

二村 晶子(イリノイ大シカゴ校修了、現InfiniteBio社長)

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『当時、私が留学を決心した1994年、1995年は、日本ではバブルははじけた

ものの、特に景気が悪いという時期ではなかった。その反面アメリカは景気

が悪い時期であった。日本では、まだ「安泰」というような言葉が使われて

いたし、どうしてあえてアメリカへ行くのか、というような雰囲気もあった。

女性が危ないアメリカへ行くのは反対、というような意見を言う人もいたし、

周囲は私の意志をサポートする人が多かったわけではなかった。

(中略)

女性で、研究や仕事の環境に不満を持っている方は、早めにアメリカに出て

きて、自分を鍛えながら、楽しく、やり甲斐を持って仕事をすることをお勧

めする。実力社会のアメリカで自分を鍛えながら、日本の社会にも貢献でき

るような今の仕事は、大変やり甲斐があると私は思っている。』

■12月

新しい分野を開拓しに留学へ、憧れた利根川進博士と同じ境遇に

小葦 泰治(ニューヨーク大マウントサイナイ医科学部)

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『 9歳のときに、利根川進博士 (マサチューセッツ工科大学教授)が

"抗体の多様性生成の遺伝的原理の解明"で、ノーベル医学生理学賞

を受賞されました。これは今でもかなり鮮明に覚えています。

そしてこのときに、利根川先生が米国大学院の Ph.D.プログラム

(博士課程)に進学されて、その後の研究者人生にとって大きな

プラスであったことも伝え聞きました。これが僕の潜在意識の中に、

刻まれていたのかなぁ~という感じがしています。』

獣医になる夢から、船乗りの父から聞いたあこがれの海外へ

中山 由実(ウィスコンシン大マディソン校)

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『勉強したことは自分の研究テーマにかかわることばかりだったので、全体

をしっかり勉強したいと思うようになりました。日本の大学院生は授業など

にはほとんど出ることはなく、一人ひとりで必要なことを勉強していました

が、アメリカの大学院はコースワークがしっかりしており、始めの数年間は

研究もしつつ、勉強を体系だててできるのです。アメリカの大学生、大学院

生は非常に熱心に勉強すること、先生方も大学院生を一人前の研究者として

トレーニングする意識が高いと聞いていたことも、アメリカの大学院で勉強

したいと思った理由のひとつです。』

専攻分野を変えて好きなテーマを選ぶのにもってこいのアメリカ

武田 秀一郎(ペンシルベニア大学修了、現イスラエル)

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『日本の大学制度では、ご存知のように、専攻分野の変更はきわめて困難。

さらに、当時すでに大学2年の終わりぐらいに差しかかっていた私には、

大学を辞めて再び受験しなおすなど、なおさら困難に感じました。・・・

ですが、何しろ機械工学から哲学という、ほとんど180度の進路変更であ

るうえに、哲学を素人感覚で勉強し始めたばかりの私には、そんなことまで

決めるのは不可能に思えました。それに、そもそもそんな風に「はじめに

テーマを絞り込む」のではなく、「少しずつ色々な勉強をしながら、徐々に

自分の分野を絞り込める」ような環境が欲しいと考えていました。そして、

色々調べた末、これら全ての問題を一気に解決できるのが「アメリカの大学

院に行く」ことでした。』

■2008年1月

自分が変わる~留学してみて良かったこと

峰島 知芳(UCバークレー校)

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『日本にいた時には“不言実行”が最良だと思っていましたが、アメリカで

研究しているうちに、何事も“話せないということは、頭の中にも何も無い

ということなんだ。。。”というように、見方が変わりました。これは、

“不言実行”ということで、”無口もいいではないか”と、本当は頭の中が

からっぽでアイディアやディスカッションができなかったのを、”後で研究

で結果を出せばいいはずだ”というように、自分を隠していた自分に気づい

て前進させる大きな変化でした。』

就職活動中に行った仕事から見えてきた進路

出雲 麻里子(ヴァンダービルト大学修了)

http://kagakusha.net/modules/weblog/details.php?blog_id=67

『高校の時に、既に、アメリカの大学院については調べていましたから、

ここでやっておこうと思ったのは、両親を説得できるだけの努力と資料集め、

そして、自分が何に興味があって、どんな方向に進みたいかの模索です。

この点、ICUは理想的な環境にありました。幸いなことに、ICUからは、海外

の大学院(サイエンス系含む)に進学する学生が多いです。それに、私の卒論

アドバイザーの先生を始め、教授の方々からして海外でPh.D.を取っていらっ

しゃいますから、こういった話やアドバイスを得るには事欠きません。』

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編集後記

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「最先端の研究分野を紹介」と「我々はなぜアメリカの大学院を選んだのか」

のテーマを1年以上にわたってお送りしましたが、いかがだったでしょうか?

ただいま、次の新テーマに向けて、準備期間に入っております。これまでは、

発行者・杉井が編集責任者をさせてもらってきましたが、このたび私は引き

下がって、新たな編集長に就任してもらいます。その人物とは・・・

山本 智徳(ジョンズホプキンス大)

「THE PATH ~ アメリカ工学系大学院留学記 -PhDに向かってゴゴゴゴゴ~ル-」

ウェブマスター(http://www.thepath.jp/)

当メルマガでは、2007年3月のエッセイを担当

大物が引き継いでくれました(*^~^*)。新テーマ・新編集長のもとで、

4月から一新して、お送りできる予定です。

(杉井)

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